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更新日:2024年4月1日

脳神経外科

脳神経外科について 

当科は、脳・脊髄疾患のなかでも主に外科的治療の適応となる疾患全般を取り扱っており、常に最先端の医療を提供できるように日々精進しています。
診断・治療機器は充実していて、平成23年に回転DSA装置と320列面検出器CTが導入され、平成27年には3T MRI装置が加わりより高精細な三次元再構成画像や融合画像、脳機能画像などが作成できるようになり、画像診断、手術支援に革新的進歩がもたらされました。さらに平成25年には手術顕微鏡が最新のPenteroに更新され、ナビゲーションシステム、電気生理学的神経モニタリング、神経内視鏡、エコーなどの手術支援機器とともに適宣有効活用することで安全・確実・低侵襲性が実現され、手術成績の飛躍的向上に寄与しています。
近年、治療法の進歩にともないその選択肢は多様化してきていますが、個々の患者さんの希望に沿ったテイラーメイドの医療を実践しています。当科は顕微鏡手術だけでなく脳血管内手術や神経内視鏡手術などにも精通しているので、公平な立場で最適な治療法を提供できることが大きな特徴としてあげられます。
多くの全身合併症を有する患者さんに集学的治療を提供できるのも総合病院の強みです。

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基本方針 

“脳機能温存と根治性の両立”をモットーに、個々の患者さんに信頼されるテイラーメイドの良質な医療の提供を心がけています。

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こんな症状、疾患を診ています 

脳は、全身の司令塔であり人間にとって最も重要な臓器です。その脳が損傷を受けると、部位に応じて頭の先から足先まで全身の至る所にさまざまな症状が出現します。右脳が傷つくと左半身に、左脳が傷つくと右半身に症状が出ます。
代表的な神経症状として、頭痛、嘔気、メマイ、運動障害(マヒ)、感覚障害(シビレ、痛み)、意識障害などが知られていますが、具体的には〈1〉片方の手足など半身の動きが急に悪くなる〈2〉突然ろれつが回らなくなる、言葉が出にくくなる〈3〉突然ふらつき、歩けなくなる〈4〉意識がなくなる〈5〉物が見えにくい――などがあります。手術で治る物忘れもあります。

脳はいったん障害を受けると元の状態に戻るのは非常に難しい臓器です。したがって、早期発見・早期治療、ひいては予防的治療がきわめて大切になりますので、重症化する前に早目に受診していただき最適な治療法を慎重に検討してまいりましょう。
当科が対象とする疾患は、脳血管障害、脳腫瘍、機能的脳神経外科、頭部外傷、脊椎・脊髄疾患など多岐にわたり、脳脊髄疾患全般にわたり自前で対応しています。脳外科対象疾患でない場合には適切な専門科を紹介しますので気軽にご相談ください。

  • 頭が痛い
  • 顔・手・足が動きにくい、転びやすい、物を落とす
  • 顔・手・足がしびれる
  • 物が見えにくい、物が二重に見える、視野が狭い
  • 言葉がでてこない
  • 聞こえにくい
  • 耳鳴(拍動性の脈打つ音)
  • めまい(ふらふらする、ゆれる、浮いた感じ)
  • 意識消失
  • けいれん

など

脳卒中 脳出血、脳梗塞、一過性脳虚血発作、頸部内頸動脈狭窄症、クモ膜下出血、未破裂脳動脈瘤、脳動静脈奇形、硬膜動静脈ろう、もやもや病など
脳腫瘍 下垂体腫瘍、髄膜腫、神経膠腫、神経鞘腫、転移性脳腫瘍など
脊髄・脊椎疾患 脊髄腫瘍、変形性頸椎症、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症など
頭部外傷 慢性硬膜下血腫、急性硬膜外下血腫、急性硬膜下血腫、脳挫傷など
機能的神経疾患 三叉神経痛、顔面けいれん、舌咽神経痛、痙性斜頸などの神経血管圧迫症候群
先天性奇形 水頭症、髄膜瘤など
その他 正常圧水頭症など

