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更新日:2022年1月21日

コラム「こんにちは、アシストです」(2021年7月号)

「子どもの成長を見守るゆとり」~谷山調査員~

 

新型コロナウイルスの感染拡大から1年以上が経過していますが、まだその収束の兆しが見えません。行事やイベントの中止、日常のマスク姿、自粛生活など、不安やストレスを抱えている人が時間の経過と共に増えてきており、初夏の陽気と薫風の爽やかさに、心も晴れ晴れといいたいのですが、今のコロナ禍の現状ではそういう気持ちにはなれません。新型コロナウイルスの感染防止が図られ、収束するには、一人ひとりが今一度、日常生活を振り返り、行動や意識のギアーチェンジを図らねばと思います。

以前NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」で、「大人になるとあっという間に1年が過ぎるのはなぜ?」という質問がありました。答えは「人生にときめきがなくなったから」というものでした。毎日の生活の中で「どうしてかな?」「すごい!はじめてだ!」「よし、○○をやってみよう!」など、経験や体験を通していろいろな発見をする子どもに比べると、年を重ね、経験を積み、日々の暮らしに慣れてしまい、ときめくことが少なくなっている自分の生活を振り返りながらテレビを見ていて納得しました。ただでさえ、年齢と共に時の経つ早さを実感している身にとって、新型コロナウイルスの感染と戦っているこの一年余りは、今まで以上に時間の経過が早く感じられます。

子どもたちは、今回の新型コロナウイルス感染により、長期の休校や学校・児童会館などでの例年通りの学びや行事などができなくなったり、友達との接触を制限されたり、今まで当たり前にできていた体験の機会が少なくなりました。また、このコロナ禍で、子どもたちが家庭で過ごす時間が増えたことの要因で、子どものストレスや悩みなどの心理的な面のことや保護者からの子どもとの関わりなど、アシストセンターに、親子が抱える悩みや不安などの相談が寄せられ、その件数も増えています。今、コロナ禍で新しい生活スタイルを子どもも大人も求められています。子どもたちの学ぶ場や生活の場、そしてご家庭でも、様々な視点から日常生活を工夫し、精一杯の努力がなされています。一日も早くこの新型コロナウイルスの感染拡大の収束が迎えられることを願わざるを得ません。

多様な価値観が大事にされている昨今、私の子ども時代のように「同じ価値観で正解を求める」という時代ではなくなっています。このコロナ禍で、いろいろな新しい問題や課題に直面したとき、それを解決するために、一人ひとりが考え、判断することの機会が多くなると同時に、自分の行動変容にもつながります。そのことは、子どもたちの自立心を育む絶好の機会にもなっています。大人はどうしても、先々を読んで子どもに対してあれこれと準備を手伝ったり、いろいろなアドバイスをしたりしがちです。このような親の関わり方に対して「たし算の愛情」と表現した人がいました。「転ばぬ先の杖」を出し過ぎると、自分で考えて行動する力が身に付きません。子どもが小さければ小さいほど、子どもの行動や活動に対して、口を出したい場面が日常的に多々出てきます。親が一歩引いて見守る愛情、これを「ひき算の愛情」というそうです。この「ひき算の愛情」を今のコロナ禍の大変な時に意識して生活をすることによって、子どもの自立心を育てることにつながるのではないかと思います。

子育てに関わって、だいぶ前に読んだものに「親補正」という言葉が載っていました。「親補正」というのは、子どもが写っている写真やビデオなどを見て、自分の子どもが一番かわいいと感じることや子どもが出ている運動会・学習発表会・音楽発表会の行事などでも、なぜか我が子がすぐ見つけることができ、輝いてみえることを表現する造語という説明でした。ちなみに、補正というのは、画像を明るくしたり暗くしたり、コントラストをつけることで見た目をきれいに見せたり、印象を強くすることです。我が娘の子ども時代を思い出すと親のおもいとこの「親補正」という造語がマッチして、凄く共感した記憶がありました。また、小さい頃の娘の日々の言動に驚き、我が子が凄い、賢いなど、「将来は○○だ」と思ったことを、今の現実と対比してみると懐かしく思い出されます。子育てに追われていた頃は、毎日が時間との葛藤で、心のゆとりなどがありませんでした。しかし、同時に、楽しさや喜びを子どもと共に、不思議で夢一杯の充実した時間を過ごしていたなと、子育てを終わった今実感します。また同時に、子どもの成長を俯瞰して見守るゆとりを持って、あの子育ての時代に戻ってみたいといおもいもあります。このコロナ禍の大変な時期にこそ、マイナスばかりではなく、プラス視点で親子関係の歩みを重ねていくことは子どもの成長にとって貴重な糧になるのではないかと思います。

令和3年7月1日

 

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