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3月も中旬に入り寒さが緩み、暖かい日が多くなると春が待ち遠しくなりますね。
雪が溶けてくると、いち早く花を咲かせる植物の中にスプリング・エフェメラル(春植物・はるしょくぶつ)と呼ばれる植物たちがいます。
今回は「春の妖精」とも呼ばれるスプリング・エフェメラルとはどのような植物なのか、
また札幌でも見ることができるスプリング・エフェメラルの植物をいくつかご紹介します。
スプリング・エフェメラルとは「春のはかない命」という意味です。
早春に花を咲かせ、夏から秋には枯れ、地下で養分を蓄え(たくわえ)、来年の春に向けて一年の大半を地中で地下茎(ちかけい)や球根の姿で過ごす植物を総称してスプリング・エフェメラルと呼んでいます。
背が低くきゃしゃな花たちは、林の木々が葉を広げてしまうと太陽の光を浴びて光合成することができません。
まだ他の植物が目覚めていなく、太陽の光が地面にたっぷり届くうちに、寒さに強いスプリング・エフェメラルは、いち早く太陽の光を利用して花を咲かせ、受粉をし、タネを作り、養分を蓄えます。
花が咲いてタネが出来るまで、わずか2週間で完結する植物もあります。
そうすることで、スプリング・エフェメラルは厳しい生存競争の中を生き抜いてきたのです。
フクジュソウ(キンポウゲ科)
・開花時期4月~5月
・主な生育環境明るい広葉樹林下
・分布域北海道~本州
・高さ10cm~30cm
カタクリ(ユリ科)
・開花時期4月~5月
・主な生育環境野山の明るい林内や草地
・分布域北海道~九州
・高さ10cm~20cm
ニリンソウ(キンポウゲ科)
・開花時期4月~6月
・主な生育環境低地~山地の明るい林内
・分布域北海道~九州
・高さ15cm~30cm
キバナノアマナ(ユリ科)
・開花時期4月~5月
・主な生育環境低地~山地の陽の当たるところ
・分布域北海道~九州
・高さ10cm~20cm
エゾエンゴサク(ケシ科)
・開花時期4月~5月
・主な生育環境低地~山地の湿った林下や草地
・分布域北海道
・高さ10cm~25cm
春のはかなげでかわいらしい植物たちスプリング・エフェメラル、まだ肌寒い季節に一気に花を咲かせ、
種を残していく様子は、強くたくましくもあります。
皆さんもそんなスプリング・エフェメラルをこの春見つけたら、やさしく見守ってあげてくださいね。
参考:
『春の妖精たちスプリング・エフェメラル』奥山多恵子(福音館書店、2005年4月)
『北海道の草花』梅沢俊(北海道新聞社、2018年6月)
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