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更新日:2020年11月26日

コラム「こんにちは、アシストです」(2020年12月号)

「“邦楽囃子(ほうがくばやし)”って、ご存じですか?」~佐藤相談員~

鳴物(なりもの)”とも言いますが、歌舞伎や文楽などのお芝居、日本舞踊や長唄の演奏をにぎやかにもりあげる音楽です。主に使う楽器は、笛、太鼓、大鼓大皮とも言う)、小鼓鉦(かね)などです。

お芝居や日本舞踊などでは、情景、自然の様子や身の回りの音、気分なども楽器を使ってあらわします。お化けの出るシーンでは、ドロドロドロドロと大太鼓の音、ヒュ~と笛の音が入るとあっという間におどろおどろしい雰囲気を作り上げます。雪の降るシーンでは、バチの先に綿を巻いて丸くしたもので大太鼓をゆっくりと打ち鳴らし、深々と降る情景を表します

また、舞台の始まりや終わりも音で合図します。例えば、全役者がそろったと言う報せに開幕30分前には、笛・太鼓・大太鼓で“到(ちゃくとう)”と言う曲を奏でます。お客様が会場に足を踏み入れるとこのお囃子が聞こえ、ワクワク感が絶好調に達します。

私はこの“鳴物”を習い始めて30数年になりますが、この世界ではまだまだ若手。芸能の奥深さは計り知れません。着物を着て楽屋に入ると、そこは別世界です。私の師匠がいて、そのまた師匠がいて、先輩がいて、「はい、わかりました」「お願いします」「ありがとうございました」この3つの会話があれば一日を過ごすことができるほどのゆるぎない子弟の関係、ピーンと張りつめた空気感があり身が引き締まります。それと共に、華やかで賑々しい雰囲気が漂い、私にとっては日常を忘れもう一人の自分を楽しむ場でもあるのです。お稽古を続けてきたのは、たぶん、日常とかけ離れた別世界との行き来を楽しんでいるからだと思うのです。

もう一つの理由は、年齢が上がるにつれ「人に教わる」と言う機会が少なくなってきます。いつの間にか、謙虚さを失いかけている自分にハッとすることがあります。お稽古はそんな私に、“すべてが学びである”ことを思い出させてくれる大切な場でもあるのです。

子どもたちにも、ぜひ和楽器に触れるチャンスがあると良いと思っています。いろいろな体験を通して多くのことを学び成長してほしいと願います。

 

PS

コロナ禍にあって、ほとんどの舞台やイベントなどが中止となっていましたが、先日、観客50%で、出演者は忍者のような黒いマスクをつけて久しぶりに別世界を楽しんできました。

札幌は冬を迎え、感染者が後を絶たない状況が続いていますのでくれぐれも体調にご留意されお過ごしくださいね。

 

 

令和2年12月1日

 

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