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更新日:2022年9月12日

札幌市基本構想

平成10(1998)年2月25日議決

札幌市

基本構想とは

地方自治法は、「市町村は、議会の議決を経て基本構想を定め、これに即して総合的かつ計画的な行政の運営を行うようにしなければならない」と、市町村のまちづくりの最も基本的な指針となる基本構想の策定義務を定めています。
札幌市では、昭和46年3月、市議会での議決で初めて基本構想を定めて以来、時代の大きな流れに合わせて、2度の基本構想改定(昭和52年3月、昭和63年2月各議決)を行い、その理念のもとに3次にわたる長期総合計画を策定し、まちづくりを進めてきました。このような計画的なまちづくりが、急速に人口が伸び、都市化が進んだ札幌を、毎年の世論調査で90%以上の多くの市民に「札幌が好き」と評価される都市にしたといえましょう。
しかしながら、昨今の札幌市を取り巻く社会・経済情勢の大きな変化は、今後、ますます顕著になっていくことが予想され、新しい時代に対応した、新しい視点でのまちづくりを進める必要性が高まってきました。このため、市議会で基本構想の改定について審議し、平成10(1998)年2月25日に改定の議決がなされたところです。
今後は、この基本構想の趣旨を踏まえ、平成12(2000)年度のスタートを目指して、札幌市の基本計画である第4次札幌市長期総合計画の策定作業を進めることになります。

【参考】旧地方自治法第2条第4項 市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行うようにしなければならない。

目次

第1章 基本構想の目的

第2章 都市像

 1 北方圏の拠点都市

 2 新しい時代に対応した生活都市

第3章 まちづくりの基本的な考え方と施策の大綱

 1 自立と支えあいの地域社会づくり

 2 札幌らしい質の高い暮らしを実現する生活環境の創出

 3 暮らしの安全と安心の保障

 4 活力ある都市活動の維持・創出

 5 市民の創造性を伸ばす環境づくり

 6 生きいきとした都市生活の実現

第4章 目標実現のための基本方針

 1 人づくりを重視し、市民の活動を支援する

 2 多様なネットワークを確保し、連携を強化する

 3 知識を活用し、先進的な取り組みを進める

 4 社会的な費用の抑制と適正な負担の確立に努める

第1章 基本構想の目的

国際化や情報化の進展、少子・高齢化の進行、地球規模での環境保全の必要性の高まりなど、今後、さまざまな社会・経済情勢の変化が見込まれる。
このような見通しの中、市民が生活し、企業が活動する上での制度的な枠組みや行政のしくみ自体の再構築が求められており、また、都市政策の展開に当たっても地球的な視野が必要となっている。この基本構想は、札幌を取り巻くこれらの情勢変化や課題を踏まえ、平成32(2020)年を目標とする札幌のまちづくりの方向を定めることにより、総合的かつ計画的な行政の運営を図ることを目的とする。

第2章 都市像

1 北方圏の拠点都市

札幌が国際平和、人権、地球環境問題に関する取り組みなど世界の都市の一員としての責任と役割を分担しながら、北海道の発展に中心的な役割を果たしていくためには、政治、経済、技術、文化などさまざまな分野における創造的な都市活動と国際交流を活性化し、北の拠点都市としての機能を強化していく必要がある。
このため、今後とも高度な都市機能の集積や独自の文化の醸成を図るとともに、北方圏の先導的な都市としての役割を担いつつ、東アジア諸都市等との交流を一層促進し、国際的な相互理解を深め、国際平和の実現に寄与していく。

2 新しい時代に対応した生活都市

札幌が生活都市としての機能と魅力を高めていくため、安全で安心できる暮らしの確保を図った上で、自然と調和したまちづくりや個性ある地域づくりなど市民の参加による愛着心の持てるまちづくりを進める。また、環境への負荷の低減に努めながら都市機能の高度化や力強い産業の育成を進め、活力ある都市活動を維持する。
さらに、ゆたかな都市文化を形成するとともに、市民の創造性の伸長・発揮のための環境を整備し、市民の創意と主体的な活動によって支えられ、市民一人ひとりが生きいきと暮らせる生活都市を実現していく。

