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札幌市不妊専門相談センターでは、不妊症や不育症に悩む方への相談を、専門知識を持つ医師・カウンセラー・保健師が無料でお受けしています。
どんなことでも、ひとりで悩まずお気軽にご相談ください。
※令和5年7月より、面接相談を一部再開し、面接または電話による相談とさせていただきます。
日時:毎月第1・3火曜日・午後
日時:毎月第2・4月曜日・午後
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日時:平日の8時45分~12時15分及び13時00分~17時15分(ただし、年末・年始・祝祭日を除きます。)
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不妊専門相談員が不妊・不育症に関する最新情報をお届けするコラムです。
専門相談で詳しくご相談したい場合は、予約制となっておりますので、専用電話(011-622-4500)までお申込みください。
「不妊検査や治療を始めようかな」「そろそろステップアップを考えようかな」と思っているけれど、仕事をしながらの通院は可能なのだろうかと不安に思っている方が多いと思います。
近年は、不妊治療を受けるご夫婦が増加しており、仕事を持ちながら通院している方も増えています。通院にはお休みを利用している方、朝一番で受診をして少し遅れて出勤する方、少しだけ早退するまたは夜間診療を利用する方など、受診時間をなんとか調整している姿を見かけます。
通院のために遅刻や欠勤をせざるを得ない為、仕事の調整がストレスとなっている事も多いと思います。
不妊治療の検査や治療は生理周期に合わせて行われ、卵子の成長速度により予定のスケジュールが変更になる、受診日を指定される、急に受診が必要になるなどの特性があります。
厚生労働省の調査では、不妊治療をしたことがある(または予定をしている)労働者の中で
仕事をやめた 15.8%
治療をやめた 10.9%
雇用形態をかえた 7.9%
あわせて34.6%の方が仕事との両立ができなかったと回答しています。
厚生労働省では、不妊治療にはどのような治療があり、どれくらいの受診が必要であるかの
目安や職場内で治療への理解を深めて頂くための「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」や企業や職場に不妊治療を行っているまたは予定していることを伝えるための「不妊治療連絡カード」を作成しています。
また事業主・人事部門向けの職場づくりのためのマニュアルもあります。
やりがいのある仕事を辞めることで、大きな喪失感を引き起こすこともあります
仕事で気がまぎれるなど仕事をすることで治療のストレスが軽減することもあると思います。
実は事業主と話してみると意外に理解を得ることが出来たり、サポートシステムがあったという事があります。
治療のために仕事を辞めたり、雇用形態を変える前にどうしたら仕事と治療の両立が出来るのか、通院によるストレスの軽減が出来るのか模索してみると良いと思います。
ぜひ、厚生労働省のホームページをご覧になり参考にしていただき、少しでもストレスが軽減し、通院しやすい方法が見つけられることを願っています。(不妊カウンセラーH)
【外部サイト】「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」(厚生労働省)
妊娠が成立し無事出産を迎えるためにはいろいろな要素が関与しますが、その中でも胎児側の要因、つまり染色体が正常であることは非常に大きなウェイトを占める問題です。
受精卵がもつ染色体異常の程度によって、着床に至らない場合、初期流産になる場合、先天異常をもちながら出生に至る場合までさまざまです。
現在日本では、不育症や反復着床不全のカップルのために受精卵の段階で染色体異常を調べる着床前診断が一部施設で実施できるようになりました。
着床前診断は生命の選別であり倫理的に問題があるとの意見もありますが、なかなか成果があがらないカップルにとっては切実な問題ですので、日本産科婦人科学会も条件つき(不育症、反復着床不全、染色体均衡型構造異常保因者に限る)で研究としての実施を容認しています。
着床前診断をするにあたっては、体外受精(顕微授精)をして胚盤胞という段階の受精卵を得る必要があります。
胚盤胞の一部の細胞を採取してDNAを抽出し染色体異常がないかどうかを検査します。
検査結果が判明するまで胚を凍結保存し、結果確認後に胚移植をします。
着床前診断は、なかなか出産に至らないカップルにとって強力なツールとなるのですが、いい面ばかりではないことも知っておく必要があります。
不妊ではないカップルにとっては本来必須ではない体外受精(顕微授精)を検査のために行う必要があります。
すべての受精卵が正確に診断できるわけではない(判定保留などもある)ので、もしかしたら出産できたかもしれない受精卵を移植に不適切として除外してしまう可能性も潜んでいます。
このように医療行為にはすべからく利点と欠点が存在するので、事前に実施施設で良く相談してからご検討下さい。
(不妊専門相談医:B)
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。
千葉県では、妊婦さんが新型コロナウイルスに感染し陣痛が来たが、受け入れ先の病院が見つからず、自宅分娩になり赤ちゃんが死亡するという、痛ましい事件も起きてしまいました。
いろいろな治療薬も出てきていますが、妊婦さんへの安全性については、まだ、はっきりしていないものもあります。
では、妊婦さんはどうしたらよいでしょうか?ワクチンでしょうか?
