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更新日:2024年4月18日

さっぽろ未来市民ストーリーズ 廃棄物リサイクルで貢献できること

著者

駒谷さん駒谷 僚(こまたに つかさ)さん
株式会社鈴木商会代表取締役社長

1984年生まれ。2008年4月、株式会社北洋銀行入行。2013年4月、産業廃棄物処分・廃棄物再生などを事業とする株式会社鈴木商会に入社。2014年10月、同社取締役就任。同年11月、同社代表取締役社長就任。

廃棄物リサイクルで貢献できること

1トンの鉄リサイクルで、CO2排出量を1.39トン削減

産業廃棄物の収集・処分・再資源化などを事業とする当社がメインに扱っているのは、鉄やアルミなどの金属スクラップです。金属スクラップは「リサイクルの優等生」といわれ、特に鉄はビルや橋梁など使われている量が圧倒的に多く、リサイクルされる量も膨大です。

鉄スクラップから鉄を再生した場合と天然資源である鉄鉱石を採掘して一からつくった場合では、鉄スクラップの方が使うエネルギーがかなり少なく済み、CO2の排出量を大幅に抑えられます。一般社団法人 日本鉄リサイクル工業会では、一から鉄を生産した場合に比べて「1トンの鉄リサイクルで、CO2を1.39トン減らせる」として、鉄スクラップの環境価値をPRしています。

1.39t

地産地消のリサイクルで“脱炭素”

リサイクルには、廃棄物を資源として再生する「マテリアルリサイクル」と燃料として使う「サーマルリサイクル」があります。当社では後者も手がけますが、前者のマテリアルリサイクルに特に力を入れて取り組んでいます。

北海道でマテリアルリサイクルを推進する、つまり地域で出た廃棄物を、地域で処理・再資源化することによって、海を越えて他県に廃棄物を持っていくよりも輸送時に排出されるCO2を削減できます。言うなれば“地産地消のリサイクル”です。これを進めることで、鉄は別として、リサイクルでは大きな脱炭素に結びつかなかったとしても輸送面での脱炭素につながると考えています。

石狩事業所資源リサイクル拠点
石狩事業所 資源リサイクル拠点

リサイクルのさまざまな取組

当社では「埋めたり、燃やしたりするものを少しでも減らそう」という方針のもと、次のようなリサイクルに取り組んできました。

自動車の使用済みガラスから工芸品

小樽の著名なガラス工房、株式会社ザ・グラス・スタジオ(代表取締役社長 淺原千代治氏)とのコラボレーションで、車のリサイクルの過程で回収されるガラスを素材の一部として配合したガラス工芸品を製作していただきました。こういったリサイクルのかたちも、ひとつの活かし方だと考えています。また、使用済みの自動車から回収されたガラスに関しては、車に限らず使用済みガラスはほとんど活用されず埋立処分されている現状があり、より大量に活かせる方法を模索する必要があるとも感じています。


ガラスリサイクル

漁網からバッグ・Tシャツ・文具・ランドセル

2年ほど前から、北海道ぎょれんと提携して使用済み漁網のリサイクルを手がけています。ナイロン素材の漁網限定で回収してペレット化し、再生原料としてメーカーに販売しています。メーカーではナイロンペレットを繊維化して、たとえばバッグやTシャツ、ペンケースなどの文具、スニーカーのアッパー部分等に使っています。人気なのはランドセルで、軽くて価格も相場より少し安めで好評だと聞いています。当社で扱う漁網の量は徐々に増えていますが、現場の漁師さんに直接会って事業の説明をし、困りごとをうかがうなど少し踏み込んで、扱う量の拡大に努めていきたいと考えています。

漁網リサイクル

使わなくなった衣類をボールバッグに

市立札幌藻岩高等学校サッカー部の生徒の発案による「アップサイクルでキッズ応援プロジェクト」に、北海道コンサドーレ札幌とともに協力しました。アップサイクルとは、不要品に新たな価値を与えて再生し、アップグレードした製品のことをいいます。

藻岩高等学校サッカー部では、地域の子ども食堂への協力や子ども向けサッカー教室の開催などと併せて、使わなくなった衣類の回収も行っており、その有効活用について当社が相談を受けました。開発したのはサッカーボールが収納できるボールバッグで、コンサドーレの選手のサインも入っています。ボールバッグは地域の子どもたちへのプレゼントや、立ち上げたクラウドファンディング「READYFOR」のリターン品として使用されています。

衣類リサイクル

燃料として活用するサーマルリサイクル

マテリアルリサイクルを推進したいことに変わりはないのですが、なかには再利用・再生が現状ではできないものも出てきます。

自動車のリサイクルでは、再利用できないものを燃料として使うサーマルリサイクルに活用しています。主にはセメント製造の工場や製紙工場で使われています。これも先述の“地産地消”と同じで、石油や石炭を海外から持ってくるよりは、地域にあるものを燃料として消費した方がCO2の排出は抑えられます。少なくとも、廃棄物が同じ工程をたどって結局は燃やすしか処理の方法がないのであれば、燃料として活かすのが有効的です。

家庭でも産業でも、廃棄物は“分別”が何より重要

家電はほぼ手解体で、資源を選別・回収

みなさんが使い終えた家電は、買い替え時に販売店で引き取ってもらう、小型のものはホームセンターなどにある回収ボックスを利用する、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど家電4品目は当社でも行っている「指定引取場所」に持ち込むなどの方法で資源にすることができます。

回収された家電は当社ともう1社で処理しています。処理作業はメーカーからの指示に従ったやり方で行いますが、ほぼ手作業です。貴重な資源が詰まっているところはしっかりと手で解体・選別・回収します。最後には大型の破砕機に投入し、破砕されたものを金属とそれ以外のものなどに分けています。

手作業で解体、リサイクル処理される電化製品
手作業で解体、リサイクル処理される電化製品

個人単位での分別がより進むと、リサイクルの可能性は広がる

今は、部品などを選別しやすくするように考えてつくられた製品が増えてきています。しかし、廃棄物として出てくるものはそれ以前のもので、とても選別がしにくいこともあり、処理施設に持ち込まれるものは1万2万の単位で、手作業の部分がかなりあります。

どこまで消費者のみなさんにお願いできるか、というところはありますが、ある程度まで細かく分けるということが日本の文化になると、活かせるものがもっと増えてくると思います。それくらい分別・選別は重要です。個人という最小単位での分別が進めば進むほど、リサイクルの可能性は広がっていきます。

当社のような業種は廃棄物をリサイクルで活かす以外に、街の景観を保つという面でも貢献できていると自負しています。誰もが安心・安全に暮らせて、常に変化し、市民がワクワクするような街・札幌を目指したい。そのために、今後も私たちが取り組んでいる分野で市民のみなさんの困りごとを解決し、便利に使っていただけるサービスを追求していきたいと思っています。

みなさんも一緒に、札幌をクリーンで便利な街にしていきましょう。

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札幌市環境局環境都市推進部環境政策課

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