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更新日:2022年7月4日
当院気胸センターは、2008(平成20)年9月に開設しました。毎年130名以上を診察し、様々な治療を行い社会復帰していただいております。
気胸は若年男性に多い病気ではありますが、近年、喫煙の影響で肺気腫を基礎疾患とした高齢者の気胸も増加中です。肺気腫に続発した気胸は難治性のことも多く、手術、癒着療法、胸腔内糊療法、気管支塞栓術などを組み合わせて治療を行っています。男性ばかりでなく、女性の気胸も増加傾向です。女性の場合は生理に関係して起こる月経随伴性気胸、原因が解明されていない肺リンパ脈管筋腫症のような特殊な病気が隠れている場合があり、注意が必要です。
気胸に関し何かありましたら当センターにお気軽にご相談ください。
運動中や安静時、睡眠中など日常生活を送っているどんな場面においても気胸は突然発症します。代表的な症状は突然の胸痛です。肺の虚脱に伴い、軽度の息切れを自覚します。しかし、肺虚脱後時間が経過すると症状はいったん治まる場合が多いですが、この時期には体動時の息切れを自覚する場合があります。
気胸レントゲン
軽度
中等度
重度
緊張性
自然気胸は、20歳前後のやせ形の男性に多く、肺表面に肺嚢胞(ブラ;幕の薄い風船)が発生し破裂することにより発症します。続発性気胸は50歳から60歳の男性に多く、肺気腫、間質性肺炎等の基礎肺疾患を有し、脆弱となった肺表面(臓側胸膜)が破綻し発症します。女性気胸は比較的まれではありますが、女性特有の気胸(肺リンパ脈管筋腫症、月経随伴性気胸など)が見られます。
気胸CT
ブラ
軽度気胸であれば当院外来にて経過観察、中等度以上の気胸であれば初発気胸でも入院のうえ保存的治療(胸腔ドレナージ)を行っております。しかし、空気漏れの持続する患者さんあるいは反復する気胸の患者さんには胸腔鏡下手術を施行しています。
高齢の患者さんや重症な呼吸器疾患を合併し全身麻酔での手術が困難な患者さんには、積極的に胸腔造影検査を行い、肺瘻の位置を確認し、以下4種類の治療法(2~5)を選択して閉鎖を行っています。
全身麻酔下に胸に3か所の傷(ポート孔)を置き、肺嚢胞を自動縫合器(ステープラー)で切除あるいは結紮縫縮します。さらに補強のため人工のシート(ポリグリコール酸シート、酸化セルロースシート)を肺に貼付します。術後の痛みの軽減のため硬膜外麻酔のほか術中に肋間神経ブロックを併用し、体に優しい手術を心がけています。
自動縫合器(ステープラー)
ネオベールシート
局所麻酔と静脈麻酔により鎮静をかけ、気管支鏡でシリコン塞栓物(EWS)やポリグリコール酸シートおよびフィブリン糊を用い塞栓しています。
胸腔造影を行い、空気漏れの位置を確認しカテーテルによるフィブリン糊の胸腔内散布(TGF治療)で空気漏れを閉鎖しています。
ピシバニール(免疫賦活剤)、ミノマイシン(抗生剤)、50%ブドウ糖溶液、自己血などを胸腔ドレーンから胸腔内に注入して胸腔内の炎症を惹起し、肺の癒着を促すことにより空気漏れを停止させます。
全身麻酔が困難な患者さんに対して、硬膜外麻酔、肋間神経ブロック、局所麻酔を用い、静脈麻酔の鎮静を併用して手術を施行しています。自動縫合器を用いた肺瘻部の切除術や、人工のシート(ポリグリコール酸シート)とフィブリン糊を用いた肺カバーリング、あるいはフィブリン糊単独での閉鎖術を行っています。
2012年4月から2021年12月までの実績
治療内容 | 件数 |
---|---|
全身麻酔手術 |
703 |
局所麻酔手術 |
24 |
気管支充填術 |
82 |
TGF(胸腔造影下フィブリン糊肺瘻閉鎖法) |
94 |
新患数 1223名
櫻庭 幹
札幌市内あるいは近隣市町村の気胸患者さんの受け入れを行っています。当センターは、24時間、365日受け入れ可能な施設です。自然気胸から続発性気胸まで、年齢層も幅広く受け入れを行っています。外科手術以外にも上記の様々な方法により気胸の治療を行っています。
当センター初診となる患者さんは平日診療以外の時間帯はまず、診療所、医院、病院、夜間急病センター、休日の当番病院などを受診していただき、気胸の確定診断をつけていただく必要があります。その後、担当先生から当センターに連絡していただければ24時間、365日いつでも対応させていただいております。当センター受診歴のある患者さんは直接の来院が可能です。
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