妊娠している妊婦さんや、これから妊娠をめざす女性には、ワクチンは勧められるでしょうか?
妊婦さんが新型コロナウイルスに感染すると、妊娠していない女性に比べて、重症化するリスクが3倍に増えるという報告もあります。このことからも、ワクチンは、時期を問わず接種することが推奨されています。
心配なのは副反応ですが、発熱など発生頻度は、妊婦さんと妊娠していない女性との間に差はありません。(発熱には、解熱剤のアセトアミノフェンが、妊婦さんにも使用可能です。)
また、流産や早産、新生児死亡、赤ちゃんの先天奇形の発生頻度は、ワクチンを打った妊婦さんと打たなかった妊婦さんの間に、差はありませんでした。
また、ワクチンでできた抗体は胎盤を通って子宮内の胎児に届くといわれています。新生児が新型コロナにかかりにくくなる可能性があります。最近では、家庭内感染も増えているので、是非、ご夫婦で接種を検討しましょう。
では、今、妊娠を目指している人たちにはどうでしょうか?
将来、妊婦になることを考えると、妊娠を目指している人も、感染予防のためにワクチン接種を検討しましょう。
ネットなどでは、「ワクチンを打つと不妊になる」などという不確かな情報があります。
しかし、科学的な根拠は全くありませんし、ワクチンを打ってから妊娠した女性もたくさんいらっしゃいます。ネットなどの、こういう話は、誤った情報がほとんどですので、惑わされないようにしましょう。(不妊専門相談医:H)
卵巣から排卵した卵子が卵管采という卵管の位置口に付着すると、卵管内腔のひだの働きで卵管の中へどんどん送り込まれていき、卵管膨大部というやや広い場所で精子と卵子が出会い、受精卵となります。その後も受精卵は成長しながら、さらに卵管の中へ送り込まれていき、授精後6日目くらいには子宮内腔に到達し子宮内膜に着床します。
卵管閉塞があると不妊の原因になりますが、卵管閉塞には卵管采が閉塞して排卵した卵子を取り込むことができない場合と卵管の内腔が閉塞していて卵子と精子が出会うことができない2つのケースがあります。
妊娠を希望する場合の治療法には卵管を経由させないで体外に取り出した卵子と精子を受精させた後に受精卵を子宮内に移植する体外受精―胚移植を行う方法がありますが、それ以外にも手術で卵管を正常な元の状態に戻し、自然妊娠を目指す方法があります。
卵管采が閉塞、癒着している場合には、おなかに空けた5~10mmぐらいの小さな傷から腹腔内を観察して手術を行う腹腔鏡下手術で卵管采を形成することが可能です。
卵管内腔が閉塞、狭窄している場合には、卵管の中に外径1.2mmの伸張性バルーンカテーテルを通し、障害のある部位を広く開通させる卵管鏡下卵管形成術を行うことが可能です。カテーテルの内側に組み込んだ外径0.6mmの微細な卵管鏡により卵管内腔の状態を観察することで、卵管不妊の治療選択を決定する上で有用な情報が得られる可能性があります。
卵管鏡下手術はクラミジア既往、子宮内膜症既往など卵管の外側に癒着が予想される状況でなければ腹腔鏡を併用するなどおなかに傷をつけることなく、腟から手術を行う選択をすることもできます。
これらの手術は体外受精とは異なり、健康保険適応で行うことができますが、形成した卵管が再癒着することもあるため、術後2~3週間後にはすぐに妊娠を目指します。
治療後の妊娠成功率は約30%で体外受精と同等と言われておりますが、妊娠例の多くが治療後1年以内の妊娠であることから、術後1年経過しても妊娠しない場合には体外受精施行を検討する必要があります。高齢の場合、卵巣機能の低下や、卵子の染色体異常率増加の問題もありますので初めから体外受精を選択する方法もあると思われますが、卵管閉塞と診断された場合の治療法には体外受精のみではなく、いろいろな選択肢があることを頭に入れておいてもよいかもしれません。(不妊専門相談医H)
去年、「アンサング・シンデレラ」という薬剤師が主人公のドラマがありましたが、今回はあまり知られていない胚培養士さんの話を紹介いたします。
胚培養士は不妊治療において欠かせない胚(受精卵)を扱うスペシャリストです。ヒトの卵子のサイズは約0.1mm、精子は約0.06mmであり、そのような極めて“ミクロ”なものを管理しながら生命の素となる胚を育てるためには、かなりの熟練した技術が必要とされます。また、医師と連携しながら採卵や移植といった処置に立ち合うだけではなく、患者さんの悩みや相談にのったり、胚培養の経過を報告したり、他の医療スタッフとともに患者さんの願いを叶えるため日々努力をしているのが、胚培養士なのです。
