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昔の中国で「性善説」と「性悪説」という2つの考え方がありました。「性善説」は、人間は生まれつき良い性格だから、誰かが率先して良いことをすればみんなもそれを真似して世の中が良くなるという考え方です。これに対して、「性悪説」は、人間は生まれつき悪い性格だから、罰則などのルールを作って悪いことをしないようにしなければならないという考え方です。皆さんは、人間は生まれつき良い性格だと思いますか?それとも悪い性格だと思いますか?
私もどちらなのだろう、と考えていたのですが、ある音楽家が、サイコパスの犯罪者は、自分の中に善悪がなく二面性がないので、顔が左右対称なケースが多い、自分のなかの醜さをきちんと醜さとして認識できているかどうかは人が生きていく上で大事なものである、とインタビュー記事で話していたのを見て、なるほどと思いました。ちなみに、ほとんどの人の顔は左右対称ではなく微妙に違っており、感情は顔の左半分に出やすいと言われています。つまり、二面性がある方が正常であって、むしろ二面性がない方が異常なのです。
ですから、皆さんがこんな酷いことを考えてしまったと落ち込んでいるのであれば、落ち込む必要はありません。よくよく考えてみますと、二面性がないというのは危険でさえあります。例えば、天使のように優しすぎても人に騙されてばかりになってしまいますし、逆に、悪魔のような心だけでは人に迷惑をかけてしまいます。楽観的すぎても準備を怠ってしまいますし、悲観的すぎても慎重になりすぎて動けなくなってしまいます。逆に楽をしたい、怠けたいという気持ちが発明を生むこともあります。みんなから注目されたい、この人だけには負けたくないという気持ちがその人の努力を引き出すこともあります。辛い経験をしたことがある人は、幸せな人と比べて人の心の痛みが分かるのでしょう。何事も良い面と悪い面があって、それぞれのバランスをとることが大事なのかも知れません。
同じことは、個人の心だけではなく、世の中全体にも言えるかも知れません。何か一つの物事について結論を決めたりするときに、楽観的な意見と悲観的な意見、積極的な意見と消極的な意見、色々な考え方、色々な立場の人が、それぞれの意見を出すことで、初めてバランスのとれた結論に至ることができるのでしょう。世の中のバランスをとるという意味では、どのような性格の人も、どのような立場の人も、存在する価値や意味があるのだと思います。
あなたや私が自分の性格で嫌いなところがあったとしても、その部分が悪い面しかないということはなく、場面によってはきっと良い面もあるのだと思います。ただ、何事もバランスが大事なので、自分はこういう性格だからそれで良いのだ、と開き直るのではなく、自分が良いなと思った人の考え方や行動を少しずつ取り入れていって、バランスをとっていくことが大切なのだと思います。
こうやってつらつらと書いてきましたが、これを読んでいる人の中には、私の考え方は間違っている、と思う人もいると思います。私はその人の意見を聞き、なるほどと思ったところを改善していくことで、よりバランスのとれた結論に向かうことができるのでしょう。しかしながら、大人になってくるにつれ本当に親身な人しか指摘をしてくれなくなってしまいます。どうか子どものうちに、色々な人の話を聞いたり、色々な人の考え方をとりいれてみたり、色々なことに挑戦して失敗する経験をしてみてください。
子どもアシストセンターに対する相談も、あなたのバランスをとるための良い機会になるかも知れませんよ!
令和6年7月10日
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