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2月2日は節分です。(今年は暦のずれの影響で2月2日に1日早まります。明治30年以来124年ぶり!)
節分と言えば鬼を家から追い出すために、豆まきや玄関にイワシの頭を刺した柊(ひいらぎ)を飾ります。
そんな日々悪者扱いされがちな鬼ですが、
実は植物にも鬼の名前がついているものがたくさんあるんですよ。
今回は名前の中に鬼が入っている植物のお話と標本をいくつか紹介します。
<オニノゲシの花>
タンポポのような黄色い花が咲きますが、葉っぱのトゲが長く密に出ます。
花は6月ごろに咲きます。
<オニノゲシの名前の由来>
「ノゲシ」と形は似ていますが大きさはノゲシよりも茎が太く頑丈(がんじょう)でトゲトゲしい様子から名付けられました。
(PDF:156KB)
◆当センターで収蔵しているオニノゲシの標本◆
<オニグルミの花>
赤くてかわいらしい部分は花びらではなく「めしべ」です。雄花(おばな)は雌花(めばな)の下の方につきます。
(PDF:286KB)
◆当センターで収蔵しているオニグルミの標本◆
<オニルリソウの花>
小さな可愛い水色の花が7月~8月に咲きます。
<オニルリソウの名前の由来>
同じムラサキ科には「ルリソウ」という植物がありますが、オニルリソウは【オオルリソウ属】、ルリソウは【ルリソウ属】という別のグループに入ります。
属名が表すようにオオルリソウ属は草丈(高さ)1メートルになることもあります。
体のサイズが大きいことと、毛が目立つことや、タネに鉤状(かぎじょう)のトゲがあることなどから、「オニルリソウ」と名付けられたのではないかと言われていますが、詳しいことはわかっておらず、諸説(しょせつ)あります。
(PDF:143KB)
◆当センターで収蔵しているオニルリソウの標本◆
<オニノヤガラの花>
花びらとガクがくっついてつぼ型になった花が1本の茎にたくさんついています。
葉っぱを持たないランの仲間です。
オニノヤガラは土中のナラタケ菌と共生して養分をもらっている「腐生(ふせい)植物[菌従属栄養植物](きんじゅうぞくえいようしょくぶつ)」という植物です。だから、自分で光合成をしなくてもよくなって、葉っぱがなくなりました。
花は6~7月に咲きます。
<オニノヤガラの名前の由来>
まっすぐに伸びた長い茎を鬼が使う矢に例えて付けられました。
(PDF:303KB)
◆当センターで収蔵しているオニノヤガラの標本◆
<アメリカオニアザミの花>
きれいな赤紫色の花ですが、ガクも葉っぱも茎も手では触れないほどかたくとがったトゲだらけです。
野生の大型のアザミの仲間の花は下向きに咲くことが多いのですが、このアメリカオニアザミは上向き直径約4cmの花が咲きます。
花は8~9月に咲きます。
<アメリカオニアザミの名前の由来>
「オニ」とつく理由は諸説ありますが、やはり見た目のトゲトゲしさから来たものだと言われています。
実はヨーロッパ原産ですが、アメリカから輸入(ゆにゅう)された、穀物(こくもつ)や牧草に混入して日本で増えていったため、「アメリカ」と名前が付いています。
(PDF:370KB)
◆当センターで収蔵しているアメリカオニアザミの標本◆
名前に鬼とつく植物はたくさんありますが、同類の植物よりも全体のサイズが大きかったり、
トゲがあったり荒々しい見た目のものに日本人は「鬼」と名付けることが多かったようですね。
鬼を強くて大きい存在として恐れていたのは今も昔も変わらないのかもしれません。
それだけ鬼が身近に感じられているということではないでしょうか?
みなさんもおうちの近くで鬼植物を探してみてくださいね!
でも決して勝手に鬼植物を滅して(採集して)はいけませんよ(笑)
参考:『花と木の事典』木村陽二郎・植物文化研究会、(柏書房、2005年5月)
『新北海道の花』梅沢俊、(北海道大学出版会、2007年3月)
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