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更新日:2024年9月25日

病理診断科

病理診断科について 

病理診断科は病理組織診断、細胞診断、病理解剖を担っている診療科です。外来にたって患者さんにお会いすることはありませんが、患者さんの体から採取された組織を顕微鏡で診て、病気がどのようなものか質的に判断するのが仕事です。たくさんの検査がありますが、医師が中心的な役割を果たし、責任を持った診断を行うのは病理検査だけです。病理検査の結果から患者さんに最適な治療の道筋が見えてきます。専門的な知識や繊細な技術を必要とする、特殊染色、免疫組織化学、免疫蛍光法、電子顕微鏡を院内で行い、専門的で精度の高い病理診断を迅速に提供しています。

基本方針 

  1. 診療: 診療の根拠となる正確な病理診断を迅速に提供し、地域医療に貢献する当院の診療をしっかりと支えます。目まぐるしく進歩・変化する病理診断・臨床ニーズに対応し、患者さんにとって最善となる病理診断を常に目指します。
  2. 教育: 市中病院として病理専門医研修プログラムを有する道内で唯一の病理診断科です。当院の特性を活かした魅力ある研修環境を整備し、医療の第一線で活躍する次世代の病理医、病理検査技師等の人材育成に努めます。
  3. 研究: 病理学的解析手法を専門とする研究部門としての側面もあります。日々の病理診断から得られた知見を医学を一歩前に進める研究に結びつけ、広く社会に還元する研究活動を大切に考えています。

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こんな症状、疾患を診ています 

病理組織診断

内視鏡等で胃や腸や肺の病変の一部を採取したり、皮膚の病変などの一部を採取したりすることを生検と言います。小さな組織片から病理検査技師が組織標本を作り、病理医が顕微鏡で観察して診断を行います。また、手術で摘出された臓器からも標本を作製し、腫瘍の進行度、転移の有無、完全に腫瘍が取り切れているかどうかなどを調べ、手術後の治療方針を決める上で重要な情報を主治医に提供しています。近年、がんにどのような薬が効くかを判定するため、病理標本を用いた免疫組織化学や遺伝子検査が不可欠になっています。当科では220種類以上の抗体を取り揃え、迅速な免疫組織化学を提供しています。また、遺伝子検査の成功率を高めるため、ホルマリン固定時間の厳守、病理医による腫瘍細胞量の評価など、様々な取り組みを行っています。診断はいつも容易に結論付けられるとは限りませんが、診療が滞らないよう適正な答えを適切な時間内に返すことを重要視しています。我々の経験が乏しく診断が難しい場合、積極的に外部の専門家にコンサルテーションを行い、診断の精度管理に努めています。

術中迅速診断

切除範囲や手術方法の決定のため、手術中に採取した組織を凍結して標本を作製し、約15分~20分の短時間で診断します。標本の作製と診断に手間と熟練を要する検査ですが、必要十分な切除を行うために非常に有用な方法です。迅速診断に出された検体はホルマリン固定を行い後日詳細な評価を行って報告します。また、迅速細胞診も主に腹水や胸水を対象として行っています。

腎生検診断

当科では専門的な腎生検診断を行っております。1973年からこれまでに27000件を越える腎生検を診断してきました。この数は全国でも有数で、腎生検診断・腎生検標本作製にかかわる豊富なノウハウの蓄積があります。膜性腎症新規抗原の免疫染色など、他施設では導入が少ない抗体も取り揃え、最新の腎生検診断を主治医や患者さんに還元することを目標にしております。遠方(道東・道北地方や北海道外)からも多数委託して頂いています。腎生検診断をご希望の先生は以下のリンクをご参照ください。

細胞診断

患者さんの体から得られた細胞を顕微鏡で観察して、主に良性・悪性の判断を行います。擦過細胞診(子宮頸部などから綿棒のようなもので細胞をこすり取ってくる)、剥離細胞診(喀痰、尿、体腔液など、液体中に自然にこぼれ出た細胞を採取する)、穿刺吸引細胞診(甲状腺、乳腺、リンパ節などに針を刺して細胞を採取する)などの種類があります。患者さんの負担が少なく、繰り返し検査を行うことができます。組織構築の判定が難しいため、組織型決定は難しいですが、最近ではセルブロック標本や液状化細胞診で免疫組織化学を併用して、組織診に匹敵する組織型決定ができる場面も増えています。複数の細胞検査士がスクリーニング(標本上のすべての細胞を観察し、異常な細胞を検出する)を行い、異常所見がみられた場合、病理医が一緒に診断しています。

