ここから本文です。

更新日:2016年6月14日

札幌市衛生研究所-調査研究(1990

毒素原生大腸菌によると推定された3例の食中毒事例について(PDF:149KB)

1989年4月から1990年3月までの1年間に札幌市において3件の病原大腸菌による集団下痢症が発生し、いずれもが毒素原性大腸菌(血清型O6及びO27)によるであった。そこで各事例の発生状況をまとめ、分離した112株の各種生化学的性状、毒素産生性及び薬剤感受性について検討した。生化学的性状試験でリジン脱炭酸、アドニット・ラフィノース分解性の各項目において性状の異なる株が血清型O6に見られた。下痢原生毒素である易熱性エンテロトキシン(LT)及び耐熱性エンテロトキシン(ST)産生試験で血清型O6は全てLT及びST両毒素産性、血清型O27は全てST単独産生性を示した。薬剤感受性試験では薬剤耐性型は全てテトラサイクリン単独耐性型であった。(41-45ページ)

札幌市の河川におけるナグビブリオの分布について(PDF:355KB)

1988年4月から1990年3月までの2年間、札幌市内3河川8定点で最確数法によりナグビブリオの定量を行った。得られた最確数は0.1~37/100mlでほとんどの定点で夏期が高く、冬期は低いか又は検出されなかった。しかし、豊平川上流の御料橋だけは冬期にも夏期と同じくらいの最確数が得られた。また、新川の天狗橋では調査期間中に1回だけ最確数が通常の約100倍に増えたことがあり、一過性の汚染の存在が示された。今回分離した138株について生化学的性状を調べたところ、2つの河川から分離した138株について生化学性状を調べたところ、2つの河川から分離した菌株は数種類分離できた。しかし、豊平川から分離した62株については1株を除いてすべて同一の性状を示した。さらにコレラエンテロトキシンの産生性を調べたところ、全株陰性だった。(46-49ページ)

1989~1990年の札幌市におけるインフルエンザの流行について(PDF:129KB)

札幌市における今季のインフルエンザの流行はA香港型ウイルスとB型ウイルスによるものでった。1989年11月~12月にかけてA香港型が検出された。1990年1月になって市内の医療機関からインフルエンザウイルスの分離はとだえたが、2月になってB型が検出された。全国にも1989にはA香港型が、1990年になってB型が多数検出され、全国の調査対象施設における総患者数は過去5年間で最大の107万人であった。(50-54ページ)

化学発光免疫測定法による乾燥濾紙血液クレアチンキナーゼMBの測定とDuchenne型筋ジストロフィ症のスクリ-ニングへの応用(PDF:500KB)

乾燥濾紙血液クレアチニンキナーゼMBの化学発光免疫測定法による基礎的検討を行い、測定感度、測定範囲、再現性、血清との相関等いずれも良好な成績が得られた。乾燥濾紙血液CKMBは室温で4週間の保存で90%以上が残存しており安定であった。本法による健常新生児、乳児、学童、成人のCKMB値は新生児期の20ng/mlから成人での1ng/mlまで漸減したが、Duchenne型筋ジストロフィ症患者9例では新生児から成人のいずれも異常高値を示した。乾燥濾紙血液CKMBの測定よりDuchenne型筋ジストロフィ症のスクリ-ニングが可能である。(55-61ページ)

乾燥濾紙血液によるヘモグロビン測定と妊婦貧血マススクリーニングへの応用について(PDF:381KB)

乾燥濾紙血液を用いるヘモグロビン(Hb)の測定法を検討し、妊婦の貧血検査に応用可能かどうか検討を行った。濾紙血液中のHbの測定は、全血で測定した値とよく一致し、簡便で迅速性再現性に優れていた。妊婦のHb値について検討を行ったところ、各妊娠週数における従来の疫学調査とよく一致し、現在でも妊婦の貧血は減少しているわけではなく、重要な周産期の検査項目であると考えられる。(62-65ページ)

酵素免疫測定法による濾紙血液TBG測定の検討(PDF:151KB)

先天性甲状腺機能低下症マススクリーニングの確認検査として実施しているTBG測定について、ビーズ固相ELISA法による検討を行った。ラジオアイソトープを用いず、試薬の入手が容易であり、迅速性再現性にすぐれ、従来のRIA法ともよい相関を示し、RIA法を変えて実施可能である。(66-70ページ)

