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このコラムを書いている2024年7月、フランスのパリでオリンピックが開催されています。パリでのオリンピックは実に100年ぶりなのだそうです。パリのシンボルであるエッフェル塔に五輪のマークが掲げられ、オステルリッツ橋にフランス国旗の3色の煙が出現したのを見て、パリでオリンピックが開催されていることを世界中の人が実感したのではないでしょうか。
アスリートたちは、誰もがイメージする競技場での入場行進ではなく、セーヌ川を船で下ります。100年前には想像できない演出だったと思います。演出といえば、開会式全体をいくつもの芸術的な場面で表現しているところも印象的でした。国民議会の周囲に10人の歴史的に有名な女性の像が現れたシーンは、パリオリンピックで初めて男性と女性の競技人数が同数になることを演出したものだそうです。他方で、ドラァグクイーンと呼ばれる派手なメイクと女装をしたパフォーマーや、トランスジェンダーのモデルが歴史的な建造物とともに登場するなど、LGBTQやマイノリティが表現され、時代というものは常に変わっていくものだと考えさせられました。
しかし、そもそも論ですが、オリンピックの競技は男女別に行われています。生物学的な性差、いわば伝統的な分類で男女に分かれ競うオリンピックにおいて、その開会式で、より複雑な性別を彷彿とさせるパフォーマンス、そこにはどのようなメッセージが含まれているのでしょうか。
今回のパリ大会のコンセプトはGames Wide Open(開かれた大会)、その実現のために「セレブレーション(祭典)」「レガシー(遺産)「エンゲージメント(全員参加)」の3つの柱を立てたと言います。前述した開会式は、パリ市内の歴史的建造物を使い、アスリートやパフォーマー、さらにはセーヌ川沿いで観覧していた市民など、これまでになく多くの人が参加したことは、まさに多様性を包含した上での全員参加と言えるでしょうか。
古いものと、新しいもの、他と違っていてもいい、それも素敵・・・。そんなふうに、古い伝統も大切に、でも新しいものも受け入れながら今の時代を作っていく、それもみんなで。
2024年の日本もまさにそのようなタイミングなのかもしれません。これまでの遺産を大切にしつつ、違いを受け入れ、全員参加で楽しみながら住みやすい社会を作っていくことが必要なのではないでしょうか。
この先の100年後、オリンピックは続いているのか、どんな社会になっているのか、確かめることはできませんが、一人ひとりの子どもたちが大切にされる社会であってほしいと心から願っています。
令和6年8月22日
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