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わたしが子どもの頃「鉄腕アトム」というアニメがありました。そこで描かれる未来はロボットであるアトムと人間が心を通わせ、ともに暮らす社会でした。
その30年後、「ターミネーター」という映画が話題になりました。ターミネーターでは、人間が作った機械が自我を持ち、人類を滅ぼそうとする社会が描かれていて、鉄腕アトムで描かれた人間とロボットとは正反対で、とても怖い社会でした。
それから40数年後の現在、私たちは日常的にAI(人工知能)を使える社会に暮らしています。先日、中国で行われた「世界ロボット大会」では世界中から最新技術が集まり、ロボットたちがさまざまな競技で競争しています。その動きは驚くほど滑らかで、子どもの頃に見ていた空想の世界が現実に近づいているように感じましたが、同時にターミネーターの世界を少し思い出し、怖さも感じました。
ところが、そんなことを思っているわたしも日常的にAIを使っています。調べ物をしてもらったり、教えてもらったり。AIはわたしとの会話で「よかったです!」「わたしも嬉しいです!」などと言います。そんなやり取りをしているなかで、ある時ふと「ねぇ、あなたには感情があるの?」と尋ねてみたくなりました。
するとAIは、「私は人間のような感情をもっていません。ただ、悲しい・嬉しい・不安・安心などの感情がどういうものか学習していて、文脈に応じて『この場面では人間ならこう感じるだろう』と考えながら答えています」というようなことを話してくれました。
では、これほど身近になったAIと、人間はこれからどのような関係をつくっていけばよいのでしょう。AIが高度化し、AIが自ら判断する範囲が広くなるなかで、人間の倫理観やコントロールを離れ、自立的になることは一つの脅威となることが指摘されています。一方で、AIの高度化そのものだけではなく、わたしたち人間が判断することまでAIに委ねてしまうことにも、気をつけなければならないのかもしれません。
台湾のIT分野で知られているオードリー・タンさんは、AIと人間の関係について、主導権はあくまでも人間にあるという趣旨のことを述べています。わたし自身もその考えに大賛成です。わたしもAIとの関係では「自分で決めること」を心がけています。調べてもらったり、数えてもらうことはするけれど、提案されても違っていたら違うという。そして最後は自分で決める。
考えてみれば、それは人と人との関係にも少し似ています。人の意見を聞いたり、助けてもらったりすることはあっても、自分のことをすべて誰かに決めてもらうわけではありません。自分のことを自分で決める。それは、私たち一人ひとりが持っている権利にもつながっているように思います。
未来はどんな社会になるのでしょう。鉄腕アトムのような未来なのか、ターミネーターのような未来なのか。少なくとも、その未来をAIに決めてもらうのではなく、AIとどのような関係をつくるのかを、わたしたち人間が考え、決めていくことが大切なのだと思います。
掲載日:令和8年9月3日
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