ヒグマと正しく付き合っていくためには、ヒグマについてよく知ることが重要です。
このページでは、ヒグマの生態や習性について紹介しています。
ヒグマは、世界では北半球に広く分布し、さまざまな自然環境に生息しています。日本では北海道にのみ生息しており、国内では最も大きな陸上動物です。
北海道のヒグマは、生息する地域により5つの地域個体群(渡島半島、積丹・恵庭、天塩・増毛、道東・宗谷、日高・夕張)に分けられています。そのうち、札幌市のヒグマは、積丹・恵庭地域のヒグマ個体群に属しており、「石狩西部のエゾヒグマ」として、環境省レッドリストの「絶滅のおそれのある地域個体群(LP)」に指定されています。
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【体長】
【体重】
- オス:約150~400kg
- メス:約100~200kg
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ヒグマの一生
- 誕生
ヒグマは、冬眠中(1月下旬~2月上旬)に穴の中で出産します。
生まれたばかりの子グマは、とても小さく体重が400gほどしかありませんが、春に母グマと一緒に冬眠穴から出てくる頃には4~5kgまで育ちます。
- 成長
ヒグマの子育てはメスのみが行い、オスは子育てには一切参加しません。子グマは親離れ(独り立ち)する1歳半~2歳半までの間に、生きる術を母グマから学びます。
- 親離れ(独り立ち)
成長した子グマは、1歳半または2歳半の夏頃に、母グマから離れて独り立ちします。
メスは母グマの近くで生活しますが、オスは近親交配などを避けるため、母グマから遠く離れた場所へと移動していきます。独り立ちしたばかりの若いオスは、この時期に市街地付近に迷い出てしまうことがあります。
- 繁殖
ヒグマは、3~5歳頃に性成熟を向かえ、繁殖が可能になります。
5~7月の繁殖期、オスは行動範囲を広げて山林を動き回り、複数のメスと交尾します。子グマを連れたメスは繁殖に参加しないので、メスと交尾するために、オスが子グマを殺してしまうことがあります。そのため、この時期の子連れのメスは、オスの動き回る山林を避けて市街地付近に出没することがあります。
- 寿命
ヒグマの寿命は20~30年程度と言われています。野生の個体は、動物園等で飼育されている個体と比べて寿命が短いと考えられますが、はっきりとしたことは分かっていません。野生の捕獲個体での最長寿記録は34歳です。
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ヒグマの一年
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- 3~5月:冬眠あけ
冬眠から目を覚ましたヒグマが穴から出てきます。オス、子のいないメス、子グマを産んだメスの順番で出てくると言われています。
- 5~7月:繁殖期
オスはメスを求めて広い範囲を動き回ります。
この時期は、オスを避けた子連れメスや、独り立ちしたばかりの若いオスが、市街地付近に出没しやすくなります。
- 8~9月:端境期(はざかいき)
利用できる食べ物が少なく、ヒグマによる農作物の被害が出やすくなる時期です。
- 10~11月:食いだめ
冬眠に向けて、食べ物をたくさん食べます。
- 12~3月:冬眠・出産
ヒグマは、冬になって食べ物がなくなると冬眠します。
妊娠したメスは、冬眠中に出産し、春に穴から出るまでの間、おっぱいだけで子グマを育てます。
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ヒグマは雑食性の動物で、春から秋にかけて、その時に最も手に入りやすい食べ物を大量に食べます。
- 春
ザゼンソウ、ミズバショウ、イラクサ、フキやセリ科(エゾニュウ、アマニュウなど)などの植物を食べます。ドングリが豊作だった年の翌年の春には、残ったドングリを食べます。
また、冬を越せずに死んでしまったエゾシカを食べることもあります。
- 夏
少しずつ草が固くなってくる季節です。春に引き続き、フキやセリ科植物も食べますが、アリなどの虫や、ヤマグワなどの果実を食べることが増えてきます。
山の中の食べ物が少なくなり、果樹園のさくらんぼや、家庭菜園のとうもろこしなどの農作物の被害が起こりやすくなる時期です。被害を未然に防ぐためには、電気柵を設置するなどの対策が重要です。
(関連リンク:果樹や作物の管理について)
- 秋
クルミやドングリなどの堅果類、サルナシやヤマブドウなどの漿果類といった木の実を中心に、食べ物をたくさん食べます。
北海道では、例年、ヒグマの秋の主要な食べ物であるドングリ、サルナシ、ヤマブドウの実なりを調査し、公表しています(関連リンク:「令和3年秋の山の実なり調査結果について」北海道)。
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ヒグマは、個体ごとにそれぞれの行動圏(行動範囲)が決まっています。
行動圏の広さは、オスが数百㎢、メスが数十㎢と、オスの方がメスよりも広いことが分かっています。オスは、繁殖のためにメスを探して歩き回るため、行動圏が広くなります。行動圏の広さは、地域や餌資源の量によっても変わり、餌資源が多い地域では、行動圏は狭くなります。
また、ヒグマには、「なわばり(他の個体の侵入を許さない範囲)」はなく、行動圏も他の個体と重複しています。
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