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札幌市は10区に分かれていて、
それぞれの区にはそれぞれの特徴的な自然や独自の歴史があります。
このコーナーでは、それぞれの区の特徴を、自然史の視点から眺めてみようと思います。
札幌で代表的な扇状地といえば豊平川が作った扇状地ですが、手稲区にも3つの扇状地があります。
山間を流れるある程度の水量を持つ川であれば、上流から砂礫(されき)を運び、狭い谷間から平野に出たところで川の流れが広がり、流れる速度が緩やかになってエネルギーが弱まると、運んできた砂礫を置き去りにして下流へ流れていきます。この砂礫が堆積し、扇状地、あるいは小規模なものでは崖錐(がいすい※)が形成されます。
※崖から崩れ落ちた岩くずなどが堆積してできた半円錐状の緩やかな傾斜のある地形
手稲区では三樽別川(さんたるべつかわ)、軽川(がるがわ)、星置川がそれぞれ小さな扇状地を造っています。そのうち、最も北にある星置川扇状地は札幌市内の扇状地でも最も標高が低く、海岸に近い場所に形成された扇状地です。
(PDF:840KB)
国土地理院地形図「銭函」一部に加筆
今からおよそ19000年前、氷期の寒さのピークを越えると地球は徐々に暖かさを増し、7000年ほど前に現在よりも2~3m海水面が上昇するピークを迎えました。海岸線も数km内陸に浸入し、最も海岸に近い星置扇状地の裾野を侵食するようになります。海岸の波打ち際の海岸が削られ崖になる場所を海食崖(かいしょくがい)といいますが、星置扇状地も波の浸食によって削られ、海食崖が形成されました。地形図を見ると、星置扇状地の北側がちょうど何かに噛み千切られたように半円形になっているのが分かります。
国土地理院地形図「銭函」一部に加筆
写真:JR星置駅北口後ろの丘が扇状地が波で削られた崖
JR星置駅の南側は扇状地の上を通る旧国道に出るので高い位置に出口がありますが、北側はかつての波打ち際にありますので低くなっています。JRの線路も札幌方面から星置駅に入るときには外に膨らみながら入ってきますが、小樽方面へ出るときには崖(海食崖)に沿って凹湾して出ていくのが分かります。
写真:JR星置駅から見た札幌方面
写真:星置駅から見た小樽方面
みなさんの近くにある崖もなんらかの原因で存在しているはずです。周囲をよく観察して、崖ができあがる原因を考えてみませんか?
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