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安藤純一(あんどう じゅんいち)さん
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)札幌支部 事業課事業係長
2022年入社後、ロードサービス隊員、救助受付コールセンターに勤務。現在は事業課において、主に広報・モータースポーツ・外国免許証翻訳などを担当
細かな運転操作の違いはありますが、EV(電動車)やハイブリッド車などのエコカーも、ガソリン車もエコドライブの基本は同じです。車が最もエネルギーを消費するのは発進後、制限速度まで加速する段階です。加速時の走行を滑らかにすることで、ムダのないエネルギーの使い方=CO2排出量の抑制がかなりできると思います。
JAFでは次の10項目を「エコドライブのすすめ」としてご紹介しています。このうちいくつかでもできる範囲でトライしていただき、少しでもムダを省くことにつながればと思います。
いくらエコドライブといえど、周囲の車の流れを無視して低速走行を維持するのは考えものです。自分の車だけ燃費がよくなっても、周囲の車は悪化。結果、全体としてはCO2を多く排出することになります。
除雪が行き届いていない道に入って埋まってしまうと、抜け出すまでに時間がかかり、電気やガソリンなどの消費量が増え、CO2排出量の増加につながります。仮にナビシステムが中道へ行くように示したとしても、できるだけ大きな道を選ぶのが賢明です。
エコドライブは環境やお財布にやさしいだけでなく、安全運転にもつながりますので、ぜひ心がけていただければと思います。
次に、CO2排出量の削減につながるEVやハイブリッド車のメリットを最大限に活かすために知っておきたいポイントをご紹介しましょう。
Tip1 発進時 |
アクセルは徐々に踏み込んで、スムーズに加速しましょう。 急発進は電費悪化の原因となります。ふんわりアクセルでやさしく発進。 |
Tip2 走行時 |
スピードを出し過ぎないことがエコドライブのポイント。 EVはガソリン車と異なり、速度が上がるほどエネルギー効率が悪くなる傾向にあります。 |
Tip3 減速時 |
早めのアクセルオフで回生ブレーキを活用。 減速時は駆動用バッテリーを充電するチャンスです。 |
Tip4 停車時 |
車が停まっているときにもできるエコドライブ。 長い時間停車する時はエンジンオフを習慣に。 ※エンジンスイッチがOFF(エンジンキーがOFF)では、エアバッグ・ウインカーなどの電装品は作動しません。 |
Tip1 発進時 |
30km/h程度まではアクセルをゆっくり踏み、電気モーターで加速。 アクセルを強く踏み込むとガソリンエンジンが作動してしまいます。 |
Tip2 走行時 |
目標速度に達したタイミングで、一度アクセルから足を完全に外します。 電気モーターでの走行に切り替えます。 |
Tip3 減速時 |
早めのアクセルオフで回生ブレーキを活用。 減速時は駆動用バッテリーを充電するチャンスです。 |
Tip4 停車時 |
車が停まっているときにもできるエコドライブ。 長い時間停車する時はエンジンオフを習慣に。 ※エンジンスイッチがOFF(エンジンキーがOFF)では、エアバッグ・ウインカーなどの電装品は作動しません。 |
早めにアクセルを戻し、やさしくブレーキを踏むことで、モーターで発電した電力がバッテリーに充電され、次の発進・加速時に再利用するので燃費がよくなる
出典:資源エネルギー庁「エコドライブ10のすすめ」/掲載の図は、原図をもとにイラスト化したものです
「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」という政府方針が2021年に示されました。現状、EVへの救援出動はまだそう多くはありませんが、年々増加の傾向にあります。こうした状況を受け、JAFの新しいロードサービスとして2023年8月1日から、電欠したEVに充電を行うサービスの試験運用を開始しました。札幌でも準備を始めており、まもなく試験運用が開始されます。
今は、電欠したEVや水素切れした燃料電池車は補給場所までレッカー移動していますが、このサービスが運用されると、EVに関しては近くの充電ステーションまで走れるくらい急速充電を行い、自走していただけるようになります。
充電ステーションは自動車ディーラーや大型ショッピングセンターなど、特に札幌のような都市部では件数も多く、普及してきています。こうした環境の整備も含めて、今後ますます増加が見込まれるEV。脱炭素に貢献する車というそのメリットを最大限に活かすためにも、エコドライブを心がけていただければと思います。
電欠に対応した「EV充電サービス」を試験運用中
冬のロードサービス作業