病理解剖

不幸にして病気で亡くなられてしまった患者さんのご遺体を、ご家族の承諾のもと病理解剖を行います。生前の診断は正しかったか、治療効果はどの程度あったかなどについて詳しく検討します。解剖によって、生前はわからなかった病気の原因や死因があきらかになることもあります。病理解剖の結果は、毎月行われる臨床病理検討会で、主治医、病理医、放射線診断医、研修医、医療スタッフの間で共有され、教育や今後の診療に役立てられます。地域連携医療機関からの病理解剖委託も受け付けております。詳細は以下のリンクをご参照ください。

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こんなこともやっています 

病理診断が、患者さんの診療に的確に反映されるためには、日頃からの各診療科との密な連携が欠かせません。当科では多数の診療科と定期的なカンファレンスを行い、臨床と病理を総合して患者さんの病態を把握するよう努めています。
また、日々の病理診断から得られた知見を臨床研究に結びつけ、その成果を国内外に発信しています。当科で行っている臨床研究についてお知りになりたい方は、当院倫理委員会の情報公開文書をご参照ください。

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私たちが担当しています~担当医紹介~ 

職名  氏名        専門分野 資格等
部長 辻 隆裕つじ たかひろ 外科病理学一般
腎臓・移植腎病理学

日本専門医機構病理専門医
日本病理学会分子病理専門医・研修指導医・評議員                      
日本臨床細胞学会細胞診専門医
日本臨床検査医学会臨床検査管理医

副医長 石井 保志いしい やすし 外科病理学一般

日本病理学会病理専門医

日本臨床細胞学会細胞診専門医

一般職 山口 貴子やまぐち たかこ 外科病理学一般

日本専門医機構病理専門医

日本病理学会病理専門医

日本臨床細胞学会細胞診専門医

青山 怜史あおやま さとし 外科病理学一般 市立札幌病院病理専門研修プログラム専攻医
嘱託医 深澤 雄一郎ふかざわ ゆういちろう      外科病理学一般
腎臓・移植腎病理学

日本専門医機構病理専門医
日本病理学会研修指導医・評議員
日本臨床細胞学会細胞診専門医
日本移植学会認定医

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診療実績 

内容

2019年 2020年 2021年 2022年
病理組織診断(腎生検以外)

6,199

4,245

4,445

5,963
腎生検診断

886

731

737 680
迅速病理診断

396

267

191 225
細胞診

6,868

5,596

5,457 5,812
迅速細胞診

89

72

66 75
病理解剖

21

9

10 12

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学会・研究会等発表演題 

令和5年(2023年)

演題名                出題者名       所属    学会名 発表月日    発表地  

検体種別(生検検体か手術検体か)

および採取日別での胃癌HER2発現状況の検討(HER_WEEKEND study)

中村 路夫

渡邉 綾子

吉澤 明希

岩崎 沙理

野村 朝子

松村 まり子

村井 太一

板谷 一史

小池 祐太

出水 孝章

遠藤 文菜

加藤 新

小野 雄司

大島 隆宏

岡崎 ななせ

仲川 心平

石井 保志

深澤 雄一郎

横田 勲

辻 隆裕

西川 秀司

市立札幌病院消化器内科
市立札幌病院検査部生体検査課
市立札幌病院病理診断科
市立札幌病院外科
北海道大学大学院医学研究院医学統計学教室

第95回

日本胃癌学会総会

2023年

2月23日

  -25日

札幌

 

令和2年(2020年)

演題名               出題者名       所属     学会名 発表月日     発表地  
移植腎病理教育セミナー:i-IFTAとCATCMRを考える: i-IFTAを理解する 辻 隆裕 市立札幌病院 病理診断科 第53回日本臨床腎移植学会

