虫捕り網だけじゃない!いろんな昆虫採集法
夏になると、昆虫好きのお友達から、こんな虫を捕まえたよ!家の中に入ってきた!お店の明かりに集まっていたよ!などなど、続々と昆虫採集のお話を聞きます。
虫捕り網を使って、飛んでいるトンボやチョウを捕まえるのも楽しいですし、樹液の出る木を探したり、石をひっくり返したりして昆虫採集するのも面白いですよね。
今回のおうちミュージアムでは、みなさんが普段あまりやったことのないであろう、虫たちの生活や行動に合わせた虫捕りの方法をご紹介します!
※採集した虫は観察・撮影後、採集した場所に逃がしました。
昆虫採集を行う時の注意事項
- 動きやすく、できるだけ肌が出ない服装にしよう。
長そで長ズボン(明るい色が良い)
ぼうし
スニーカーや登山靴
リュックや肩掛けのかばん(両手を空けるため)
軍手
- 1人で行動せず、複数人や大人と一緒に行動しよう。子どもだけで行う場合は、事前に保護者へ相談したり、連絡が取れるようにしておこう。
- スズメバチの仲間などの毒をもつ虫、ヘビ、マダニやヒグマといった、危険な生き物に気を付けよう(下記に参考サイトを紹介)。
- 崖や川などの危険な場所は避けよう。
- 長そで長ズボンで行動するので、休憩や水分補給を小まめに取り、熱中症に気を付けよう。
早朝や夕方など、気温が下がる時間帯もおすすめ。
- 条例や法律を守り、採集できる場所かどうか確認しよう。
- 私有地には勝手に入らない。
- 捕ってはいけない虫に注意しよう。
虫だけでなく、天然記念物や国内希少野生動植物種、指定希少野生動植物種と特定希少野生動植物種に指定されている動植物は捕ってはいけません(下記に参考図書を掲載)。
- 持ち帰って飼育したり標本にする際は、採集を行った場所が、持ち帰りOKかどうか確認しよう。
飼育できる環境がない場合や、標本として記録を残すことが目的ではない場合、観察後は採集した場所に戻そう。
ぼっこ(棒)で背の高い草や木の枝を叩き、その下にネットを用意して、ネットに落ちた虫を採集する方法です。
このネットを、ビーティングネットといいます。
木の葉っぱや実を食べたり、産卵に利用したりする虫を捕ることができます。
※「ぼっこ」は北海道弁で棒状の物を表します。
ビーティングの様子(1)
自作のビーティングネットと拾ったぼっこ
ビーティングの様子(2)
ビーティングの様子(3)
用意するもの
- 落ちた虫をキャッチするビーティングネット
代用品(1):洗濯ネット(白くてサイズが大きく、網目はできるだけ細かい物)1枚と、
洗濯ネットの1辺より1.5倍伸びる長さのつっぱり棒(できるだけ細い物)2本
代用品(2):傘(白や黄色など単色のもの)
代用品(3):虫捕り網でもOK
- 手ごろなぼっこ1本(落ちている枝でもOK)
※今回は、一辺が60cmの洗濯ネットと、長さ55cm~90cm、直径1cmのつっぱり棒を使用しました。
代用品(1)簡易ビーティングネットの作り方
- 洗濯ネットの中に、つっぱり棒を対角線上(ななめ)にいれる。
- 洗濯ネットがピンと張るように棒の長さを調節する。
- 2本目は、1本目と交差する対角線上にいれ、
同様に長さを調節し、ネットの口を閉じる。
- ビーティングの様子(1)の写真のように、角をつかんで、洗濯ネットが板状になれば完成!
ぐらつくときは、棒の交差部分をひもやテープで固定しよう。
※傘で代用する場合は、傘を逆さまに持ち、傘の内側に虫が落ちるようにして使う。
※ビーティングネットは面積が広い方が、虫をキャッチしやすいよ。
どんな虫が捕れたかな?
虫がいそうな木の枝の下にビーティングネットを持っていき、ぼっこで木の枝をかるく叩き、虫を落とすだけで、こんな虫が捕れたよ!
木によって、ついている虫も違いそう!
コナラシギゾウムシ?
カシワクチブトゾウムシ?
ルリハムシの仲間
シャクトリムシ(ガの幼虫)
チャバネアオカメムシ?
