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「子どもが登校を渋っていて…。子どもが友人関係で悩んでいて…。子どもにどのように関わったらいいですか?」と、子どもアシストセンターに相談される保護者からの声です。私も今までたくさんの子どもたちとかかわってきましたが、子どもにどのようにかかわるべきか、これが正解というものはなく本当に難しいと感じました。保護者の皆さんの悩みは本当によく分かります。
先日、ある書店で1冊の絵本が目にとまりました。みなさんご存じの「イソップ童話」です。
子どもの頃、読んだことはありましたが、懐かしさのあまりふと足を止め読み入ってしまいました。「ウサギとカメ」「よくばりなイヌ」「アリとキリギリス」「ネズミの相談」「カラスとキツネ」「オオカミ少年」などなど。いろいろなお話の中でも、私が最も気に入ったお話は『北風と太陽』です。
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北風と太陽が、どちらが強いか競争することになりました。ちょうど、一人の旅人が通りかかったので、「どちらがあの旅人の服を脱がせることができるか、競争しようじゃないか?」北風がそう言うと、太陽も賛成しました。「じゃ、僕が先にやるよ!」北風は旅人の服を吹き飛ばそうと、冷たい風を吹きました。ビュービュー。旅人は寒くなったので、服のえりをたてました。北風はもっと強く吹きました。ビュービュー。旅人は寒いので、服をしっかり押さえて歩き続けています。どんなに北風が強く吹いても、旅人の服を脱がすことはできませんでした。「じゃ、今度は私がやってみるわ。」太陽はやさしくやさしく旅人をあたためました。どんどんあたためると、旅人は汗を流し始め、上着を脱ぎ、そのうち着ている服をみんな脱ぎ捨て、近くの川に飛び込みました。
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このお話の最後に、文と絵をかかれた【いもとようこさん】はこう書いていました。
“力ずくで人を動かそうとしても、人は動きません。やさしさが人を動かすことは多いものです。”
私たち大人は子どもと向き合っているとき、北風のように力ずくで子どもを動かそうと接してしまうことがあるように思います。子どもができないこと、うまくいかないこと、困っていることなどがあると、ついつい大人は「子どものためだから」と枕詞を付けて、力ずくで子どもにかかわることがあります。しかし、私は「子どもの考えや思いを尊重し、自力で自らの道を切り開くように、太陽のようにやさしい眼差しで子どもを励まし後押しすることが、子どもの心を育む上で大事なのだ。」と思います。
いつの時代も子どもを育てるのは大変です。子どもにどうかかわるべきか悩むものです。そこで私たち大人が北風のような強引なかかわりでなく、太陽のような優しいかかわりをすることが、子どもをよりよく育むことに繋がるのではないでしょうか。子どもが置かれた状況や場面、その子の性格や特性などをしっかりと周りの大人が見極めて、「この子にとっての適切なかかわり」をぜひ考えてみる必要があると感じます。また、昔から『子どもは親の後ろ姿を見て育つ』と言われます。時には、大人の言葉かけよりも一生懸命に生きている大人の姿を見せることが、子どもの心を動かすのかもしれません。
イソップ童話は、私たちが生きていく上で役に立つ知恵や教訓がいっぱい詰まっています。おすすめです。大人も子どもも改めて読んでみてはどうでしょうか。
令和4年3月1日
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