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札幌市は10区に分かれていて、
それぞれの区にはそれぞれの特徴的な自然や独自の歴史があります。
このコーナーでは、それぞれの区の特徴を、自然史の視点から眺めてみようと思います。
豊平の語源はアイヌ語のトイピラ=崩れる・崖にあり、現在の精進川河畔公園内を流れる精進川の右岸に連なる崖がその起源となる崖です。
一方、平岸の語源はアイヌ語のピラキシ=崖の終わりを意味します。もし、この崖がトイピラと同じ崖だとすると、崖の終わる下流北側が平岸、その上流南側が豊平となり、現在の地名が逆転してしまいます。
「地図で見る札幌の変遷」日本地図センター(1994)
ここで重要になるのは、どの川が崖を造ったのかです。
現在、精進川の滝「オ・ソ・ウシ」と呼ばれる地点に流れ込む川が本来の精進川の終点であり、かつて、ここで豊平川に合流していました。そして、まさにここが本来の精進川によって造られる崖のおわり、ピラキシなのです。
一方、トイピラの崖をつくったのは本来の精進川ではなく、かつての豊平川の分流だったのです。
「地図で見る札幌の変遷」日本地図センター(1994)
そう考えると、精進川の滝のある場所が平岸、そこから下流の崖が豊平となり、語源の位置関係と一致することになります。つまり、豊平と平岸の「崖」は別のものを指していたのです。
近くに崖あるいは小さな段差はありませんか?川が削った跡かもしれません。
ピラケシ=ピラ・ケシ・イ(崖の・尻の・処)(山田秀三『札幌のアイヌ地名を尋ねて』)
パンケ ト°エ ピラ=潰崖(れきがい)豊平橋の稍上流の支流に崖あり屢(しばしば)水のために潰裂(かいれつ)せらる。ペンケ ―=上の潰崖 明治七年豊平村ヲ置ク? ピラ ケシュ=崖端。「オソウシ」の近傍にあり。(永田方正『北海道蝦夷語地名解』)
ピらケシ 崖のしものはずれ。 と°イ ピら=きれる、くずれる 崖(知里真志保『地名アイヌ語小辞典』)
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