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突然ですが、みなさんは「ご先祖さま」と聞いたら何を思いますか?おじいさん、ひいおばあさん?その前にはどんな人たちがいたでしょうね。
大河ドラマや歴史の教科書に出てくる昔にも、どこかでご先祖さまが暮らしていたはずです。鎌倉殿の13人の誰かの家来をしていたり、聖徳太子のご飯になるお米を作ったり、卑弥呼のお墓作りで汗を流していたかもしれません。
でも、さらにその前は?ヒトがまだヒトの形をしていなかった、その頃にもいたはずの私たちのご先祖さまは、いったいどんなかたちだったのでしょう?
学校で習った人もいるかもしれませんが、今から5億年以上も前、カンブリア紀という時代には、いろんな姿の生物が海で暮らしていました。「バージェス動物群」で検索すると化石から復元された姿を見ることができます。今の生物とは似ても似つかない奇妙な姿ですね。
さて、ではこの時代の私たちのご先祖は?「ピカイア」で検索してみてください。これがヒトの遠い遠いご先祖、かもしれないそうです。「えっ、これが」。
バージェス動物群の動物たちには、その後途絶えてしまったものも多くいます。なぜでしょう。弱かったから?性質が劣っていたから?
「進化」というと、強いものが生き残って子孫を増やし、さらに優れたものになっていくイメージがありますが、バージェス動物群の生物たちはたまたま運が悪かったために多くが途絶えてしまった、と考えられています。ちょっと運命が違っていたら、生き残っていたのはピカイアではなかったかも。命というのはそもそも、いろんなかたちになりたがるようですね。そうして、その時、その時の環境に都合が良かったものが生き残り、次に命をつないでいく。
ヒトがヒトっぽい姿になってからも、気候変動や食料不足、大災害や疫病の流行など、絶滅しそうな危機が何度もあったけど、そのたびに、生き延びてきたご先祖がいたのです。寒さに強かったり、少ない食べ物でも大丈夫だったり、病気になっても重症化しないなど、命がいろんなかたちをしていたおかげで、ご先祖さまは生き残り、私たちは現代人になることができました。
みなさんは、人と自分の違いにとまどったり、周りと同じにできない自分を責めたりすることはないですか?そんな時は、カンブリア紀の海を思い出してみてください。いろんなかたちがあることは、命のありかたとして当たり前のことなんだと、ご先祖さまは教えてくれているのです。運まかせでなくともいろんな命が生きられる、そんな世界を作っていくのが、知恵を身につけたあなたたちのつとめだよ、と言っているかもしれません。
令和4年11月1日
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