第3章 まちづくりの基本的な考え方と施策の大綱

札幌が21世紀におけるさまざまな課題に対処し発展していくためには、環境との調和を図りながら活力と創造性にあふれた都市活動を展開する必要がある。
また、札幌は、市民がやすらぎやうるおいを感じながら暮らし、生きいきと活動できる創造と自己実現の場でなければならない。
都市の活力と創造性は、さまざまな都市問題を解決していくための原動力となり、市民の生活の質の向上につながる。また、それらは、市民一人ひとりの生活が充実して初めて生まれてくるものである。
このようなことから、都市像の実現に向けた21世紀の札幌のまちづくりの基本的な方向として、

 「市民一人ひとりの暮らしの充実とそれを支えるまちづくり」

 「環境と調和した活力と創造性に富んだまちづくり」

の二つを掲げ、次の六つの基本目標を定める。また、基本目標の実現に向けて以下の施策の大綱を定める。
なお、目標年次における人口を205万人から210万人と想定する。

1 自立と支えあいの地域社会づくり

社会の成熟化につれて市民意識の多様化が進みつつあり、それに伴う都市問題を調整し、解決していくことが求められている。また、ボランティアや環境保全活動に対する関心など市民の社会参加意識の高まりが見られることから、それらを生かしたまちづくりを進める必要がある。
このため、一人ひとりの市民が個人として尊重され、それぞれの生き方についてできる限り自由な選択が保障されるとともに、それに伴う負担や責任を適正に担っていくという考え方を基調としながら、異なる価値観を認めあい、相互に支えあって暮らせる社会づくりを進める。また、ノーマライゼーションの考え方のもとに、すべての市民が自立した生活を営めるよう支援を強化する。
地域生活の質的な向上を目指す上では、近隣関係など市民相互の社会的な関係、地域の生活環境に対する意識の高まりなどが重要な要素となることから、市民自らが地域環境の維持・向上に自律的・主体的に対応していくコミュニティ活動を振興する。
今後のまちづくりには、多様化する市民のニーズに行政が的確に対応していくことはもとより、市民・企業・行政の間のより良い合意形成に向けた取り組みを進めていくことが必要である。このため、市民・企業・行政の間の信頼感に支えられたパートナーシップによるまちづくりを推進する。

(施策の大綱)

(1) 一人ひとりの主体性の尊重と支えあいの社会づくり

ア すべての市民が地域において自立して生活できる環境づくりを進める。そのため、地域における施設の充実や商業の活性化を進め、日常生活圏での生活支援機能の強化を図る。

イ 地域福祉社会の実現に向け、高齢者や障害者などの自立を支援するための制度の充実と地域における人のつながりに支えられた福祉のネットワークづくりを進める。

ウ 外国人にとっても暮らしやすいまちづくりを推進するとともに、年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、すべての市民が互いに尊重しあいながら暮らしていく意識を醸成する。特に、幼少時からの意識の醸成に向け、学校・家庭・地域社会の連携を深める。

