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更新日:2021年3月1日

コラム「こんにちは、アシストです」(2021年3月号)

「針葉樹と広葉樹」~永井相談員~

古くから人間は木の生き方に思いを馳せ、自分の人生やわが子の人生への願いや想いをその名に託して表現してきたと思います。皆さんやその周りの人にも自分の名前に「樹」や「実」、「幹」など樹木や植物を意味する漢字がついている方も少なくないと思います。僕が今回樹木をテーマにコラムを書こうとしたのも、北海道という広大な自然の中で育ち、樹木のもつスケールの大きさに魅力を感じ、思いを馳せた一人だからだと思います。

皆さんもご存じかもしれませんが、木は葉の形から針葉樹と広葉樹の2つに分けることができます。一般的な針葉樹は葉が細く厚みのある針のような形をした葉をつけ、高山や寒い地域などに多く見られます。北海道ではエゾマツやトドマツが有名です。一方、広葉樹は広い葉をつけ、そのバリエーションも多様です。北海道では冬に備えて落葉する落葉広葉樹が一般的で、ミズナラやイタヤカエデ、ハルニレなど多彩な樹木があります。

以前から、僕は落葉広葉樹のような生き方に憧れてきました。夏の日差しを葉いっぱいで受けとめて枝を広げ、秋には綺麗に色づき、葉を落とす、冬の寒さに耐えて、春には芽吹き、花が咲く。まさに日本の四季と樹木は深い関係にあり、このメリハリのついた生き方と柔軟性は誰もが心惹かれる生き方かもしれません。そのため、僕もはじめは「落葉広葉樹は素晴らしい!」、「皆さんもこういう生き方いいですよね」と書こうと思っていましたが、それがなんだか、最近その気持ちが変わってきたのです。

ある時、僕は古民家をリフォームして作られたお蕎麦屋さんを訪れました。そこにはヒノキ(針葉樹)を使った大黒柱があり、触ってみると独特の温かさがあったのです。はじめは気のせいだと思いましたが、ミズナラを触ったときの重厚でどこか冷たい感覚とは違うものでした。この感覚には何か違いがあるのではないかとインターネットや文献を調べてみると、一般的に針葉樹と広葉樹には材質に違いがあり、針葉樹は隙間が多く、空気が入るので断熱作用で温かみを感じるというのです(空隙率という数値で表現されるようです)。針葉樹はいつも触ると葉がチクッとするし、生えている場所は寒かったり、高い場所だったり、厳しいイメージばかりでした。このネガティブな偏見からはまったく想像できず、僕は見た目だけで判断してしまっていたと深く反省しました(もちろん、樹種によっても差があり、どちらが優れているとは言い切れないのは当たり前のことなのですが…)。

いつこの不安と緊張から抜け出せるのかわからない昨今、自粛をしながら活動し続けるという難題に世界中が頭を悩ませ、困惑しています。いろいろな光がさす兆しもありますが、寒くても葉をつけ、幹を真っすぐと伸ばす針葉樹の生き方に学ぶことは多いかもしれません。僕の勝手な考えですが、今の社会を生きるコツは心に隙間をつくり、温かな気持ちでいられるように心がけることではないでしょうか。

 

令和3年3月1日

 

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