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更新日:2011年2月21日

3 札幌市における市民活動及び企業の社会貢献活動の現状と課題

 市民活動団体については,組織の任意性から,十分な実態把握が難しいが,ここでは,本市が平成11年度に実施したアンケート調査の結果などに基づき,その現状と課題について述べていくこととする。
 また,企業の市民活動に対するかかわりは,寄付や助成金といった資金提供などによる支援や,休暇制度の充実などによる人材提供面での支援といったことで展開されている。こうした企業の活動は一般に「企業の社会貢献活動」と言われているが,この現状と課題についても,アンケート調査を基に触れていくこととする。

(1)市民活動の現状と課題

 本市の市民活動の活動状況を示すものの一つとして,平成10年12月に施行された特定非営利活動促進法(NPO法)に基づく法人認証数の動向があるが,本市におけるこの件数は人口10万人当たり4.5件(平成13年3月現在)で,政令指定都市の平均が3.7件(平成13年3月現在)であることと比較して多い。また,平成12年12月現在で4.0件だったことから,件数も確実に増加している。
 さらに,本市が実施した「市民活動団体等に関する調査」及び「市民活動団体ヒアリング調査」(いずれも平成11年11月実施)結果からは以下のような状況が見られた。

  • 設立年が1990年以降の若い団体が多い。
  • 財政規模は50万円未満の団体が半数を占め,その内10万円未満の団体が最も多い。
  • 会費を主な収入源としている。
  • 活動の基盤となる団体の事務所を個人宅や勤務先としている。
  • スタッフは家事従事者や年金生活者が多い。
 本市では,平成11年にこのような状況にある市民活動に対して,必要としている情報や活動・交流促進の場などを提供する市民活動プラザを開設した。また,平成12年に人材育成・資質向上を目的としたボランティア研修センターを開設するなど,円滑な市民活動を支援する環境整備に努めてきた。一方,地域福祉,まちづくり,国際交流など各分野における事業展開を通じて促進を図ってきたところである。
 しかしながら,前述した「市民活動団体等に関する調査」及び「市民活動団体ヒアリング調査」の結果によると,多くの団体が抱える問題点として,資金不足,人手不足,人材の発掘・能力開発,活動場所,情報不足を挙げており,自主自立した活動が継続されるためには,数多くの課題を抱えていると言える。

(2)企業の社会貢献活動の現状と課題

 企業の社会貢献については,1980年代に多くの企業でCI(corporateiden-tity)活動が盛んになり,自社の社会的な存在意義を模索する中で,多くの企業が積極的な取組を展開するようになった。また,企業活動の国際化が進み,海外に進出する企業が多くなっているが,米国では「良き企業市民」として企業が地域社会に貢献することを求めていたこともあり,進出していた日本の企業もその影響を受けることとなった。
 本市においては,こうした企業の社会貢献活動の活性化は市民活動の促進の上でも大いに期待されるところである。
 本市が行った「企業の社会貢献活動調査」(平成11年実施,1,000社を対象に実施し約半数から回答があった)から企業の現状を見ると,30%近くの企業が社会貢献活動を行っている。社会貢献活動を実施している理由として,多くの企業が「地域社会との結びつきの強化」や「社会の一員としての役割」を挙げている。また,実施している分野については,「地域のまちづくり」や「環境保全」と答えた企業が多く見られた。さらに社会貢献活動の内容については,「金銭の支援」や「労力・人材の支援提供」と答えた企業が多かった。
 一方,社会貢献活動を行う上で抱えている大きな問題点は「景気の低迷」や「コスト・業務量の増加」であった。
 さらに,「企業の社会貢献活動ヒアリング調査」(平成11年~12年実施)では,社員のボランティア活動を推進するために,ボランティア休暇を制定している企業や,資金的支援制度の導入を行っている企業が見られた。
 これらのことから,企業の社会貢献活動に対する考え方の中に,厳しい経済状況とはいえ企業も社会の一員として,よりゆたかで質の高い社会を目指す姿勢がうかがわれる。

 

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