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更新日:2016年2月22日

答申書 第4章

 第4章 施策を推進するにあたって

 本答申は、市民・企業・行政の共通の指針として広く認識され、「公共交通を軸とした交通体系の確立」に向けて、本答申に掲げられた施策が着実に推進されることを期待する。
 ここでは、今後の施策推進にあたっての、留意すべき点について述べる。

  (1)パートナーシップによる施策の推進
 「公共交通を軸とした交通体系の確立」と「適切な自動車交通の実現」を目指していくためには、適切な自動車利用に対する市民意識の転換や、自動車に過度に依存しないまちづくりなどを進めていくことが不可欠である。
 市民意識の転換を図るためには、環境への負荷低減効果や優れた定時性などの公共交通の利点について市民や企業の関心を高めることや、地域や目的に応じた適切な自動車利用のあり方について、市民とともに議論していくことが重要である。
 また、自動車に過度に依存しないまちづくりを進めていく上でも、市民が自ら積極的に地域の交通計画の策定に参画し、その地域における交通のあり方について議論を重ねて行くことが重要であり、市民の意識の転換にも寄与するものと考えられる。
 一方、これまで実施してきた施策には、各交通機関あるいは事業者などにおいて個別に対応してきたものがあり、複合的な施策として展開されていないために、期待された効果が発揮されていないものがあると思われる。今後は、事業者間の協議や連携によるサービスの一体化を図るなど、効果的な施策を複合的に展開していく必要がある。
 このように、これからの交通施策の推進にあたっては、市民・企業・行政が連携し協働していくことが必要である。

  (2)総合的、弾力的な計画の推進
 さまざまな施策を的確に進めるためには、今後の社会・経済情勢の変化に弾力的に対応していくことが重要である。
 本答申はおおむね20年後を目標として、交通の将来像を描いているが、計画期間中に社会・経済情勢が大きく変化した場合は、見直ししていくことも必要である。
 また、施策によってはまちづくりと整合を図りながら進めていくことや、長期的な視点に立って段階的に取り組むことなど、総合的に推進していくことが重要である。

  (3)事業経営などを考慮した施策の推進
 公共交通の利用の減少傾向や規制緩和の実施など、市営交通事業を取り巻く環境はきわめて厳しいものがあり、これまでにも事業の経営健全化に取り組んでいるが、多額な累積赤字を抱えるなど経営基盤の強化が重要な課題となっている。
 そのため、施策や事業の展開にあたっては、利用者数、採算性、費用対効果などさまざまな角度からの検討を行うとともに、交通事業の経営や長期的な見通しについて慎重に検討することが必要である。
 また、国における補助制度など交通政策の方向性に留意しつつ、上下分離方式など新たな事業手法についても検討していく必要がある。

  (4)適切な事業評価による施策の推進
 施策の推進にあたっては、個々の施策や事業が社会・経済情勢の変化や市民ニーズに的確に対応しているかなどを評価し、市民に分かりやすく提示することが必要である。
 そのためには、的確な目標設定を行い、施策実施の効果や市民の満足度などについて事業評価を行う施策評価マネジメントなどの導入が必要であり、その結果によって事業、運営の可否や見直しを検討するなど、効果的な施策の推進が重要である。

  (5)広域行政の推進
 近年、行政区域を越えた課題や単独での対応が難しい課題が増えるなど、広域行政の推進が必要となってきている。
 特に、交通については札幌市と周辺市町の結びつきが大きくなっており、公共交通の利用促進や、適切な自動車交通の実現に向けては、それぞれの行政区域で取り組むだけではなく、広域的な視点に立って施策の展開を進めていくことが重要である。したがって、圏域内の市町村とこれまで以上に連携を強化していくことが必要である。

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