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野生の動物を調べる時は、フィールドサイン(痕跡:こんせき)を見つけることからはじまります。
フィールドサインには、食べあとや足あとなどがありますが、今回は“フン”を観察してみましょう。
フンはその内容物(ないようぶつ)を観察すると、動物が何を食べていたのかも分かりますよ。
さて、だれのフンか分かりますか?
問題は3つ、こたえは全部の問題が終わった後にあるよ。
手稲山の岩場で見つけたよ。
直径1.5センチメートルほどのコロコロしたマーブルチョコのような丸い形。
細かくなった草や枝が混じっているこのフン、だれの?
当センターで貸し出している、「ミュージアムBOX」の中にあるフンの樹脂封入標本(じゅしふうにゅうひょうほん)の一つ。
7センチメートルほどのバナナのような形。
他の動物の毛や骨、木の実も入っているこのフン、だれの?
以前、当センターの”さわれる展示ボックス”の中においてあったよ。博物館に収蔵されているフン!?
横幅5センチメートル、高さ2センチメートルほどで石のように硬いこのフン、だれの?
北海道各地の草原や森林に生息し、草木を食べます。
ウサギのフンは2種類あって、フィールドサインとして見つけられるフンは硬糞(こうふん)といいます。
もうひとつは軟糞(なんぷん)といい、ウサギ自身が肛門から直接食べてしまうので見つかりません!
北海道各地に生息し、雑食性でネズミやウサギ、木の実を食べます。
写真は当センターの駐車場にやって来たキタキツネの親子。
以前スタッフSが別のキツネ(ホンドギツネ)のフンの内容物を観察したら、次の画像のようにモグラのような毛や、ネズミの前歯、クワガタやコガネムシのような甲虫(こうちゅう)の硬い羽根などが入っていました!
フンからはアンモニアのにおいがしたよ。
ただし、動物のフンは直接さわらないでね!
※キタキツネのフンには寄生虫エキノコックスの卵が入っていることがあるので、さわらない、においをかがない!
いじわるな問題を出してごめんなさい!
これは糞石(ふんせき)またはコプロライトといって、フンの化石です。
この糞石は、当センター学芸員がマダガスカルで購入したもので、どのような地層(ちそう)から出たのかも分からないとのこと。
発掘された地層が分かれば、年代や当時の環境が分かり、その年代に生きていた古生物と照らし合わせれば、ある程度推測できるのだけれど…
どうしたら、だれのフンなのか分かるかなぁ?
(1)すぐにできる方法:現在生きている動物のフンと比べてみる!
草食動物のエゾユキウサギやエゾシカのコロコロした水分の少ないフンよりは、雑食動物のキタキツネのフンの方が似ている気がするね。
みんなのフンはどうかな!?
(2)専門家の方法:フンの中身を調べてみる!
糞石を試薬でとかして、中にふくまれるかたい骨を取り出したり、うすく切ったりして顕微鏡(けんびきょう)で観察すれば、食べていたものが分かるかも。
今回はだれのフンかは分からなかったけれど、ヒントがたくさんありました。
まるで推理小説(すいりしょうせつ)にでてくる探偵(たんてい)のような気分になりますね!
クイズは正解できたかな?
これからの季節、雪の中でも見つけやすい動物の食べあとや足あとも探してみよう!
エキノコックス症について
ミュージアムBOXの貸出について
〈参考文献〉
『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』 熊谷さとし・安田守 (文一総合出版、2011年)
『ウンチ化石学入門』 泉賢太郎 (集英社インターナショナル、2021年)
平川浩文 1995. ウサギ類の糞食. 哺乳類科学 34 (2) : 109-122.
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