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生物多様性の保全は、市民、事業者、行政などの各主体がそれぞれ取り組まなければならない課題です。
事業者は、直接又は間接的に生物多様性から恩恵を受ける一方で、事業活動を通じて生物多様性に様々な影響を与えています。また、製品やサービスを通じて広く社会に生物多様性の恵みを供給するなど、事業者は社会の一員として重要な役割も担っています。
このページは、生物多様性と事業活動の関わりや事業者が考えるべき生物多様性の保全について紹介します
事業者の皆様は、自らの事業活動が生物多様性の恵みによって成り立っていると考えたことがあるでしょうか?
例えば、農林水産業は、農作物や木材、水産物など生物多様性からもたらされる様々な自然の恵みによって事業活動が成り立っています。また、飲食業やスーパーマーケットなどの小売業では、生物資源を商品として扱っており、直接的に生物多様性と関わっています。
それでは、サービス業や運送業など、一見、生物多様性と関わりがなさそうな業種ではどうでしょうか?
どの業種でも、事業活動を行うには、紙やエネルギーなどの資源を例外なく使用しています。
紙は、世界の森林資源を消費することでもたらされています。また、エネルギーのほとんどは石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料であり、エネルギーの利用は化石燃料の産出国の生物多様性や生物多様性からの恵みを利用させてもらっているということになります。
このように考えると、あらゆる業種の事業活動が生物多様性の恵みによって支えられていることがわかります。
事業活動は生物多様性の恵みに支えられている一方、その事業活動は生物多様性に大きな影響を及ぼしています。
例えば、建物や道路を建設したり、土地を利用することは、その地域の自然環境に影響を与えます。
また、工場から排出されるガスや、不適切に処理された廃水・廃棄物などは、大気汚染や水質汚濁、土壌汚染などの自然環境の悪化を招き、その周辺の生物多様性にも影響を与えます。
様々な事業活動で欠かせない電気や熱などのエネルギーの消費は、CO2などの温室効果ガスの排出を伴い地球温暖化を招きます。温暖化は、多くの種の絶滅や生態系の崩壊などを引き起こすといわれており、地球上に生息する全ての動植物に影響を与えることになります。
つまり、直接的・間接的の差はあるものの、全ての事業活動は生物多様性に何らかの影響を与えているのです。
事業活動は、生物多様性の恵みに支えられている一方、その生物多様性に影響を及ぼしています。このことは、事業活動が原因で自らの事業活動が持続できなくなるかもしれないという危険性があることを示しています。
下図は、生物多様性と事業活動の関係を示したものです。
左の図は生物多様性に配慮した事業活動を行った場合ですが、この場合、生物多様性の喪失は最小限にとどめられ、そこから得られる恩恵を享受し続けることで、事業が継続されていきます。
一方、右の図は生物多様性に配慮せず事業活動を行った場合ですが、この場合、生物多様性に何らかの悪影響を及ぼし生物多様性の喪失が進んでしまうことで、そこから得られる恩恵も少なくなっていきます。そしてこのことが事業規模の縮小や事業継続の危機を招く結果となってしまうのです。
事業活動において生物多様性に配慮することは、自らの事業活動を継続させるために必要不可欠な取組であるといえます。
生物多様性保全の第一歩は、自らの事業活動が生物多様性とどのような関係にあるかを知ることです。
事業活動の種類はあまたありますから、当然、生物多様性との関わり方もそれぞれ異なります。
自らの事業が、直接的・間接的にどのような生物多様性の恵みに依存しているのか、また、生物多様性にどのような影響を与えているのか、関係が把握できれば、次に生物多様性の保全に必要な取組を検討することができます。
自らの事業活動が生物多様性とどのような関係にあるのかを把握したら、今度は、生物多様性の恵みを継続的に利用し将来にわたって事業を継続するために、また、生物多様性に与えている負の影響を軽減するために、どのような取組が重要かを検討し、実践します。
効果の大きい取組を検討・実施することはよいことですが、当然コストや時間などの制約の範囲内で取組を行う必要があるため、今行っている事業活動の中で配慮事項を設けるなど、すぐにできるところから始めていく姿勢も重要となってきます。
以下に、各事業活動における生物多様性保全のための取組例を示します。
本ページは環境省で公表している「生物多様性民間参画ガイドライン」を参考にして作成しています。
当ガイドラインには、事業活動における生物多様性保全へ向けた取組についての基本原則及び取組方針のほか、業種ごとの具体取組事例なども記載されています。事業を行う際の参考としてください。
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