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-幻の札幌オリンピックの巻-
いろいろ物議を醸し出したソルトレークオリンピックですが、元来、オリンピックには平和の輪移転としての重大な意義があると思います。4年間がんばってきた選手たちの活躍は勝つにしても負けるにしても深い感動を与えてくれます。
そんなオリンピックですが、わが札幌市でも昭和47年に開催しました。当時はオリンピックのため札幌の街が急速に整備され、地下鉄や幹線道路もでき、大都市の仲間入りをするきっかけになったのでした。先日、清田区役所から、「幻の札幌オリンピックの資料を寄贈したいという人がいる」という相談がありました。聞いた時、「幻」というところがひっかかりました。「幻って?47年に開催したじゃない。」とおもったのです。ですがそうではなかったのです。先に第12回オリンピックが東京で開催されることが決まり、当時の冬季オリンピックは夏季の開催国が優先権をもっていたので、札幌のほか長野や新潟などが立候補し、昭和12年6月に札幌市に決定しました。さっそく札幌の街はオリンピック開催に向けての整備の計画を作りました。しかしその年のうちに日中戦争が始まりました。戦火は拡大し日本は軍事一色に染められていきます。そしてついに昭和13年7月、東京、札幌両オリンピックの返上が決まりました。札幌のオリンピックの夢はほんの1年あまりで終わったのです。
それから昭和47年に開催されるまで実に30年以上も待たなければならなくなるのでした。もし日本が軍事ではなくオリンピックに向けて力を入れ、東京、札幌両都市で開催されていたら、あの忌まわしい戦争は起こらなかったのかもしれません。平和の祭典オリンピックはいつも戦争によって妨害されてきているのです。
さて寄贈資料ですが、当時のオリンピックのメダル図案等の貴重な資料でした。(右図参照)
60年近く経過しているのが不思議なほどきれいに保存されていました。当時の人がこのオリンピックをどんなに心待ちにしていたか、伝わってくるようです。貴重な資料を寄贈していただいた方に深く感謝するとともに「幻に終わったオリンピック」のことを後世に伝えていくことが我々の使命だとあらためて感じました。
(旧文化資料室時代に掲載していた内容を再掲載したものです。)
幻のオリンピックメダル図案
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