代表的な疾患

未破裂脳動脈瘤

脳動脈瘤とは、動脈壁の薄い部分が膨らんでできた“こぶ(瘤)”で、くも膜下出血の原因となります。
MRIやCT検査などで偶然に発見された破裂していない無症状の状態を未破裂脳動脈瘤と言います。統計によれば脳動脈瘤を治療せず放置すれば、部位・大きさ・形、家族性か、多発性かなどにもよりますが毎年0.5-2%の確立で破裂すると考えられていて、それほど高くはありません。ただし10年間という長い単位で考えると累積破裂率は5~20%となり、脳動脈瘤が破裂する可能性は低くはありません。
治療の目的は、脳動脈瘤が破裂し出血するのを防止することです。未破裂脳動脈瘤が発見された場合,年齢・健康状態などの患者の背景因子,個々の動脈瘤のサイズや部位・形状など病変の特徴から推測される自然歴,および施設や術者の治療成績を勘案して,治療の適応を検討することが推奨されます。大きさ5mm以上の脳動脈瘤は治療の対象となりますが、4mmくらいでも、a.症候性の脳動脈瘤、b.椎骨脳底動脈、前交通動脈、および内頸動脈-後交通動脈部などの部位に存在する脳動脈瘤、c.Dome/neck aspect比が大きい・不整形・ブレブを有するなどの形態的特徴をもつ脳動脈瘤は治療が考慮される場合があります。3mm以下の大きさで破裂することは極めてまれであり、その大きさで手術を勧められたらセカンドオピニオンを求められた方がよいでしょう。
根治的な治療法としては、開頭手術(頸部クリッピング術)と血管内手術(コイル塞栓術、写真)の二つの方法に分けられます。それぞれ長所・短所がありますが、患者の年齢、全身状態、動脈瘤の性状などを考慮し、どのような治療法が最適かを十分検討し、最終的には患者様自身に治療法を選択して頂くことになります。

脳動脈瘤に対するコイル塞栓術

脳動脈瘤に対するコイル塞栓術

脳腫瘍

術中ナビゲーションシステム

術中ナビゲーションシステム

当科では年間20~30例の脳腫瘍手術を行っています。
髄膜腫、下垂体腫瘍、聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)、神経膠腫(グリオーマ)、転移性脳腫瘍などが主な対象疾患です。
良性脳腫瘍の治療の基本原則は、手術で脳神経機能を悪化させることなく最大限に摘出することです。これを実現するために当科では術中運動や感覚機能などの電気生理学的神経モニタリング、ナビゲーションシステム(写真)、神経内視鏡、エコーなどの手術支援システムを総動員して手術に臨んでいます。
悪性腫瘍には脳原発性と転移性の腫瘍がありますが、いずれも治療目標は生活の質の向上で、手術に加えて放射線治療や化学療法を組み合わせ個々の患者様に最適なテーラメードの治療を行います。放射線治療科や関連科と協同して治療に当たっています。

下垂体腫瘍

下垂体は、体の働きを調節するさまざまなホルモンを産生する内分泌器官で、鼻の奥に存在します。ホルモン機能に異常をきたすと全身のさまざまな臓器に影響を及ぼします。また部位的に視機能をつかさどる神経に近いため、視野が狭くなる、視力が低下する、物が二重に見えるなどの眼の症状が出現します。このように、眼科や耳鼻科、内分泌科などの内科と関連性の高い病気であり各科と連携して治療にあたっています。
手術は、ナビゲーションを用いた顕微鏡手術を基本とし、神経内視鏡も使用しています。顕微鏡と内視鏡それぞれの利点を生かした神経内視鏡支援顕微鏡手術を行い、より一層の安全・確実・低侵襲化を目指しています。術後、髄液漏で再手術となった例はなく、腰椎ドレナージを行った症例もありません。GH産生下垂体腺腫(先端巨大症)では、Knops分類のグレード0~3の伸展度の腫瘍、つまり内頸動脈を巻き込んでいなければ摘出術のみで全例が成長ホルモンは正常化しています。
鼻の穴から侵入し蝶形骨洞を経由して腫瘍に到達します。大きな腫瘍では両側の鼻孔を使う場合があります。小児など極度に鼻の穴が小さい場合は上口唇の裏を切って侵入することがありますが、ほとんどが経鼻的に行います。

