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更新日:2023年12月7日

ヒンメリを作ろう!

博物館活動センターの事務室前の看板に何か不思議なものがぶら下がっています。事務室前の様子事務室前のヒンメリ
風でゆらゆら揺れたり、くるくる回ったり。影もなんだか素敵…!

これは「ヒンメリ」といいます。

「ヒンメリ」は「光のモビール」とも言われ、幸福のモビールとしてフィンランドで冬に飾られる工芸品です。
太陽と恵みのシンボルである麦(ライ麦)のワラ(茎)にひもを通して、幾何学的な多面体(ダイヤモンドやピラミッド)を作ります。

日本では「ワラ」というと、稲(いね)が一般的です。
稲わらは、麦のワラと比べると少し柔らかく、編み込んでしめ縄にしたり、草履にしたりして利用されてきました。

また、稲や麦はイネ科という植物の仲間です。
トウモロコシや、「ねこじゃらし」でおなじみのエノコログサ水辺に生えるヨシ、お月見の時に飾るススキもそうです。

イネ科の植物と聞いてもあまりピンと来ないかもしれませんが、私たちの生活に強く結びついている植物だといえるでしょう。


イネ


エノコログサ


ヨシ


ススキ

イネ科植物の特徴1「中空」

茎がストローのように空洞(くうどう)になっています。藁はまさしくストローのこと
これを専門用語で「中空(ちゅうくう)」といいます。

なので、茎にひもを通して「ヒンメリ」をつくることが
できるのです。

イネ科植物の特徴2「プラントオパール」

植物の葉で切り傷をつくってしまった経験はありませんか?イネの葉のトゲ

イネの葉を顕微鏡で観察すると、
縁に小さくて鋭く透明なトゲが見えます(右写真)。
これはプラントオパールと呼ばれる、ガラス質の細胞です。
植物のオパールという意味であり、「オパール」という宝石としても
使われる鉱物に見立てて名付けられました。

土の中の珪酸(けいさん)を吸収し細胞にため、細胞をガラス質に
することで、鋭いトゲや丈夫で強い茎を作ることができるのです。

また、考古学において、遺跡から発掘されるプラントオパールは、稲作が行われていたことを示す重要な手掛かりになります。

イネ科植物の特徴3「おまけ」

ところでみなさんは、イネ科の植物の花ってみたことありますか??
一般的なイメージの花とはかなり違うつくりになっていると思います。
ぜひ、春になったら観察してみてください!
思わず、「これが花…?」と言ってしまうかもしれません。

イネの花は地味​​​​​​

正八面体のヒンメリ

身近なイネ科の植物を使ってヒンメリを作ってみましょう!正三角形

今回はヨシを使ってヒンメリを作るよ!(立ち枯れたヨシがおすすめ)
まずは正三角形をつなげて作る基本的な正八面体を作ってみよう。

市販のストローを使えばもっと簡単に作れるよ。

材料

  • ヨシ4、5本程度
    ※茎が詰まっている場合もあるので、穴が開いているか切り口を確認しながら採集しよう。
    ※手を切らないように気を付けましょう。軍手があると安全です。
  • 細いテグス
  • 定規
  • ハサミ

用意するものヨシ定規ハサミテグス

作りかた

  1. ヨシを同じ長さ(今回は一辺8センチメートル)に12本切りそろえる。
    ※葉は全て取り除き、節(ふし)は避ける。
    1ヨシ12本穴の確認
  2. 1.5~2メートルほどのテグスに、まずはヨシを3本通す。
    2ヨシを3本通す
  3. 片方のテグスを20センチメートルほど残し、通したヨシが三角形になるように2回結ぶ。
    この三角形を「△1」とする
    ヒンメリ3
  4. 長く残したテグスにヨシを2本通し、3で作った三角形に逆向きの三角形(△2)が隣にくっついてできるように、角に見えているテグスに長く残したテグスを結ぶ。
    ヒンメリ4-1
    ヒンメリ4-2
  5. 同じようにヨシを2本通し、もう1つ三角形を作る。(△3)
  6. 5をさらに2回繰り返す。(△4、△5)​​​​​​
  7. 三角形が5個つながっているのを確認し、最後のヨシを通す。
    ヒンメリ5、6、7
  8. 立体的になるように、両側のテグスを結ぶ。
    ヒンメリ8
  9. 最後に、両端の2つの角を結ぶために、テグスを△1の左端のヨシに通し、角同士を結び付ける。
    ヒンメリ9
  10. 余ったテグスを処理して完成!
    5個しかなかった正三角形が8個に!!
    ヒンメリ10

完成したヒンメリはセンターのどこかに飾ってあるよ!展示中のヒンメリ
見つけられるかな?

ストローでも作れる!

ストローを使う場合は、針や竹串を使って糸(毛糸やたこ糸でもOK)を通すと簡単だよ。

使用済みのストローを洗って集めて作ると、エコでいいね!

こんな時は??

節(ふし)も入れたい!

竹串や針で穴をあけよう!

ハサミで切ったら、切り口が割れちゃった。

細く切ったセロハンテープなどを、切り口にぐるっと巻いて補強(ほきょう)しよう!
ボンドを薄く塗って乾かしてもいいよ。

うまく結べない!立体的にできない!

大人の力をかりよう!
センターに聞きに来てもOKだよ!

途中でテグスが足りなくなっちゃった!

新しいテグスを用意して、結んでつなげよう!

糸じゃダメ?

テグスより柔らかいので、通しにくいかも。
穴が大きい茎やストローで、針や竹串を使って糸を通せばできるよ!

ヨシ以外にどんな植物がむいてる?

エノコログサやススキ。イネ科以外でも、アマやオオイタドリのように、中空で枯れて硬くなる植物。

アマ
アマ


オオイタドリ

 

注意点

  • 植物採集をするときは、他の人の敷地や保護された地域ではとらないでください。
  • ヨシは、河川敷や池の周りなどの水辺に生えるので、採集の際は気を付けてください。
  • イネ科の植物は葉の縁が鋭いので、けがを防ぐために軍手などをしましょう。

 

クリスマスの飾りにもぴったりです。
長い冬のおうち時間に、春の光を待ちながらじっくり楽しんでみてください!

 

 

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