カメムシの幼虫
アリの仲間
テントウムシの仲間
テントウムシの幼虫
クモの仲間(昆虫ではない)
地面にコップを埋めて落とし穴を作り、地上を歩き回る虫が落ちるのを待つ方法です。
数時間だけ置いたり、一晩置いたりすることもあります。
埋めたコップの場所や数は、目印や地図を自作するなどしてしっかり覚えておき、コップを忘れずに回収しましょう!
用意するもの
- プラスチックのコップ
プラスチックの植木鉢や空き容器でもOK
洗えば繰り返し使えるよ。
- 穴を掘るシャベルや移植ごて
- 割り箸
※紙コップは土の水分で変形するので適しません。
採集方法
- 採集地にシャベルでコップが入る大きさの穴を掘り、コップを埋めて、落とし穴を作る。
この時、地面とコップのフチが同じ高さになるようにする。
- コップを埋めた場所がわかるように、近くに割り箸を立てる。
割り箸にリボン等を結び付けるとより目立つ。
- 数時間たったらコップを見に行き、虫が入っていれば採集・観察する。
- 入っていなければ、一晩待ってみたり、場所を変えてみよう。
- 調査が終わったらコップはすべて回収し、穴を平らに埋め戻そう。
※ゴミやいたずらだと思われないように、目印の割り箸にビニールテープを付け、ピットフォールトラップ調査であるとわかるように記しておいたよ。
※調査中に雨が降りそうな場合は、雨水がぬけるようにコップの底に小さな穴をあけておくといいよ。
どんな虫が捕れたかな?
3つのピットフォールトラップを仕掛けました。
駐車場林側(半日陰、砂利)
芝生(日なた)
花だん(日なた)
2時間後、残念ながら0匹でした。
夕方から雨も降りだしたので、ピットフォールトラップは回収しました。
後日再チャレンジし、一晩待ってみました!
(1)中庭(半日陰、落ち葉あり)
あ!何か入ってる!!
ゴミムシダマシの仲間
アリの仲間
小さすぎてわからない虫
(2)駐車場林側(半日陰、砂利)
こっちも何か入ってる!
ダンゴムシが大量!
(3)花だん(日なた)は残念ながら空っぽでした。
調査が終わったら、虫を逃がしてコップと割り箸を回収する。
穴を埋め戻す。
落ち葉を適当にごそっとつかんで、ふるいにかける方法です。
落ち葉や土の中に住む、小さな虫を採集できます。
小さな虫しか捕れなくてつまらない!と思うかもしれませんが、見たことのない虫に出会えるチャンスだと思います!
虫めがねや顕微鏡(けんびきょう)があると虫の形や色がよく見えて、もっと楽しめると思います。
※専門用語で、積もった落ち葉を「リター」とも言うよ。
用意するもの
- ザル、または園芸用のふるい
網目は数ミリのものがよい
今回は2mmほどの網目のザルを使用
- 軍手
- 白いトレー
食品トレーや植木鉢の皿、紙皿でOK
虫が見やすいように白色がおすすめ
- 虫めがね
採集方法
- 落ち葉が溜まっている場所を探す。
- 軍手をして、落ち葉を動かしたり混ぜたりせず、そのまま両手でごそっととり、ザルに入れる。(写真左下)
- トレーの上でザルのフチをトントンと軽くたたくと、小さな虫が網の目の間を通ってふるい落とされる。(写真右下)
- トレーに落ちた虫を、虫めがねで観察してみよう。
どんな虫が捕れたかな?
白いトレーの中には、ザルの網目から落ちた細かい土や葉っぱの破片と一緒に、1mm~2mmぐらいの小さい虫らしき生き物が何匹か入っていました!
小さすぎて見えなぁい!
というわけで、透明な粘着テープを使って目で見えた虫らしき生き物を採集し、顕微鏡で観察して写真を撮ったよ。
さらに拡大してみると。(150倍)
(1)ダニの仲間
(2)トビムシ?の仲間
ピットフォールトラップで捕った虫もこれかも。
(3)クモの仲間
(4-1)ワラジムシかダンゴムシの幼虫?
(4-2)ワラジムシかダンゴムシの幼虫?
(5)赤いしま模様の謎の生き物
※トビムシは脚が6本であり、広い意味で昆虫とされています。
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