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更新日:2024年4月10日

コラム「こんにちは、アシストです」(2024年3月号)

「言葉に宿る魔法の力」~大友調査員~

春がやってきます。森羅万象、ものみな動く季節へと移り変わるこの時期は、雪に閉ざされた季節からの解放感で心が躍ります。そして、これから巡る春夏秋冬、どんなことが待っているのか、期待感で胸が膨らみます。

春の足音を感じながら、ふと、昨年の春は、解放感や期待感に加え、興奮と感動に包まれた特別な春だったことを思い出しました。

特別な春にしてくれたのは、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)での日本チームの戦いでした。心が跳ね上がるようなドラマティックな試合展開の中、人々の心を揺さぶり、記憶に深く刻まれる感動的なシーンがたくさんありました。そして、日本代表に選ばれた選手一人一人のすばらしさや魅力に心を奪われました。

そんな選手たちの中でも特に多くの人の心を鷲掴みにしたのが大谷翔平選手です。私も大谷選手の姿からたくさんの元気や勇気をもらいましたが、特に心に残っているのが、決勝戦前のミーティングでの「憧れるのをやめましょう」という言葉です。

対戦相手のアメリカチームは、プロ野球選手なら誰もが知っている大リーガーぞろいです。日本ですばらしい活躍をしている選手たちといえども、目の前に憧れの超一流選手がいれば平常心でいることは難しいでしょう。心がどこかに飛び、雲の上を歩いているような感じになるかもしれません。

大谷選手はそのようなチームメイトの心の状況を見極め、この言葉を発したのでしょう。そして、舞い上がりそうな選手たちの心を平常に戻し、奮い立たせ、勇気や闘争心を湧きあがらせました。もし、大谷選手の言葉がなかったら決勝戦はどうなっていたでしょうか。

たったひとつの言葉が他の人の心を大きく動かす、そんな言葉の持つ力について改めて考えさせられました。くじけそうなとき、めげてしまいそうなとき、他の人の言葉に励まされ、勇気や力をもらったということは誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。

昨今、SNS上での誹謗中傷や攻撃など、言葉の負の側面が注目されがちですが、劇的に変化し続ける現代社会だからこそ、言葉の正の側面、誰かを励まし希望を与えるような、言葉に宿る魔法の力を再確認すべきではないかと思うのです。

「だいじょうぶだいじょうぶ」(文・絵:いとうひろし)という絵本があります。次のような内容です。

 

幼い「ぼく」が困ったことや怖いことに出会って不安になるたび、おじいちゃんが「ぼく」の手を握り、おまじないのようにつぶやいた。

「だいじょうぶだいじょうぶ」

だから今度は「ぼく」の番。

「ぼく」はその言葉に励まされ、少しずつ強くなって大きくなった。

病床に横たわるおじいちゃんの手を握り、何度も繰り返すのだ。

「だいじょうぶだいじょうぶ」

 

勇気をくれる、前に進む力をくれる、心を奮い立たせてくれる、背中を押してくれる、気持ちをつないでくれる、心を拓いてくれる、優しく包んでくれる、不安を消し去ってくれる、心を癒してくれる、夢や希望を与えてくれる、孤独感を和らげてくれる……、そんな魔法の力が宿る言葉が満ち溢れる素敵な社会になってほしいと願ってやみません。

さて、今年、大谷選手はどんな言葉を私たちに届けてくれるのでしょうか。そして、どんな感動や力を与えてくれるのでしょうか。春の訪れとともにワクワク感がとまりません。

 

令和6年3月22日

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