札幌市における神経芽細胞腫マススクリーニングの受検勧奨について(PDF:426KB)

札幌市における神経芽細胞腫マススクリーニングにおいて、パーソナルコンピュータ-を用いた受検勧奨システムを開発し、平成元年12月から運用を開始し、平成元年12月から運用を開始した。受検勧奨は対象乳児を生後8カ月になっても検査を受けていない乳児とし、毎月1回案内のハガキを送付することにより行った。その結果、検査の受検率は勧奨システム導入前には約87%であったが、導入後は約97%と大幅に向上した。(71-77ページ)

マイクロプレート固相化ビオチン-HRP標識アビジン競合法による血清ビオチンの定量法[全](PDF:1,223KB)

分割ダウンロード[1](PDF:621KB)[2](PDF:609KB)

ビオチンとアビジンとの特異結合を利用した簡便、迅速な血清ビオチンのマイクロプレート比色法を開発した。ペルオキシダーゼ標識アビジン(AV-HRP)を試料中ビオチンとマイクロプレート固相化ビオチ二ルIgG(B-IgG)との間で競合させ、固相に結合したAV-HRPの量をペルオキシダーゼ発色系で測定する方法で、さらに、タンパク結合性、非結合性ビオチンの分別定量を目的として血清の直接測定(DirectAsasay)に加え、分画分子量10,000カットのフィルタ-を用いた血清ろ液についての測定(FiltrateAssay)についても検討した。本法の定量範囲は0.1~10ng/mlであり、再現性はこの範囲で変動係数3.3~13.7%と良好であった。しかし、血清への添加回収率はDirectAssayで32%~64%、FiltrateAssayで60~100%と非定量的であり、ビオチンの存在形態あるいは他の血清成分による影響が示唆された。
(77-83ページ)

有機酸代謝異常症の2カラムキャピラリーガスクロマトグラフィによるハイリスクスクリーニング法について(PDF:466KB)

医療機関にて、けいれん、意識障害、アシドーシスなどの臨床症状から、有機酸代謝異常症が少しでも疑われた場合、2カラムガスクロマトグラフィー法により、速やかに尿中有機酸代謝物を測定し、これら患児の早期発見を行う、ハイリスクスクリーニング法を検討した。ガスクロマトグラフィ-の測定は1回のインジェクションで極性の異なる2本のキャピラリーカラムによる分析、データ処理が可能なシステムで行い、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症、高乳酸血症及びジカルボン酸尿症患児試料の測定の結果、2カラムGC分析のみでこれらの患児の検出、診断は十分可能であった。これまでに21例ハイリスク児に対してスクリーニングを行い、高乳酸血症1例が検出されている。(84-91ページ)

酵素免疫測定法による乾燥濾紙血液遊離チロキシン測定の基礎的検討とクレチン症スクリーニングへの応用(PDF:378KB)

酵素免疫測定法(EnzymeLinkedImmumosorbentAssay,以下ELISA)により乾燥濾紙血液中の遊離チロキシン(FreeT4、以下T4)を測定するキットを用いて、その再現性・測定感度などの基礎的検討を行った。その結果、乾燥濾紙血液3.2mmディスク1枚で0.2~10ng/dlのFT4を測定でき、その精度は測定内変動係数7.6-15.0%、測定間変動係数9.4-18.5%と良好だった。さらに、新生児の乾燥濾紙血液検体を用いて放射性免疫測定法1)(Radio ImmunoAssay、以下RIA)による測定値との相関および平均値を比較検討した。平均値はほぼ同一であり、相関係数も0.95と良好な相関を得た。私達の検討したこの方法は先天性甲状腺機能低下症マススクリ-ニングにおけるFT4の測定方法として有用と考えられる。(92-96ページ)

札幌市における沢水、湧水からの大腸菌群の検出結果について(PDF:124KB)

