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更新日:2024年12月9日

コラム「こんにちは、アシストです」(2024年12月号)

「他者との付き合い方」~朝倉救済委員~

 

「四苦八苦(しくはっく)」という言葉があります。この言葉は、もともと仏教用語だそうです。「四苦」とは「生・病・老・死」のこと。この「四苦」にさらに「4つの苦しみ」を加えて「四苦八苦」となります。「四苦」以外の「4つの苦しみ」の1つに「怨増会苦(おんぞうえく)」というものがあります。「怨増会苦(おんぞうえく)」とは、怨み、憎しみを持つ相手と会わなければならない苦しみ、一言でいうと人間関係に伴う苦しみのことでしょう。

アシストセンターにも、友人関係についての相談が多く寄せられます。「心を許せる友達がいないので学校に行きたくない」「苦手なクラスメイトとのかかわり方がわからない」。お釈迦様の時代からずっと、人類は「他者との付き合い方」に頭を悩ませてきたのですね。

しかし、人生の苦しみを受け止めて悟りを求めるような生き方は、私も含めてほとんどの人には簡単にできることではありません。ですから「人間関係の悩みは人類普遍のものだよ」といっても、何の慰めにもなりません。では、どうすればよいのでしょう。

もちろん、友人関係の悩みを一緒に考え、相談員から「こうしたらいいんじゃないかな」と伝えることで、解決に向かっていくことも多くありますが、中にはなかなか光の見えない相談が続くこともあります。「解決法」とまではいえませんが、私なりにそんなときの「心の持ち方」について、思うことを書いてみたいと思います。

1つ目は「今の状況はそう長くは続かない」ということです。そもそも学校生活には限りがあります。クラス替え、席替えもあります。人間関係自体も日々刻刻変化していきます。仏教のありがたい教えもさることながら、「そんな時代もあったねと、いつか話せる日が来るわ」という中島みゆきさんの歌の一節のほうが、説得力があるかもしれませんね(ただ、本当にどうしようもないときは無理して学校に行くことはありません。)。

2つ目は、「理想の自分や理想の学校生活にとらわれなくてもいいんじゃないか」ということです。村上春樹さんの小説の中で、知り合いから性格上の問題点を指摘された主人公が、自分のことを「ポンコツ車と同じなんだ」と述べるくだりがあります。こっちを直せばあっちが故障する、あっちを直せばそっちが故障する、というわけです。そんなポンコツ車の自分と付き合っていくしかないんだという、大げさにいうと生きる姿勢の表明のようなものですね。私は、わりにこの考え方に共感します。

3つ目は、「学校生活がすべてではない(世界は興味深い事柄で満ちている)」ということです。音楽、映画、ドラマ、小説、漫画、スポーツ鑑賞などなど、夢中になれることって世の中にはたくさんありますよね。小説の世界にリアリティを感じる、好きな歌に自分のホントの気持ちを託せる、こういったことは人生を豊かにすると思います。私も最近は大谷翔平選手に夢中で、シーズン中の休日はテレビにかじりついて応援しています。少なくとも、大谷選手の試合を見ている時間だけは仕事のことは頭から追い払って、毎日を乗り切っています。

お釈迦様から大谷選手まで、なんだかとりとめのない話になってしまいました。他者との付き合い方の悩みは尽きませんが、アシストセンターは子ども達の声をしっかり、じっくり聴かせてもらいたいと考えています。

令和6年12月9日

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