(2) 市民の参加と協働によるコミュニティ活動の活性化

ア 地域における市民の参加と協働によるさまざまなコミュニティ活動を支援するとともに、そのネットワーク化を促進し、市民相互の連帯感をさらに高める。

イ 市民自らが地域の環境改善や福祉などのサービス提供の主体となるような市民の公益的な活動を促進するため、その組織活動を支援する。

ウ コミュニティ活動の充実のため、地域社会やまちづくりに関する情報の提供と学習機会の拡大を図る。

(3) 市民・企業・行政のパートナーシップの確立

ア 市民や企業のまちづくりへの参加のための制度を整備し、パートナーシップによるまちづくりを推進する。

イ 市民・企業・行政の連携の強化に向け、市民の意識や要望の的確な把握に努めるとともに、市政情報の積極的な公開・提供を行う。

2 札幌らしい質の高い暮らしを実現する生活環境の創出

これまでのまちづくりは、市内における生活環境整備の偏りを解消し、一定の水準を達成することに主眼を置いて進めてきた。その成果を踏まえて、今後は、札幌の独自性や地域の個性を生かしたまちづくりを進めることが求められる。
このため、札幌の都市個性となっている市街地やその外周の緑の保全と創出、親水空間の整備などにより、緑と水のネットワーク化を推進し、自然環境を生かしたうるおいのある都市空間づくりを進める。また、市民が自然に接する機会の拡大などに努め、自然に親しむライフスタイルの浸透を図る。
札幌の際立った特徴である多雪・寒冷の冬を快適に暮らせる環境づくりのため、効果的・効率的な対策を推進するとともに、北国にふさわしいライフスタイルの創出を図る。さらに、雪や寒さを札幌の資源としてとらえ、寒冷地技術の集積や雪の利用技術の確立などにより冬季生活の向上を図る。
札幌で培われてきた地域の文化を踏まえ、環境資源や市民の主体的な活動などに配慮しながら、個性を生かしたまちづくりを推進し、地域に対する市民の愛着心をさらに高める。

(施策の大綱)

(1) 人と自然が調和したうるおいのあるまちづくり

ア 市街地外周部における秩序ある土地利用の展開により、都市環境緑地の保全・活用を図る。

イ 市民・企業・行政のパートナーシップにより、市街地内の緑化を進めるとともに、親水空間を整備し、うるおいのある都市空間を形成する。

ウ 市民が緑や水など自然に親しむ機会を拡大し、自然環境に対する意識を高めるとともに、地域の環境づくりを進める市民や企業の活動を支援する。

(2) ゆたかな冬の暮らしの実現

ア 効果的・効率的な雪対策、冬季交通対策等を推進し、冬の快適な市民の活動空間を確保する。

イ 雪や寒さに対応した技術開発の促進と産業の振興を図るとともに、北国にふさわしいライフスタイルと生活文化を醸成する。

(3) 個性を生かした愛着心の持てる地域づくり

ア 地域中心核等の機能の向上を図るとともに、個性的な空間整備を進め、地域振興や市民交流の核となる場を創出する。

イ 市民活動や民間の創意を生かしながら、地域の文化資源の継承に努め、個性的で良好な地域の環境や景観を維持・創出する。

3 暮らしの安全と安心の保障

都市は市民に多様なサービスを提供しているが、高齢化が進む中、高齢期における健康で不安のない生活など、市民の安全や安心の確保に一層努めていくことが求められている。
このため、市民生活を充実する上で基本となる都市の安全性の向上を図る。日常的な安全の確保はもとより、大規模災害時を想定した災害に強い都市づくりを進めるとともに、発生時対策の確立など災害への備えを充実する。
市民が健康的で安心して暮らせる環境を確保する。特に、市民の自主的な健康づくりの支援を行うとともに、すべての市民が自ら望む環境で社会とかかわりながら暮らせるよう、保健・医療・福祉サービスの充実などを図る。さらに、公共施設などにおけるバリアフリー化を推進し、安心して活動できる空間づくりを進める。

(施策の大綱)

(1) 災害などへの備えの充実

ア 都市基盤施設の安全性の強化、災害に強い市街地の形成を図り、防災都市づくりを推進するとともに、災害発生時に備えた医療、救護、生活支援の体制の充実などを図る。

イ 防災・防犯・交通安全対策の強化と安全な市民生活を確保するための地域活動の支援を進め、平穏な市民生活の維持に努める。

(2) 健康的で安心できる暮らしの実現

ア 大気汚染等の都市型公害の防止など安心して暮らせる生活環境を確保する。また、食品の安全性の確保に努めるとともに、消費者活動の支援等により消費生活の安定を図る。

イ 市民の自主的な健康づくり活動を支援し、市民の生きいきとした生活の確保を図る。

ウ 保健・医療・福祉の情報のネットワーク化を図り、総合的なサービス提供システムを構築することにより、市民が多様な選択肢の中から最適なサービスを受けられる体制づくりを進める。

エ 病気などによる障害の軽減と機能回復のためのリハビリテーション体制を充実するとともに、介護等のサービスの質と量の確保のため、市民の福祉活動や福祉関連産業の振興、人材の育成を図る。

