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札幌市の鳥は、わたくしカッコウなのです。
札幌の生き物情報など、生物多様性についての色々な情報を皆さんにお届けするッコー!
北海道に生息するサンショウウオは、「エゾサンショウウオ」と「キタサンショウウオ」の2種類。このうち札幌には「エゾサンショウウオ」が生息しています。
札幌をはじめほぼ道内全域に生息する「エゾサンショウウオ」は、最も普通に見られるサンショウウオですが、実は北海道にしか生息していない固有種です。一方、「キタサンショウウオ」は日本では釧路湿原にのみ生息していますが、世界的には広く分布しています。
エゾサンショウウオの産卵は、4~5月の春の雪解け時期。池や水たまりにコイル状に産みつけられたサンショウウオの卵は1か月ほどで孵化し、外に飛び出たエラを持つ幼生となります。幼生は、カエルのオタマジャクシとは逆で、前→後の順に足が生えます。その後エラが消えて幼体となり、10~20cmほどの成体へと成長します。
行動範囲が狭く、環境の変化にとても弱いエゾサンショウウオは、北海道のレッドデータブックで、保護に留意すべき「留意種」に、生息域が孤立している石狩平野の個体群は「地域個体群」に指定されています。
また、近年、外来種であるアライグマに食べられる被害も報告されており、生息数の減少が懸念されています。
札幌市内では、秋から冬にかけて、豊平川や琴似発寒川、星置川などで、遡上するサケの姿を見ることができます。
産卵のために川をさかのぼるサケの姿は、私たちに感動や癒しを与えくれます。また、サケは北海道を代表する食材であり、サケの文化は次の世代に残したい「北海道遺産」のひとつに選ばれるなど、サケは私たちの暮らしにさまざまな恵みをもたらしてくれています。
生態系の中で、サケは海・川・森をつなぎ、栄養を循環させる重要な役割を担っています。普通、森で作られた栄養は、川の流れとともに海へと下っていきますが、海から川へと上ってくるサケは、海の栄養を川から森へと運び上げます。産卵後のサケ“ホッチャレ”は、水生昆虫やプランクトンなどの栄養となって河川の生態系を維持するだけではなく、陸に暮らすクマやキツネ、トビなどの動物のエサになることで河畔林など森林生態系の維持にも貢献しています。
札幌の都心を流れる豊平川には、市民の「カムバックサーモン運動」により、稚魚の放流でサケの遡上が回復した歴史がありますが、最近の調査で、自然産卵した野生サケの割合が約7割まで高まっていることがわかってきました。これを受け、平成26年、市民や研究者、札幌市豊平川さけ科学館のスタッフなどが「札幌ワイルドサーモンプロジェクト(SWSP)」を立ち上げました。野生サケを優先的に保全しようというこのプロジェクトは、新たな取組として注目されています。
キノコは、カビや酵母などと同じ菌類の仲間です。菌類は、名前のついているものは世界でおよそ10万種、推定では150万種いるといわれています。日本には約12,000種の菌類が確認されており、このうちキノコは2千種ほどですが、名前がついていないものを含めると5千種を超えると考えられています。
キノコは、枯れた植物や動物の死がいなど有機物を分解して無機物に変える分解者であるとともに、寄生して栄養を吸収したり、共生して植物の成長を助けたりするなど、生態系の中で物質を円滑に循環させる大切な役目を果たしています。
秋の味覚の代表格でもあるキノコですが、キノコ狩りシーズンは全国各地で毒キノコによる食中毒が起きています。毒キノコの中には、食べられるキノコと簡単に見分けることのできないものがあります。その一例が、毒のある「ツキヨタケ」と食べられる「ムキタケ」。見た目がそっくりで、同じ場所に混ざって生えることもあるので注意が必要です。
「縦に裂けるキノコは食べられる」、「虫が食っているキノコは食べられる」などは迷信です。キノコ狩りを楽しむには、知らないキノコは「採らない・食べない・人にあげない」を守り、採りすぎない配慮もお忘れなく。
オオムラサキは、昭和32年(1957年)に日本昆虫学会で「国蝶」に選ばれたチョウです。
オスの成虫の羽が青紫に輝くことが名前の由来で、はばたくときに「バサッバサッ」と羽音を立てて飛ぶ、大きな美しいチョウです。
羽の表側は鮮やかですが、裏側はクリーム色の保護色になっています。