2020年

2月19日

東京
腎生検組織におけるNeutrophil Extracellular Traps(NETs)の検討

岩崎 沙理1)
益田 紗季子2)
石津 明洋2)
大塚 拓也1)
牧田 啓史1)
深澤 雄一郎1)

辻 隆裕1)

1) 市立札幌病院病理診断科
2) 北海道大学大学院保健科学研究院
第109回 日本病理学会総会

2020年

4月15日

WEB
Lymphoplasmacytic lymphoma(LPL)骨髄病変におけるMYD88変異と組織像の検討 辻 隆裕1)
岩崎 沙理1)
牧田 啓史1)
大塚 拓也1)
深澤 雄一郎1)
笠原 郁美2)
山口 圭介2)
坂井 俊哉2)
山本 聡2)

1) 市立札幌病院病理診断科
2) 同血液内科

第109回 日本病理学会総会

2020年

4月16日

WEB
診断に苦慮した腎腫瘍の一例 辻 隆裕1)
福井 秀章1)
牧田 啓史1)
岩崎 沙理1)
深澤 雄一郎1) 3)
守屋 仁彦2)
黒田 直人4)
三上 修治5)
1) 市立札幌病院病理診断科
2) 市立札幌病院泌尿器科
3) PCL札幌 病理・細胞診センター
4) 甲南医療センター病理診断科
5) 慶應義塾大学病院病理診断科
第190回 標本交見会(日本病理学会北海道支部学術集会) 2020年
6月20日
WEB
内皮細胞障害に関連した最近の知見 岩崎 沙理 市立札幌病院 病理診断科 第63回 日本腎臓学会総会

2020年

8月15日

横浜
腎病理企画 1 病態を考えるための腎病理11のレッスン10:移植後の腎機能低下。拒絶か薬剤性腎障害か、感染症なのか? 辻 隆裕 市立札幌病院 病理診断科 第50回 日本腎臓学会東部学術集会

2020年

9月17日

WEB
移植腎病理サバイバルガイド 辻 隆裕 市立札幌病院 病理診断科 第2回旭川医大病理部・病理診断科セミナー

2020年

10月12日

旭川
Banff 2019 meeting reportの要点 辻 隆裕 市立札幌病院 病理診断科 移植腎病理webセミナー

2020年

12月14日

WEB
膜性腎症の再発が疑われた1例

岩崎 沙理1)
大寺 紗夜2)
島本 真実子2)
小川 弥生3)
福井 秀章1)
牧田 啓史1)
深澤 雄一郎1)

辻 隆裕1)

1) 市立札幌病院病理診断科
2) 同腎臓内科
3) 北海道腎病理センター
第192回標本交見会(日本病理学会北海道支部学術集会)

2020年

12月12日

WEB

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論文等 

令和5年(2023年)

論文名             著者名      所属 雑誌名
(書名)
発表地   ページ
The risk of weekend biopsy: Impact of specimen source and fixation status on HER2 assessment in the treatment of advanced gastric cancer (The HER_WEEKEND study) Michio Nakamura 1, Ayako Watanabe 2, Aki Yoshizawa 2, Sari Iwasaki 3, Asako Nomura 1, Mariko Matsumura 1, Taichi Murai 1, Kazufumi Itaya 1, Yuta Koike 1, Takaaki Izumi 1, Ayana Endo 1, Shin Kato 1, Yuji Ono 1, Takahiro Ohshima 4, Nanase Okazaki 3, Shimpei Nakagawa 3, Yasushi Ishii 3, Yuichiro Fukasawa 3, Isao Yokota 5, Takahiro Tsuji 3, Shuji Nishikawa 1

1Department of Gastroenterology

, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan.
2Department of Clinical Laboratories, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan.
3Department of Pathology, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan.
4Department of Surgery, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan.
5Department of Biostatistics, Graduate School of Medicine, Hokkaido University, Sapporo, Japan.