オ すべての市民が活動しやすい安全で快適なまちづくりに向け、住宅、市民利用施設、交通基盤施設等におけるバリアフリー化を推進する。

4 活力ある都市活動の維持・創出

国際化と情報化が同時に進展する中、経済、文化、環境保全などさまざまな分野で、国際的な競争や連携の動きに対応していくことが求められている。また、地球環境への負荷の低減に努めながら都市の活力を維持し、高めていくためには、知識集約型の産業の振興など新たな価値を生み出す創造的な都市活動を維持・創出していく必要がある。
このため、経済、技術、文化などさまざまな分野での広域的・国際的な人・物・情報の交流の促進に向け、都心やその他の拠点地域において活発な都市活動の展開に資する都市機能の集積と空間の創出を図る。さらに、情報ネットワークや都市交通ネットワークを整備するとともに、公共交通の利便性を高め、都市活動を活性化する。
環境負荷の低減は、都市が持続的に発展するための必須の条件であることから、資源循環のシステムを整備するとともに、エネルギーの有効利用などエネルギー効率の高い都市づくりを進める。また、市民や企業の環境保全に対する意識の高揚と環境に配慮した活動の定着を図り、環境低負荷型社会の構築を進める。
今後、市民の多様な就業機会の確保に努めるとともに、高齢化に伴い増大する社会的なサービスや都市施設の良好な維持管理のための財源確保を図る必要がある。このため、既存産業はもとより、新しい時代に対応した技術やサービスを生み出す産業を振興し、経済の活性化を図る。

(施策の大綱)

(1) さまざまな都市活動確保のための都市基盤整備

ア 内外の人の交流の活性化を図るため、多様な機能と魅力的な空間を備えた国際都市の顔にふさわしい都心の整備を進める。

イ 多中心核都市構造への誘導のため、拠点地域の機能の向上と空間整備を促進する。また、都市機能の高度化に資する機能複合型の空間整備を民間とのパートナーシップにより推進する。

ウ 広域的・国際的な交通ネットワークの強化と交通基盤施設の整備を促進する。また、道路網との有機的な連携を図りながら、地下鉄などの大量輸送機関をはじめとする公共交通を軸とした総合的な都市交通ネットワークの充実を図る。

エ 安定的な運行や利用しやすい料金体系など公共交通の利便性を一層向上させるとともに、地域特性に応じた適切な自動車利用のしくみづくりを進める。

オ さまざまな都市活動の源となる情報交流を促進するため、情報通信ネットワークの整備を推進する。

(2) 持続的発展を支える環境低負荷型社会の構築

ア 廃棄物等の減量・資源化・適正処理のシステムを整備し、資源循環型都市の構築を進めるとともに、未利用エネルギーの活用や省エネルギーの促進など、エネルギーの有効利用を推進する。

