ホーム > 健康・福祉・子育て > 子育て > 子どもの権利救済機関「子どもアシストセンター」 > コラム「こんにちは、アシストです」 > コラム「こんにちは、アシストです」(2025年1月号)
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昨年末、部屋の片づけをしていたら、引き出しの奥から色あせた封筒が出てきました。その中に、私が子どもだった頃の写真が数枚入っていました。無邪気に笑いピースサインをしている自分を懐かしく見ていたら、一枚の写真に目が留まりました。そこには寂しげな顔をしている私がいました。
あっ、あの時のだ・・・。
ずっと忘れていた遠い記憶がよみがえってきました。
運動が好きだった私は、小学3年生のときバレーボール少年団に入りました。始めた頃は、上級生の練習のボール拾いばかりでしたが、友達と楽しく通っていました。
4年生になり、夏休みに二泊三日のキャンプに参加することになりました。このキャンプは、各地の少年団が海洋センターに集まり、集団生活を共にしながら練習したり海遊びをしたりするものです。私はワクワクしながら、その日が来るのを待っていました。
いよいよ当日。午前の練習を終え、午後からカヌーに乗ることになりました。私はカヌーが初めてだったので少し緊張していました。救命胴衣を着け、一人乗り用のカヌーに恐る恐る脚を入れ、ゆっくり腰を下ろし両脚を伸ばしました。そして、パドル(カヌーを漕ぐ道具)をつかもうと横を見ると、さっきまで自分のカヌーに寄りかかっていたパドルが海に流され始めていたのです。私は慌ててパドルをつかもうと上体を横に倒し手を伸ばしたとき、バランスを崩し転覆しました。カヌーに乗ったまま水中で逆さまになり、一瞬頭が真っ白になりました。とにかく早く脱出しなければと必死で脚を抜こうとしましたが抜けません。体を動かせば動かすほど、カヌーの先の方に体が深く入っていくような感じがしました。何より懸命に息を止めていましたが、限界に近づいていることに恐怖を感じました。
何秒くらい息を止めていたのだろうか・・・。
苦しくて、「もうダメだ」と思った瞬間、体がスルリと抜け、いとも簡単に水面から顔が出ました。
キャンプを終え、帰宅してからも転覆したことが頭から離れませんでした。あの出来事は本当にあったことなのだろうか、もしかしたら夢だったのかもしれない・・・。そんなことばかり考えていました。
しばらくすると、あんなひどい目にあったのは、自分が先生の話をきちんと聞いていなかったからじゃないか、自分が悪かったからこんなことが起きたのではないか、などと考えるようになり、自信をなくし誰にも話せずにいました。夜も寝つけず、日中ぼんやりとするようになりました。
そんなある日。勇気を出して母に話しました。キャンプで転覆したこと、海の中で死ぬかと思ったこと、今でもそのことを考えると眠れなくなってしまうことなど・・・。泣きながらすべてを話しました。母は、私の背中をさすりながら黙って聴いてくれました。
それからは、いつもの元気な自分に戻りました。
人は、つらいことを一人で抱えていると、マイナスのことを考えてしまうことがあるようです。
私のように怖い体験を自分のせいにし、自信をなくしてしまうこともあります。
みなさんも、つらいときは一人で悩まず、勇気を出して相談してみてください。
アシストセンターは、あなたのお話をじっくり聴かせていただき、一緒に考えていきたいと思っています。
令和7年1月7日
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