頸部内頸動脈狭窄症

頚部頚動脈狭窄症とは、心臓から脳へ血液を送る頚動脈が首のところで狭くなった状態です。
頸動脈狭窄症は、頸動脈の内側に形成されたプラーク(粥腫)によって、脳へ向かう血液の通り道が狭くなる病気で、脳梗塞を起こす危険性が高くなるため治療が必要となります。狭窄の程度が強いと、内科的治療に加えて手術が行われます。
頸動脈狭窄症の手術治療法は、神経症状の有無、狭窄の程度・性状・部位などによって異なります。外科手術としては、頸部を切開し、狭窄している部分の動脈壁にたまっているプラーク(粥腫)を取り除く頸動脈血栓内膜摘出術があり、血管内手術としては、血管にカテーテル(細い管)を入れて、血管を内側から広げる治療です(ステント留置術)。頸動脈血栓内膜摘出術のリスクが高い場合に行われます。
頚動脈狭窄の患者は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの危険因子を有しており、心臓や末梢血管など全身に動脈硬化性病変を合併している率が高く循環器内科などの関連各科の協力のもと治療に当たることが極めて重要です。

機能的脳神経外科

片側の顔面の筋肉がピクピクと勝手に動く顔面けいれんや、片側の顔面に耐えがたい痛みが発作的に起こる三叉神経痛が代表的疾患です。神経を圧迫している血管を移動させる微小血管減圧術で治すことができます。

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手術件数 

令和4年の手術件数です。

手術コード

手術名

件数

K0002 創傷処理(筋肉、臓器に達するもの・長径5㎝以上10㎝未満) 1
K0003 創傷処理(筋肉、臓器に達するもの・長径10㎝以上)(その他) 1
K0004 創傷処理(筋肉、臓器に達しないもの・長径5㎝未満・真皮縫合) 1
K0332 筋膜移植術(その他) 1
K0442 骨折非観血的整復術(前腕) 1
K145 穿頭脳室ドレナージ術 2
K150 脳膿瘍排膿術 1
K160-2 頭蓋内微小血管減圧術 1
K162 頭蓋骨悪性腫瘍手術 1
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 10
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭・脳内) 4
K164-5 内視鏡下脳内血腫除去術 1
K168 脳切除術 1
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 10
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) 4
K1742 水頭症手術(シャント手術) 3
K1743 水頭症手術(シャント再建術)(腹側のもの) 1
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 6
K1772 脳動脈瘤頸部クリッピング(2箇所以上) 2
K1802 頭蓋骨形成手術(硬膜形成を伴う) 1
K189 脊髄ドレナージ術 1
K1911 脊髄腫瘍摘出術(髄外) 1
K229 眼窩内異物除去術(表在性) 1
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含むもの) 2
K336 鼻内異物摘出術 1
K386 気管切開術 1
K596 体外ペースメーキング術 1
K6092 動脈血栓内膜摘出術(内頸動脈) 2
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 1
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 1
K6261 リンパ節摘出術(長径3㎝未満) 1
K636-3 腹腔鏡下試験開腹術 1
合計

67

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診療実績 

令和4年度診療実績

順位 病名  件数 
1 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 11
2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 9
3 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所・2箇所以上) 7
4 頭蓋内血腫除去術(開頭)(硬膜下・脳内) 3
4 水頭症手術(シャント手術) 3
6 動脈血栓内膜摘出術(内頸動脈) 2
  その他 14
49

