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帰り道、私の前をランドセルに黄色いカバーを付けた子どもが元気よく歩いています。その子は、お母さんと手をつなぎながらこんな話をしていました。友達がモノマネをしてみんなを笑わせたこと、グラウンドで転んだら友達が先生を呼んできたこと、友達が他の人の鉢に水をあげていたこと・・・。私は話を聞きながら、「友達のことをよく見ているなぁ。」と感心すると同時に、ふと、高校でキャリアガイダンス(職業指導)を担当したときのことを思い出しました。
高校生が5,6人ずつグループになり、自分の将来について思い思いに語り合う場面がありました。一つのグループの様子をしばらく見ていると、まず、ある生徒が口火を切り「将来、美容師になりたい。」と言い、その理由を語りました。次の生徒は、「システムエンジニアになりたいから専門学校にいこうかな。」次の生徒は、「看護師か保健師かな。」次の生徒は、「もしかしたら家(家業)を継ぐかもしれない。」次々に話し終え、最後の生徒(Kさん)が神妙な面持ちで次のように言いました。「私は自分のことがわからない。自分が何になりたいのか、何に向いているのかもわからない・・・。」「自分はわがままで、マイペースだし、落ち着きないって言われるし・・・。」
すっかり静まり返り、ある生徒が口を開きました。「確かにKさんは、そういうところがあるかもしれないけど、こうやって素直に自己主張できるし、いつも周りに流されないよね。」「学校祭のとき、積極的に頑張っていたよね。」と言いながら、他の生徒たちへ視線を送りました。すると生徒たちが口々にKさんの長所やそれにまつわるエピソードを話し始め、Kさんの表情がみるみるうちに明るくなっていきました。私は、「友達のことをよく見ているなぁ。」と感心しました。
生徒たちは、Kさんの短所の裏にある隠れた長所を見ていたのだと思います。「わがまま」「マイペース」「落ち着きない」という言葉は、別の見方をすることができます。
「わがまま」→「素直」「自己主張できる」
「マイペース」→「周りに流されない」「自分をもっている」
「落ち着きない」→「行動的」「積極的」
時々、生徒たちから「自分のなりたいものが見つからない。」「自分が何に向いているのかわからない。」といった声を聞くことがあります。進路を考えることは、自分の生き方を探ることでもあります。悩むこともあるでしょう。以前、厚生労働省編職業分類表をめくりながら、その職種の多さに驚いたことがありました。動物関連だけでも、獣医師、動物看護師、飼育員、訓練士、トリマー、ペットシッター、調教師、ブリーダー、畜産農業・・・。世の中には、さまざまな職業があります。
進路を考える上で職業を知ることは大切ですが、それと同じように、自分を知ることが大切だと思います。自分は何をしていときに夢中になれるのか。自分が嬉しいと感じるとき、ワクワクするのはどんなときか。好奇心の対象を探してみましょう。
自分のことって、意外と見えていないのかもしれません。もしかすると、自分より身近な人の方が自分のことをよく見て知っているのかもしれません。自分のことがわからないと思ったときには、家族や友達、先生などに訊いてみましょう。Kさんのように隠れた自分の長所が見つかるかもしれません。近しい人には訊きづらい人もいるかもしれませんね。そんなときは、アシストセンターでお話しながら自分を見つめてみませんか。
令和7年7月3日
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