タイムラプス・インキュベーターという、胚培養器の中に搭載されたカメラで受精卵の成長を動画で記録できる装置を備えた施設も増えてきており、胚培養士が受精卵の分割が正常かどうかや、成長スピードを評価する場合もあります。最近では、着床前検査のために受精卵から細胞を生検するといった、かなり難易度の高い操作を行うのも胚培養士の仕事です。従って、施設による妊娠成績の違いが胚培養士の腕にかかっているといっても過言ではありません。
生命の神秘を誰よりも身近で感じながら、患者さんと共に一喜一憂しつつ、患者さんの笑顔をいつも願う縁の下の大きな力持ち…それが、“アンサング(unsung)” 知られざる功績者である胚培養士さんなのです。(不妊専門相談医H)
風しんは風しんウイルスによって起こる感染症で、くしゃみや咳などによって飛び散るウイルスを吸い込んだりすることで感染します。
通常2~3週間の潜伏期間の後に、発熱や発疹、耳の後ろや首のリンパ節の腫れ、関節の痛みなどの症状がみられます。一般的に症状は軽く、数日の経過で回復しますが、まれに高熱が続いたり、妊娠中(妊娠20週頃まで)の女性が感染すると、胎盤を介して赤ちゃんに感染することによって、生まれてくる赤ちゃんが先天性風しん症候群を発症する可能性があります。先天性風しん症候群とは、生まれつきの心臓病、白内障、難聴といった心臓、目、耳などに障害を持つことがある病気です。
風しんの予防にはワクチン(予防接種)が有効です。風しんのワクチンはウイルスの毒性を弱めて作られた生ワクチンで、現在妊娠の可能性がある場合と妊娠中は生ワクチンの為予防接種を受けることができません。そのため、妊娠の可能性のない時期に抗体検査や予防接種を検討する事が大切です。また、予防接種を受けてから約2ヵ月は妊娠を避ける必要があります。
男性も女性が妊娠中に風しんウイルスに感染してしまうことがないように、罹患歴や予防接種歴が明らかでない場合には、抗体検査を受けておきましょう。男性はワクチンを接種しても避妊の必要はなく、精子を介しての影響は心配ありませんので、いつワクチンを接種しても構いません。
抗体検査やワクチン接種を行っている医療機関は、抗体検査・予防接種が受けられる場所(札幌市HP)で確認することができます。
家庭内での風しんの感染を防ぎ、生まれてくる赤ちゃんを守るためにも、ご家族の方も含めて積極的に抗体検査を受け、抵抗力(免疫)が十分でない場合には予防接種を受けることを検討しましょう。(不妊カウンセラーU)
雪寒い季節は、体の冷えを感じやすくなりますね。
以前「冷え」についてのコラムにもありましたが、体を温める事は血流を良くするためにとても大切です。体は食物から出来ています。せっかくたべるのであれば、体を心から温める食材やメニューを日頃から取り入れてみるのが良いでしょう。
体を温める食材としては、カボチャ・ごぼう・レンコン・玉ねぎ・山芋や冬の旬の野菜である大根・白菜ブロッコリー・ネギ・カブなどがあります。調理方法は煮物・蒸す・焼くのがよく、ニンニクやショウガ・スパイスをプラスすることでより効果があがります。
生野菜や冷たい飲み物を控え、温かい飲み物を積極的にとりましょう。
生姜湯や葛湯は体を心から温める飲み物として古くから知られています。はちみつやレモンを加えると飲みやすくなります。紅茶やココアも体を温めてくれます。暖かい飲み物は、冷えた体が緊張しているのを緩め、体をリラックスさせる効果もあります。
体を温める根菜類を使ったメニューを管理栄養士さんに、作成してもらいましたので紹介します。
【ごろごろ根菜と牛肉のカレー】(1人前)661kcal 食物繊維7.7g 塩分1.8g ※材料は2人前
・十六穀米340g ・牛肩ローススライス80g ・油 4g ・塩・胡椒 少々・玉葱(スライス) 80g ・人参(乱切り)60g ・レンコン(乱切り)80g ・ごぼう(乱切り) 40g ・ジャガイモ(乱切り) 60g ・ホールトマト20g ・カレールウ30g ・バター4g ・カボチャ(5mm幅2枚) 80g ・オリーブオイル2g ・あらびき胡椒 少々 ・カレー粉0.2g・ブロッコリー 40g ・塩 ひとつまみ ・福神漬け 10g
1. 人参、れんこんを別鍋で柔らかくなるまで茹で、ゆで汁をとっておく。
2. ごぼうは下茹で、あく抜きをする。湯を捨てから、柔らかくなるまで茹で、ゆで汁をとっておく。
