ここから本文です。
生・半生の鶏肉料理による食中毒は全国的に多発していますが、令和2年には、市内の飲食店において、カンピロバクター属菌を原因とする食中毒事件が連続して発生しました。
いずれの事例においても、加熱用の食肉を加熱不十分な状態で提供していた実態があり、それらのメニューにより健康を害した可能性が考えられます。
《令和2年(2020年)に札幌市内の飲食店で発生したカンピロバクター食中毒》
食中毒と断定し営業停止処分としたもの
発生日 | 原因食品 | 患者に提供された主なメニュー |
6月30日 | 原因施設が調理した食品 | 鶏白レバーたたき、鯖缶のサラダ など |
9月28日 | 当該飲食店が提供した食品 | ササミ刺身おろしポン酢、焼き鳥串盛り(ササミ串、とり串、ハツ串、つくね串、レバー串) など |
9月13日 | 焼き鳥(推定) |
焼き鳥(鶏レバー、鶏なんこつ、鶏ささみレア焼き、つくね、鶏もも、鶏せせり など) ※保健所による調査の結果、焼き鳥の加熱が不十分であった可能性が高いと考えられる。 |
10月2日 | 鶏レバー料理(推定) | ふわとろレバニラ炒め、低温調理鳥レバー刺し など ※保健所の調査の結果、 加熱不十分な食肉が提供されていた。 |
9月29日 | 鶏レバー串(推定) | 鶏レバー串、鶏ささみのなめろう など |
10月5日 | 鶏レバ刺し(推定) | 鶏レバ刺し、鶏ハツ刺し、牛刺し、牛タン刺し など |
10月7日 | 当該店舗で提供された食品 | 焼鳥(白レバー、鶏精、ハツ、砂肝、鶏皮、ズッキーニ、もちベーコン)、とりわさ など |
11月10日 | 当該店舗で提供された食品 | 炙り刺し(鳥レバー炙り、鳥タタキ)、刺身(甘エビ、サーモン、マダイ、ウニ、マグロ など |
鶏肉の刺身、タタキなどで多くの食中毒が発生しています。
鶏肉は、約7割からカンピロバクター等の食中毒菌が検出されており、「加熱しなければ食中毒菌がいて当たり前」の食材です。
市内でも多くの患者さんが出ている現状を踏まえ、生や半生状態の鶏肉メニューは提供しないでください。
食中毒が発生した施設では、「きちんと焼いていたつもりだが不十分だった」、「温度を測ってみたところ中まで火が通っていなかった」といった状況が見られます。
また、いわゆる低温調理の温度設定、加熱時間が不適切な施設も市内に散見されます。
肉は中心部まで十分に加熱して提供してください。
【中心部まで十分に加熱するための条件】
中心部の温度は以下を目安に加熱しましょう。
・75℃の場合、1分以上
・63℃の場合、30分以上
オーブンや湯温の設定温度、食品表面の温度ではないことに注意してください。
中心温度計を用いて肉の内部温度を測定するなど、普段の調理が適切か再確認してみましょう。
鶏肉以外の食肉も、規格基準に適合する生食用牛肉などを除き、基本的に肉は生で提供しないでください。
焼肉店などでは、食べる箸の他に、生肉を取るための専用のトング又は箸を提供し、食べる箸との使い分けを呼びかけてください。
肉が加熱不十分にならないよう、中心部まで十分に加熱してから喫食するよう消費者に注意喚起してください。漬け込み肉、内臓肉などは特に十分加熱を行うよう消費者に情報提供してください。
少量の菌の付着でも食中毒が起きます。
手や器具を介して食肉についていた菌がサラダなどのその他の提供メニューにうつる(二次汚染)ことのないように、手洗いや使用器具の洗浄消毒を徹底し、器具や作業エリアを使い分けるなどの工夫をしてください。
鶏肉をはじめとした食肉は、「加熱しなければ食中毒菌がいて当たり前」の食材です。
「飲食店には、スーパーなどと違い、特別に生で食べられる鶏肉が入荷されているのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、鶏の体内にはカンピロバクタ―等の食中毒菌がいるのは普通のことであり、肉の解体処理のなかで菌を除去することはできません。
保健所による飲食店の立ち入り検査の結果でも、「加熱用」の肉を客に生で提供している実態を確認しています。保健所では繰り返し指導を行っていますが、残念ながら生で食べられない肉を生食用として提供する店が市内にも存在しています。中には「お客様に人気のメニューなので…」と言う営業者もいます。
市民の皆様には、鶏レバ刺し、ささみの刺身など、飲食店で提供しているメニューで全国的にも多くの食中毒が発生し、問題になっていることを知っていただきたいと思います。そして、是非周囲の方々にも、鶏肉をはじめとした肉の生食、加熱不十分の怖さについて伝えてください。
現在、法律では鶏の生食は禁止されていませんが、今では法律で生食提供が禁止されている牛レバーや豚肉も、かつては提供が禁止されているわけではありませんでした。
「肉は加熱して食べるのが当たり前」であったが故に法律に明記されていなかったのです。しかし、食中毒で尊い命が犠牲になる事故が起き、法律が改正され、現在では牛レバー、規準を満たさない牛肉及び豚肉の生食提供は法律で禁止され、飲食店のメニューから姿を消しました。
幼児や高齢者に限らず、健康な成人でも肉の生食にはリスクがあります。
重症化する場合があるほか、カンピロバクター食中毒では、一旦治癒したあと手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されています。
ご自身、そして大切な方の健康を守るため、肉は生で食べない、そして周囲にも勧めないようにしてください。
食中毒については、札幌市保健所食の安全推進課、広域食品監視センター又は各区保健センター健康・子ども課にご相談ください。
関連リンク
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。
このページについてのお問い合わせ
こちらのフォームは掲載内容に関するお問合せにご利用ください(対応・回答は開庁日のみとさせていただきます。)。
食中毒の発生や不良食品に関する個別のご相談は直接相談窓口までお願いいたします。
Copyright © City of Sapporo All rights Reserved.