 Pathology International

2023

Aug17

  1 11

 

令和2年(2020年)

論文名            著者名 所属       雑誌名
(書名)
発表年   ページ
Preceding T-Cell-Mediated Rejection Is Associated with the Development of Chronic Active Antibody-Mediated Rejection by de Novo Donor-Specific Antibody Takahiro Tsuji 1,
Sari Iwasaki 2,
Keishi Makita 2, Teppei Imamoto 2, Naomichi Ishidate 2, Akihiko Mitsuke 3, Nobuyuki Fukuzawa 3,
Hiroshi Harada 3, Yuichiro Fukazawa 2

1Department of Pathology,

Sapporo City General

Hospital, Sapporo, Japan,
2Department

of Pathology,

Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan.
3Department of Kidney

Trans

plant Surgery, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan.

Nephron 2020 144 13 17
Infliximab-Induced Granulomatous Vasculitis With Amyloid Deposition in the Tongue of a Patient With Behçet Disease Sari Iwasaki 1, Toshiyuki Watanabe 2, Takahiro Tsuji 1, Takuya Otsuka 1, Keishi Makita 1, Yuichiro Fukasawa 1, Akihiro Ishizu 3

1Department of Pathology,

Sapporo City General Hospital, Sapporo.
2Department

of Internal medicine, Tomakomai

City Hospital, Tomakomai.
3Faculty of

Health Sciences,

Hokkaido University, Sapporo, Japan.

J Clin Rheumatol 2020

PMID:
3282

6655

   
Association of Epstein-Barr virus with regression after withdrawal of immunosuppressive drugs and subsequent progression of iatrogenic immunodeficiency-associated lymphoproliferative disorders in patients with autoimmune diseases Katsuya Fujimoto 1 2, Kanako C Hatanaka 3, Yutaka Hatanaka 3, Ikumi Kasahara 4, Satoshi Yamamoto 4, Takahiro Tsuji 5, Masanobu Nakata 6, Yasunari Takakuwa 7, Yoshihito Haseyama 8,
Yumiko Oyamada 9, Masakatsu Yonezumi 2,
Hiroaki Suzuki 10, Hajime Sakai 11, Hiroko Noguchi 12, Akio Mori 13,
Hiroshi Nishihara 14, Takanori Teshima 1, Yoshihiro Matsuno 3

1Department of

Hematology, Graduate

School of

Medicine,

Hokkaido University, Sapporo,

Hokkaido,

Japan.ほか

Hematol Oncol 2020 38 799 807
Increased urinary exosomal SYT17 levels in chronic active antibody-mediated rejection after kidney transplantation via the IL-6 amplifier Yusuke Takada1 2,
Daisuke Kamimura1,
Jing-Jing Jiang 1 3,
Haruka Higuchi 1 2,
Daiki Iwami 2,
Kiyohiko Hotta 2,
Yuki Tanaka 1,
Mitsutoshi Ota 1,
Madoka Higuchi 1 2,
Saori Nishio 4,
Tatsuya Atsumi 4,
Nobuo Shinohara 2,
Yoshihiro Matsuno 5,
Takahiro Tsuji 6,
Tatsu Tanabe 7,
Hajime Sasaki 7,
Naoya Iwahara 2,
Masaaki Murakami 1

Molecular Psychoim

munology, Institute for Genetic Medicine, Graduate School of Medicine, Hokkaido University, Sapporo, Japan.ほか

Int Immunol 2020 32 653 662
Incidence of anti-NMDAR encephalitis in patients undergoing resection of ovarian teratoma in a single institution Hiroaki Yaguchi 1,
Takahiro Tsuji 2,
Ichiro Yabe 3,
Emi Hirayama 4,
Taichi Nomura 5,
Ikkei Ohashi 5,
Yasunori Mito 5,
Keiko Tanaka 6,
Yasutaka Tajima 5
1 Department of Neurology, Brain Science Center, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan; Department of Neurology, Hokkaido University Graduate School of Medicine, Sapporo, Hokkaido, Japan. ほか J Neurol Sci 2020

PMID: 3184

6782

   
腎臓の構成細胞から再考する:基礎と臨床、糸球体内皮細胞の解剖学的特徴と病理 岩崎 沙理1
辻 隆裕1
石津 明洋2
1 市立札幌病院 病理診断科
2 北海道大学大学院保健科学研究院
腎と透析 2020 89