昭和63年度と平成元年度に南区及び豊平区内の飲用目的の沢水、湧水(以下沢水等)から検出した大腸菌群陽性34件についても属腫の同定を試みた。また、市内一円の井戸水から検出した大腸菌群陽性79件についても属腫の同定を行った。その結果、沢水等からはProvidenciaalcalifaciens、Citrobacteramalonaticusの井戸水からは検出されない属腫が検出された。また、一部の沢水等及び井戸水からは病原性を持ち得る腸内細菌であるPseudomonasAeruginosa、Serrtiamarcensが検出されたことから、これらの水を飲用に供する時は殺菌処理を施す必要がある。(97-100ページ)

γ線検出器系に与える振動の影響について(PDF:124KB)

γ線検出器系のプリアンプは大きな振動や騒音の影響を受けて、エネルギ-ピ-クの半値幅(以下、半値幅と略す)が増加する原因となることが報告されている。半値幅の増加は、放射能濃度の測定に誤差を与えるので、振動や騒音源のある場所にγ線検出器計を設置した場合、これらの影響について検討をおこなう必要がある。このため、3種の標準線源(57Co、60Co、137Cs)を用いて、各核種の半値幅を測定することによって、γ線検出器系に与える影響を調べた。その結果、半値幅に増加は認められず、当所の振動レベルでは影響のないことが確認された。(101-104ページ)

セップパックカートリッジカラムを用いた農薬分析の前処理について-有機塩素系農薬への適用について-(PDF:349KB)

有機塩素系農薬分析の前処理の一手法であるクリ-ンナップ用カラムクロマトグラフィ-についてセップパックカ-トリッジの適用を検討した。セップパックカートリッジを使用し、農薬標準品について溶出試験を行ったところ、有機塩素系殺虫剤12種については15%ジエチルエーテル含有ヘキサン20ml、フタルイミド系殺菌剤2種については、ジエチルエーテル10mlでほぼ回収され、回収率は88~104%であった。今回の検討より、セップパックカ-トリッジを使用することによりカラム作製の手間が省け、溶媒の使用量を少なくすることができ、後段の濃縮操作が短いなどの利点が明らかとなった。(105-109ページ)

札幌市における大気環境中のF-11、F-12濃度について(PDF:559KB)

成層圏オゾン層を破壊するといわれてクロロフルオロカ-ボン類のうち、最も生産量が多いF-11、F-12について札幌市内における大気中の濃度を調査した。
この結果、F-11、F-12の濃度はいずれも廃棄物埋立地敷地内、自動車解体工場敷地内、冷凍冷蔵工場敷地内においてバックグラウンド値と比較して高い値を示し、一部における濃度はバックグラウンド値の数倍から数十倍であった。このことは、廃棄物埋立地を始めとしたこれらの施設が都市におけるF-11、F-12の発生源となっているいることを示している。(110-117ページ)

札幌市における酸性雨及び酸性雪調査(第2報)-市街中心部とバックグラウンド地域の雨雪水の化学性状の比較-(PDF:730KB)

地球規模の環境問題の一つとして、いわゆる酸性雨による森林、湖沼等の広範な環境破壊があげられるが、この対策として酸性雨のモニタリングは益々重要となってきている。今回、札幌市の市街地における降雨雪の化学性状を把握するため、市内中心部とバックグランド地点の1年間のpH、EC、イオン成分等のデ-タについて比較しながら解析を試みた。その結果として市街地の雨雪水中のCa2+、SO42-、NH4+、NO3-は市街地での影響を受ける割合いが大きく、また、PHは主にSO2、NOxに由来するSO42-、NO3-とアスファルト粉塵由来のCa2+の濃度比によって変動し易いこと等の知見が得られた。(118-132ページ)

循環水路による河川水浄化実験(第2報)(PDF:224KB)

前報に引き続き生物膜を付着させた循環水路による河川水の浄化実験を実施した。今回は実河川への応用を目的として敷設するコンクリ-トブロックの形状を改善するとともに水路長を2倍に延長して実験を行った。この結果、改善したブロックはBOD、全リンにすぐれた浄化効果がみられた。(133-139ページ)

前のページへ戻る

Adobe Acrobat Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。

このページについてのお問い合わせ

札幌市保健福祉局衛生研究所保健科学課

〒003-8505 札幌市白石区菊水9条1丁目5-22

電話番号:011-841-2341

ファクス番号:011-841-7073