ちなみに、メスはオスより大きく茶色です。
札幌では7月から8月上旬にかけて、八剣山や藻岩山、円山などで舞う姿を見ることができます。
幼虫はエゾエノキという木の葉を食べ、成虫はミズナラやハルニレの樹液を吸います。
オオムラサキが生きていくには、エゾエノキやミズナラなどのさまざまな種類の木や、樹皮に傷をつけて樹液を出してくれるスズメバチやクワガタムシ、鳥などの存在が不可欠です。
オオムラサキは、豊かな雑木林とそこに暮らす生き物のつながりを象徴する生き物なのです。
5月下旬から6月上旬にかけて、可憐な花を咲かせる「スズラン」は、札幌市のシンボルフラワーです。昭和35年に人口50万人突破を記念して、札幌の木である「ライラック」、札幌の鳥の「カッコウ」とともに、市民投票で選ばれました。
「スズラン」には、ヨーロッパ原産の“ドイツスズラン”と日本在来の“スズラン”の2種類あることをご存じですか?花壇などでよく見かけるのは園芸種のドイツスズランで、葉と花の高さがほぼ同じなのに対し、日本のスズランは葉より花が低く、葉の陰でひっそりと咲く姿から、「君影草」(きみかげそう)や「谷間の姫百合」(たにまのひめゆり)の別名もあります。
在来のスズランは今ではあまり見られなくなっており、手稲区の富丘西公園では地域の方々の協力で自生スズランの保全活動を行っています。
美しい花と甘い香りで和ませてくれるスズランですが、実は猛毒をもつ毒草です。ギョウジャニンニクなどの山菜と間違えて食べると食中毒を起こすのでご注意を。
「スプリング・エフェメラル」(Spring ephemeral)という言葉を知っていますか?
直訳すると“春のはかないもの”という意味になり、雪解けとともに春の短い間にだけ一斉に姿を見せる春植物のことをいいます。
札幌では、4~5月に花を咲かせるフクジュソウやカタクリ、エゾエンゴサクなどが代表的で、小さく、明るい色の花の植物が多く、“春の妖精”ともいわれます。
花が咲いた後は、夏までの間、葉をつけて光合成を行い栄養を蓄えます。そしてその後は、次の春まで地中の地下茎や球根の姿で過ごすというライフサイクルを持ちます。
他の植物がまだ眠っている早春に花を咲かせ、他の植物や木々の葉が茂る頃には生長を終え、土の中で来年の春をじっと待つ、ただかわいらしいだけではなく、たくましく生きている植物たちです。
ようやく札幌も“春の妖精”たちに会える季節を迎えました。
身近な植物や生き物を探しに、外にでてみませんか?
地理的に温帯と亜寒帯の境界に位置しており、北方系と南方系の生き物が混在して生息する札幌市は、大都市にも関わらず、約6,000種と多くの生き物が記録されています。
その中には「サッポロフキバッタ」や定山渓にちなんだ「ジョウザンシジミ」という蝶、自然の宝庫である藻岩山にちなんだ「モイワサナエ」というトンボや、「モイワラン」、「モイワナズナ」という植物など、名前に札幌の地名のついた生き物も数多くいます。
特に昆虫は多く、和名や学名に札幌の地名のついたものが100種類以上いるといわれています。
では、なぜこんなに札幌の地名をもつ昆虫が多いのでしょうか。
これは、札幌市が、日本で初めて昆虫学研究室(当時の札幌農学校。現在の北海道大学)のできた、日本の昆虫学発祥の地であることに由来します。
身近にいる昆虫や植物も、実は札幌の地名がついたものかもしれません。
札幌の地名のついた生き物を探してみませんか?
1992年5月22日、ケニアのナイロビ(国連環境計画UNEPの事務局所在地)で、生物多様性条約の本文が合意されました。
この日を記念し、国連では、2002年からこの5月22日を「国際生物多様性の日」と定め、生物多様性条約事務局(カナダ)は毎年テーマを設定し、各国にそのテーマに関するイベントを実施して、普及啓発を行うことを呼びかけています。
「グリーンウェイブ」とは、生物多様性条約事務局が全世界に参加を呼び掛けているもので、国際生物多様性の日である5月22日の朝10時(現地時間)に、世界各地の学校や地域で植樹などを行うことにより、その行動が地球上を東から西へと波のように広がっていく、つまり「緑の波(グリーンウェイブ)」をつくろう、というものです。
日本でも、環境省、国土交通省、農林水産省でグリーンウェイブ活動への参加を呼び掛けています。
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