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私たちが担当しています ~担当医紹介~ 

職名 氏名 専門分野 資格等
部長 三上 毅    

医長

堀田 祥史 脳神経外科全般
頭部外傷

日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本脳卒中学会専門医・指導医
日本脳神経血管内治療学会専門医
日本脳神経外傷学会指導医

副医長 鈴木 比女    
一般職 遠藤 綾    
松永 渉    

 

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患者さんへ 

他の脳外科に通われていた方や検査を受けられたことのある方は、病院からの手紙や検査資料(CTやMRIのフイルムまたは、CD-R)をお持ちください。お持ちにならない場合は、必要な検査に日数・検査費用がかかる場合がありますのでご了承ください。
脳外科対象疾患ではない場合には、他の診療科をご案内させていただく場合があります。

例:物忘れの評価→精神神経科
 両手・両足のふるえ、硬直、しびれ→神経内科
 傷の処置が必要な頭部・顔面外傷→形成外科

再来の患者さん

予約の変更をご希望の場合、診察のみの変更は予約相談電話で承ります。検査の予約変更が必要な場合は、脳神経外科外来へお問い合わせください。

外来からのお願い

緊急を要する患者さんがいる場合には順番が前後したり、お待ちいただく場合があります。
火・木曜日は休診です。お問い合わせの電話は診療日に頂けるようご協力お願いいたします。
不安なくスムーズに診療を受けられるようお手伝いしたいと思います。不明な点やご心配なことがありましたらお気軽に看護師へ声をお掛けください。

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こんなこともしています 

完全無剃髪手術

髪の毛は全く切らずに手術します(写真)。脳腫瘍などではナビゲーションシステムを用いて手術をするので、開頭部位も正確に決定することができ髪の毛を切らずに必要最小限の切開で行います。予防的抗生物質は手術当日しか投与しませんが、無剃髪にしたからといって感染は増えません。退院後すぐに社会復帰できるので好評です。

髪の毛を切らずに分けて切開します

髪の毛を切らずに分けて切開します

開頭術後の開口制限を予防する工夫

脳動脈瘤などの手術でこめかみの部分を開頭すると術直後から口を開けると痛みなどで開口制限が生じます。自然に治る場合が多いのですが時間がかかりますし、治らない場合もあります。そこで、当科では2000年から口腔外科と協同して術後の開口制限を予防すべく、開頭方法の開発、術後の口腔外科的ケア―(開口訓練)などの工夫を行い早期に改善し良好な結果が得られています。

地域連携パス

2008年4月から地域連携診療計画に脳卒中が追加されたのを機に、札幌市脳卒中地域連携パスが構築され当院は計画管理病院として急性期治療の役割を担い地域完結型医療を実践しています。

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学会・研究会等発表演題 

令和3年

演題名

出題者名

所属

学会名

発表月日

発表地

脳室拡大のない脳室腹腔シャント機能不全の早期発見における視神経鞘径の診断的意義 香城章麿
瀧上真良
堀田祥史
青木修一郎
市立札幌病院脳神経外科、眼科 第85回日本脳神経外科学会北海道支部会 2021年3月20日 札幌

 

論文等 

令和3年

論文名

著者名

所属

雑誌名
(書名)



ページ

Successful Coil Embolization Using Percutaneous Cardiopulmonary Support in a Patient with Refractory Out-of-hospital Cardiac Arrest Caused by Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage

Hitoshi KANO1,

Masayoshi TAKIGAMI1,

Toshihisa MATSUI2,

Keisuke BANDO2,

Akio ENDO2

and Masaki NAGAMA 2

1 Department of Neurosurgery, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Hokkaido, Japan
2 Department of Emergency and Critical Care Center
NMC Case Rep J 2021 8 393 398