イ 都心縁辺部や地下鉄沿線等の居住密度を高めることなどにより、エネルギー効率の高い都市構造へと誘導する。

ウ 環境負荷低減のための技術の普及や環境関連産業の創出・育成などを進めるとともに、それらの知識や技術を生かした国際協力など地球環境保全のための取り組みを進める。

エ 市民や企業の環境保全に対する意識を高めるとともに、環境負荷低減のための活動を支援・促進し、都市環境に配慮した自動車利用や廃棄物の発生の抑制などを図る。

(3) 時代の変化に対応した力強い産業の育成

ア 道央圏全体の産業機能の向上のため、広域的な連携・分担の強化とそれに対応した土地利用の展開を図る。

イ 産・学・官の連携による先端技術情報の集積と研究開発機能の強化を進めるとともに、それらを生かした技術開発、製品開発等を支援する。

ウ 寒冷地技術、省エネルギー技術、情報処理技術など既存の地域資源や地域特性を生かした産業の創出・育成と企業集積を進める。

エ 既存産業の高度化や経営基盤の強化を支援し、その振興を図る。

オ 競争力を持った企業の育成を目指し、国際的な経済交流を支援・促進する機能を充実するとともに、広域的・国際的な物流機能の強化を進める。

5 市民の創造性を伸ばす環境づくり

創造的な活動は個人の生きがいにつながり、市民の創造的な活動の集積が活力ある都市活動を支える。幼児期から高齢期に至るまでのそれぞれの段階において、市民の創造性を伸ばし、発揮できるための条件整備を進める必要がある。
このため、次の時代を支える創造性ゆたかな子どもをはぐくむ環境づくりに向け、子どもを持ちたいと望む人が安心して生み、育てられるよう、社会的な支援を充実するとともに、すべての子どもが健やかに育つための環境整備を進める。
学校教育においては、児童・生徒の生きる力をはぐくみ、創造性や個性を伸ばし、多様な価値観を認めあえる教育を進める。また、さまざまな体験を通じた子どもの主体的な学習を促進するため、学習機会の拡充を図る。
市民の生涯にわたる自主的な学習活動を支援するとともに、年齢や性別などにかかわらず、市民の創造性が生かされるしくみづくりを進める。また、高等教育機関等との連携を深め、新たな産業の担い手となる人材の育成など、さまざまな社会活動を支える人づくりを進める。

(施策の大綱)

(1) 次代を担う子どもが健やかに生まれ育つ環境づくり

ア 家庭での子育てに対する支援や幼児教育の充実、多様な保育サービスの確保など、少子化社会に対応した総合的な子育て支援を充実する。

イ 障害のある子どもの療育体制の強化など、さまざまな配慮を要する子どもと家庭への支援を充実する。

(2) 多様な価値観や個性を尊重する教育と学習機会の充実

ア 生きる力をはぐくむ、ゆとりある学校教育を目指し、個性尊重の考え方に立った一人ひとりの能力・適性に応じた教育や、社会の変化に柔軟に対応する教育を展開する。

イ 学校外での生活体験、社会体験、自然体験などさまざまな直接体験を通じた子どもの主体的な学習を支援するため、それらの学習の場や機会の拡充を図る。

(3) 市民の創造性を高め、創意が生かされるしくみづくり

ア 市民の生涯を通じた多様な学習活動を支援するため、高等教育機関等とのネットワークを構築し、総合的・体系的な学習機会の提供を進める。

イ 高齢者や障害者の社会参加と生きがいづくりのため、その就労や生涯学習活動を支援する。

ウ あらゆる分野での男女共同参画を推進し、市民の創造性が発揮できる環境を整備する。

エ 新たな産業の担い手となる人材育成のための制度の充実を図るとともに、市民の多様な就業機会の確保に努める。

オ 市民のボランティア活動に対する意識を高め、活動しやすい環境づくりを進める。

6 生きいきとした都市生活の実現

市民の生活の快適性を高める上で精神的なゆとりは重要な要素であり、市民が時間的なゆとりを最大限に活用し、心身をリフレッシュできる機会を拡充していくことが求められる。
このため、市民の生活にうるおいを与え、ゆたかな感性をはぐくむ優れた芸術・学術文化、水準の高いスポーツ、質の高いレクリエーションなどを享受できる環境を充実する。さらに、それらを通じて新しい価値を創造し、札幌独自の文化を醸成するとともに、国際的な人の交流を促進する。
市民のスポーツ・レクリエーションなど、さまざまな余暇活動の場や機会の充実と市民交流を促進する。また、市民が余暇サービスを享受しやすい環境を整備する。

(施策の大綱)

(1) ゆたかな都市文化の形成と人の交流の促進

ア 市民のゆたかな感性と高い創造性をはぐくむ環境づくりを進め、芸術・学術文化等を振興し、質の高い独自の都市文化を醸成する。

イ 市民のスポーツ活動の拠点となる機能を充実させるとともに、見るスポーツとしての水準の高い競技スポーツの振興を図る。

ウ 芸術・学術文化、スポーツ、さらには質の高いレクリエーション機能の充実やさまざまなコンベンションを通じて、国際的な交流を促進するとともに、人々の多様な交流を支援・促進する産業を振興する。

