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※札幌市が平成26年度に開催した「第1回生物多様性さっぽろ絵本コンテスト」の優秀賞受賞作品。


あるところに、一匹の男の子の子鹿がいました。名前はクリームといいました。
クリームはとても元気で、友達がたくさんいました。お父さんとお母さんのことも大好きでした。

クリームの住む森には、フクロウの兄弟や、食いしん坊の子りすがすんでいました。きれいな花も咲いていました。
走るのが速いクリームはいつもこの森の中を走り回っていました。

ところがある日突然、森にオオカミの群れがやってきました。「美味しそうな鹿がいるぜ!みんな食ってしまうぞ!」
「みんな早く逃げろ!」森の鹿たちはいちもくさんに逃げました。しかし・・・みんなオオカミに食べられてしまいました。

クリームは逃げ足が速く、助かりました。でもクリームはとても寂しいのでした。
大好きなお父さん、お母さん、友達も、みんなオオカミに食べられてしまったからです。
悲しい日々が続いているうちに、クリームの角はすこしずつ伸びていきました。

クリームが森を歩いていると、「バーン」という大きな音が遠くから聞こえてきました。
近づいてみると、人間です!人間は、大きな銃を持っているようです。その先には・・・オオカミだ!
人間は、「オオカミは危険な動物だから、銃でやっつけよう」と思ったようです。
それからオオカミはどんどんいなくなっていきました。

長い、長い年月が経ちました。
クリームはすっかり大人になって、結婚し、家族ができました。

クリームの子供が子供を産み、その子供が子供を産み、そのまた子供が子供を産む。
仲間はどんどん増えました。今は森にオオカミがいないので、鹿は増える一方です。

増えすぎた鹿に木の皮を食べられて、木が枯れちゃう。育った野菜も食べられちゃう・・・

やがて、クリームはおじいさんになりました。
おじいさんになるまで、森でのいろいろな出来事を見てきたクリームは
「人も森も動物も、みんな仲良く暮らせる日がくるといいな。」いつまでもそう願うのでした。

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