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更新日:2021年2月24日

コラム「こんにちは、アシストです」(2019年12月号)

「スクールカーストとは?」~飯村相談員~

【はじめに】

みなさん、こんにちは。前回のコラムでも書かせてもらいましたが、僕は映画が好きです。特に日本の映画が好きで、学校生活や若者のハツラツとした空気感を感じられる作品を好んで観ています。今回はそんな若者が中心の映画の中で気になった作品について書きたいと思います。

2012年に公開された神木隆之介君が主演の「桐島、部活やめるってよ」という映画があります。タイトルからしてかなり独特ですが、学校生活の中で起こりうる繊細な人間関係が、とても丁寧に描かれている作品だと思います。

正直言って、この映画は「WATER BOYS」のように、派手な演出や大きな見どころも無く、見る人によっては退屈に感じるかもしれません。ただ、今現在、学校生活を送っている人や学校生活に満足していない人、“今の自分に自信が持てない”という人にはピッタリの作品かと思います。

 

【映画のあらすじ】

“桐島”はバレー部では県の代表メンバーに選ばれるほどの実力者。学校中の人気者で、山本美月さんが演じる美人の彼女(リサ)や、東出昌大君が演じるイケメンの友人(ヒロキ)もいる。そんなどこから見てもリア充の“桐島”が、突然『部活を辞める』と言い出した事で話が展開し始める。俗に言うスクールカーストの頂点にいた“桐島”がトップを下りる事で、周囲の人間はざわめき出すのである。

この映画の特徴的な部分として、劇中にこの“桐島”はほとんど登場しない(名前は何度も出てくるが)。主演の神木君は“前田”という冴えない映画部員の役である。文系部活の中でも、特に力の無い映画部は、スクールカーストでいう最下層の扱いを受けている。ただ、前田は学校中の人に笑われようとも、映画を撮る事に対しては誰にも負けない情熱を持っている。しかし“顧問が提案した映画(君よ拭け 僕の熱い涙を)”を撮る事に対しては不満を持っており、最終的には『自分達が撮りたい映画(ゾンビ映画)を撮ろう!』と顧問に反発し、強行に撮影を始める。

“桐島”と全然連絡が取れず不安定になるリサ。“桐島”が部活を終えるのを待っている意味が無くなってしまったヒロキ。この映画に登場する多くの人物が“桐島が部活を辞める”事で何らかの影響を受ける。ただ、それは前田や映画部員達にはほとんど関係のない話であり、桐島が部活を辞めようが、顧問に叱られようが、彼らは自分達のやりたい事(映画を撮る)を貫こうとガムシャラに頑張るのである。

終盤、前田とヒロキが屋上で対峙するシーンがある。ヒロキは何気なく“前田が映画を撮る事の意味”について質問をする。その時に前田の口からは『自分は映画監督にはなれない』『特に意味はない』と意外な返事が返ってくる。だが、それと同時に『今、映画を撮りたいから撮る。結果は関係ない』という、打算的ではない、前田の意志の強さをヒロキは感じてしまうのである。そして、“桐島”という絶対的な存在の近くにいる事で、何となく“満たされたつもりでいた自分”を虚しく感じてしまう。

前田は『カッコいいね』と、ヒロキにカメラを向けるが、その時のヒロキにとって前田はあまりにも眩しい存在。自分の中の空虚感に耐え切れず、ヒロキはその場を去ってしまう。

 

【映画を観て感じたこと】

人は自分の置かれた環境や周囲の影響にすごく左右されやすい生き物だと思います。しかし、時には“周囲の意見に流されず自分の想いのままに行動してみる”“自分の好きな事を貫く”という事の大切さを、この映画を観て感じました。今の学校生活に不満があったり、疑問を感じている人がいたら是非観てみて頂きたいです。

少し長くなりましたが、みなさんは今、自分が胸を張って「好きだ!」と言える事はありますか?周りの人に自分の素直な気持ちは話せていますか?もし「好きだ!」と言える事がまだ見つかっていない人がいたら、今から探してみてはいかがでしょうか?

みなさんは一人ひとりが無限の可能性を持っているのだから。

 

令和元年12月2日

 

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