(2) 余暇を多様に過ごせる環境の整備

ア 市民の文化・教養活動、スポーツ・レクリエーション活動の普及・促進により余暇の充実を図り、それらを通じた市民の交流とネットワークづくりを促進する。

イ 市民の余暇活動を支える施設の整備や利便性の向上を図る。また、都心縁辺部や地下鉄沿線等への居住の誘導を積極的に進め、余暇サービスに対する需要を集積することなどにより、多様な民間サービスの創出を図る。

第4章 目標実現のための基本方針

 六つの基本目標を実現するため、次の四つの基本方針に沿って施策を展開する。

1 人づくりを重視し、市民の活動を支援する

地方分権の時代を迎え、地域が自立していくためには、自ら考え主体的に行動できる創造性ゆたかな人材が不可欠である。また、市民・企業・行政が相互補完的に社会的な機能を果たしていくことが、活力ある都市活動を生み、住民自治を支える。このため、まちづくりを支える人づくりや産業を担う人づくりを積極的に進め、企業や市民団体の活動を活性化する。
特に、これからの社会では、非営利的な市民活動団体が行政のパートナーとなってまちづくりに取り組んでいくことが期待されている。近年、札幌でも福祉、環境、防災などさまざまな分野において、ボランティア団体などによる自発的なまちづくり活動が活発化している。このような市民の活動に対する支援を強化し、その拡充を図る。
また、産業を取り巻く環境が大きく変化している状況の中、時代の変化に対応できる産業を創出するため、創造性と企業家精神に富んだ人材の育成に積極的に取り組む。

2 多様なネットワークを確保し、連携を強化する

高齢化が進み、市民意識やライフスタイルが多様化していく中で、行政が提供できる施設やサービスだけでは、質と量の両面で市民のニーズに対応することが困難になりつつある。このため、市民・企業・行政が連携して社会的なサービスを供給するなど、サービス水準の向上に貢献できるシステムが求められている。また、国と地方公共団体や地方公共団体相互の間においても、産業振興や廃棄物処理等に関し、適切な連携と役割分担が求められている。
このようなことから、市民相互の交流から都市間交流までさまざまなレベルにおいて、交通・情報通信手段等を活用して多様なネットワークを創造・活性化し、連携を強化していく。
特に、今後、地域社会においては市民の相互理解と協働意識の醸成が不可欠となることから、市民の多様な交流を支援し、新たなネットワークの創造を図る。
また、北海道の発展のためにも、地域特性を生かした産業の集積を図り、活力ある産業構造を構築していくことが不可欠となる。このため、産業間のさまざまな結びつきを強めるとともに、産・学・官の連携を一層強化していく。

3 知識を活用し、先進的な取り組みを進める

知識や情報は、人々に新しい刺激を与えるとともに、時代の変化に対応する創造性の源泉となる。札幌においても、市民生活の質の向上や新しい価値の創造に向け、情報通信手段の整備とともに、知識や情報の的確な活用を進めなければならない。このため、民間情報を含めた社会的な情報の集積とその共有・活用を進める。
また、市民福祉を向上し、地球環境問題などに対応するため、先進的な科学技術の振興と活用は不可欠である。特に、多雪・寒冷という札幌の風土特性を生かし、寒冷地技術等の知識の集積と研究開発を促進することなどにより、さまざまな情報交流・技術交流を活性化する。

4 社会的な費用の抑制と適正な負担の確立に努める

地球環境保全の必要性の高まり、少子・高齢化の進行などさまざまな要因により、今後、社会的な費用が増大していくことが予想され、また、その負担のあり方が問題となる。さらに、行政においては、今後とも厳しい財政状況が続くものと見込まれている。
このような見通しの中で、社会全体のサービス水準を確保するため、経済を活性化するなど財政基盤の強化を図るとともに、行政コストの抑制など効果的・効率的な行財政運営を強化する。
また、その負担のあり方についても、世代間の公平や応益関係などを考慮した適正なあり方を明らかにし、その確立に努める。
さらに、市民や企業においても、都市交通問題や環境問題などによって発生するさまざまな社会的な費用を認識し、その抑制に努める。

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