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札幌も夏らしい気温の日が多くなってきました。
いろいろな昆虫を観察しやすい季節です。
今日は、5月19日(火ようび)のおうちミュージアムでお伝えした、
昆虫「セミ」について、そしてぬけがらについてお話します。
セミは鳴き声を聞くことで近くにその存在を感じられる昆虫です。
でも、セミってどんな昆虫なのでしょう?
生物(せいぶつ)は、それぞれの特ちょうによって、グループ分けされています。
※大きい方から「界(かい)>門(もん)>綱(こう)>目(もく)>科(か)>属(ぞく)>種(しゅ)」と分けられているよ。
ずかんにも「○○目」や「▲▲科」と書かれているので、
昆虫を調べる時には、その昆虫のなかまにどんな昆虫がいるのかを一緒に調べてみると
新しい発見があるかもしれないね。
今回お話しするセミは、「カメムシ目」というグループに入っていて、
カメムシやアブラムシ、タガメ、アメンボなどの仲間です。
このカメムシ目の仲間は、針のように細長い口が特ちょうで、
その多くは「うすいまく」のはねを持っています。
さなぎにはならず、卵から幼虫、成虫と成長する不完全変態(ふかんぜんへんたい)をします。
※不完全変態と完全変態については、「なかまはずれは、だ~れだ?-昆虫編-」の第2問を見てね。
セミのメスは、木の樹皮(じゅひ)や枯れた枝などに卵を産みます。
卵からかえったセミの幼虫(ようちゅう)は、だいたい1-2mmくらいの大きさで、
地面におりて、土の中にもぐり、木の根から樹液(じゅえき)を吸いながら成長します。
どのくらいの間、幼虫として過ごすのかは、セミの種類でちがいます。
また、同じ種類のセミでも環境によって変化することがあるので、
まだまだ多くの種類でその幼虫の期間がどのくらいかは、なぞに包まれています。
セミは何度か脱皮(だっぴ)をして大きくなりますが、
最後の脱皮を「羽化(うか)」といいます。
羽化が近づいた幼虫は、地面に小さな穴をあけて外の様子をうかがい、
木や周りの草などにのぼり羽化をします。
羽化のあと、とべるようになるまで数時間ほどじっとすごします。
羽化のあと、木や草にはセミの最後の脱皮のからが残ります。
私たちはこれを「せみのぬけがら」と言っていますね。
セミの成虫(せいちゅう)はとぶので、見つけるのは難しいことが多いかもしれませんが、「セミのぬけがら」は、動きませんので見つけやすいです。
まちなかから少し離れた林や森の中に行くと比較的見つけることができます。
※札幌市内の公園では、南区の真駒内公園や豊平区の西岡公園、
中央区の円山公園などの林がある公園で比較的見つけやすいと思います。
セミのぬけがらをよく見ると「白い糸」がでていることがあります。
この白い糸はなんだろう?
いったい中でどうなっているのか、せっかくなのでぬけがらをお湯につけてやわらかくして観察してみました。
からだ中に白い糸があるのが分かります。
この糸は、「胸(胸部)とお腹(腹部)」にあいた小さなあなにつながっています。
この小さなあなは「息をしているところ」で、「気門(きもん)」といいます。
私たち人間は鼻や口で息をしていますが、
昆虫ももちろん動物ですから、ちゃんと息をしています。
昆虫は気門から空気を取り込み、
その空気をからだ中にある気管(きかん)を通して全身に届けています。
つまり、白い糸の正体は、この気管が脱皮したものなのです。
このぬけがらから羽化したセミが、オスだったのか、メスだったのかというのは、
実は簡単に見分けることができます。
見るところは腹部です。小さくて見えずらい場合には、虫めがねを使うとよいです。
オスには何もありませんが、メスには縦に割れ目がついた部分があります。
これは、成虫になった時に卵を産むための「産卵管(さんらんかん)」になる部分です。
「産卵管」はメスにしかありません。
このほかにも、ぬけがらをよーく観察してみると、はねや触角(しょっかく)も脱皮していること、
種類によっては細かい毛がたくさんついているものなど、たくさんの発見に出会えるはずだよ。
ぬけがらを見つけた時には、これらの観察ポイントを思い出してね!
※ぬけがらからセミの種類を見分けることもできるけれど、細かく色々なところを見る必要があるよ。
札幌市博物館活動センターでは、「2020札幌市セミ調査」という市民参加型の調査を行っています。
この調査は、札幌市内にどこにどんなセミがいるのか?を調べるために、
調査員のみんなと市内でぬけがらを探すというものです。
調査員は事前に登録をお願いしていますが、ぬけがらを見つけたからぜひ登録したいという方ももちろんOKです。
※ただし、観察のために割ったものや、ぬけがらが砕けているものなどは、専門家によるセミの種類の特定が難しくなってしまうので、「2020札幌市セミ調査」で報告できる対象にはなりません。ごめんなさい。
セミ調査員に登録していただくと、調査員証やセミのぬけがらの種類を見分けるシートなどをお送りします。
市内のいろいろな場所でセミのぬけがらを探してもらい、ぬけがらを見つけたら、
当センターにぬけがらを持ってきてもらいます。
集まったぬけがらは、専門家がセミの種類を特定し、
当センターの標本として大切に保管され、研究資料となります。
なんだかおもしろそう!と思った方は、「みんなで探そう!セミ調査員大募集」のページをご覧ください。
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