ここから本文です。

更新日:2023年12月4日

コラム「こんにちは、アシストです」(2023年12月号)

「AIの登場、人として大切なこと」~品川救済委員~

12月に入りこの1年を振り返ることが多くなりました。わたしは日頃大学で教員をしていますが、この1年大学で話題になったこととして「生成AI」の登場があります。

Chat GPTに代表される生成AIとは、オープンAIという会社が2022年の11月に公開した人工知能のチャットサービスです。指示を出すとそれに従って瞬時に答えを出してくれます。「例えば〇〇というテーマで、400字のレポートを書いて」と言えば、すぐにそれらしいレポートを書いてくれますし、「この英文を自然な英語にして」という指示には、ネイティブの人が使うような英文に変換してくれます。この機能を応用したアプリはたくさんありますが、チャットができると言っても、ネットでの検索画面のようなものから、話しかけると答えてくれるもの、さらにはペットロボットのような形態で会話ができるものまで様々なものがあります。

生成AIがこれまでのコンピュータと違うのは学習機能です。「ビック・データ」の収集や利用者とのやり取りから学習した知識が日々更新されるのです。その変化の速度はとても早く、先月にはここまでしか分からなかったことが、1ヶ月の経過ですらすらと答えてくれるようになることも少なくありません。

この機能が一般化すれば、社会はこれまで以上に変わるだろうと言われています。例えば多くの仕事がAIに代わることができるので、これまで必要だった仕事で人が必要なくなるということも言われています。確かに何かの記録を作ったりすることは、人でなくともできそうです。

このように、人間の多くの行為がAIに替われるのならば、アシストがしている相談業務もAIで対応できるのでしょうか。

確かに困っている人に、言葉の上で寄り添うことはできるかもしれません。でもわたしたちが応える相談は、寄り添うこともそうですが、相談者と一緒に考えていくことを大切にしています。そこには、相談員のこれまでの経験や一つひとつの相談を大切に思う気持ちがあり、それは単に知識の蓄積やデータの平均ではないと思っています。電話や対面での相談は尚更そうです、相談員は相談してくれた方に対してどのような言葉を返すのが良いのか、悩みながら返しています。この悩みながら・・・ということこそ、AIではなく人間らしいところであり、機械には替われないところであるとわたしは考えます。そしてこれは、単に相談だけでなく、日常の人間関係もそうであると思います。友達、親子、生徒と先生、簡単に分かり合えないことも多いですが、それでも向き合って分かり合うこと、それこそが人間だからできることではないでしょうか。

AIの登場で世界は大きな変革期にあると言われています。そのような社会では「人間らしくあること」が、これまで以上に問われるのかもしれません。

 

令和5年12月4日

コラムのトップページに戻る

このページについてのお問い合わせ

札幌市子ども未来局子どもの権利救済事務局

〒060-0051 札幌市中央区南1条東1丁目5 大通バスセンタービル1号館6階

電話番号:011-211-2946  内線:683

ファクス番号:011-211-2948