3. 牛肉に軽く塩胡椒して炒め、取り出す。
4. 1.の鍋で玉葱をしんなりするまで炒める。
5. 4.に茹でた人参、れんこん、ごぼうと根菜のゆで汁、ホールトマト、ジャガイモを加え30分程度煮込む。
6. かぼちゃは塩胡椒、オリーブオイル、カレー粉をふりトースターで焼く。
7. ブロッコリーは青茹でにする。
8. 5.にカレールウを溶き、バターを加える。
9. 十六雑米を器に盛り8.をかけ、カボチャとブロッコリー・福神漬けを飾る。
ワンポイント:根菜は柔らかくなる時間が食材によって違うので別々に下茹でしましょう
秋の味覚を楽しみながら、少しだけこの機会に食生活を見直してみるのも良いでしょう。食事は単に栄養を取るものだけではなく、会話をしながら食事することでコミュニケーションツールの一つにもなります。
なかなか思う通りの外出が出来ない今、休日にご主人と一緒にお料理をしてゆっくり食事をする・暖かいも飲み物をとりながらゆっくり映画を見たりするのも良いですね。
私も食べましたが、根菜を食べている感じが無くとてもコクがありおいしかったです。ぜひ、皆さん作ってみてください。(不妊カウンセラーH)
芸能人などの年の差婚が話題になることがあります。
精子は新しく作られているので妻が若ければ、夫が何歳になっても子供を作ることができる。○か×か?と言う問題があればみなさんどうお答えになりますか?
女性が加齢に伴い卵巣機能が低下し、染色体異常の卵子が増加することは広く知られるようになりましたが、実は男性でも加齢に伴い精子の数や運動率が低下し、DNAが損傷した精子の頻度も高くなるため受精能力が低下していきます。
5000人以上のデータを集めた報告によれば総精子数、運動精子数は34才、正常形態精子率は40才、精液量、生存精子率は45才を境にしていずれも減少することが示されています。
また、DNA損傷精子が25%以下である場合はそれ以上の場合と比較し、自然妊娠できる率が5倍以上高くなるという報告や、自然妊娠では夫の年齢が35~40才、人工授精(AIH)では35~45才、体外受精・顕微授精では40~50才で妊娠率が低下するという報告もあります。
こうした精巣・精子の変化は卵巣ほど急速に進行せずに徐々に出現してくるため低下傾向は個人差が大きく、70才代でもかなり若年時に相当する精巣機能を維持している場合もあるのですが、男性も女性と同様に加齢に伴う妊娠率の低下を意識することが必要と思われます。(不妊専門相談医H)
お仕事をしながらの妊活や、忙しい毎日の中で規則正しい生活を心掛けていても睡眠不足や運動不足、栄養バランスの偏りを気にされている方も多いのではないでしょうか?
卵巣が健全に機能し、質の良い卵子が排卵される頻度を高めるためには、バランスの取れた食事と、ウォーキングのような有酸素運動を取り入れることと同時に、欠けがちな栄養素をサプリメントから補充することも時には必要です。
今回は葉酸とビタミンDについてのお話です。
葉酸はビタミンB群の一つで、水溶性ビタミンです。妊娠を計画している女性は、妊娠1か月以上前から妊娠3か月までの間、1日400㎍の葉酸を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが低減することが知られています。赤ちゃんの体をつくるのに必要な葉酸量を体に蓄えるには、毎日葉酸を400㎍摂取しても約1か月半かかると言われます。そのため、リスクをより少なくするためにも、妊娠前からの摂取が効果的です。
ビタミンDは脂溶性ビタミンで、主にカルシウムとリンの吸収を促進し、骨を作り丈夫にする働きが知られています。
最近では、卵胞の発育や子宮内膜を着床に適した状態にするなど、妊娠・出産における働きについても注目されるようになってきました。ビタミンDを多く含んでいる食品は、サケ・マグロ・サバといった脂肪性の魚や、まいたけ・エリンギといったきのこ類です。サプリメントによる補充量は、1日800~1000IUが推奨されており、1日で最も食事量の多い食後に服用するのが良いと言われます。日本人女性のビタミンD摂取状況は、紫外線に当たる時間が少なかったり、食事からの摂取が不十分でビタミンD不足となっている割合が高いと言われています。サプリメントの大量摂取には注意が必要ですが、バランスの良い食事と共に上手に取り入れていきましょう。。(不妊専門カウンセラーU)
2月26日の「病院に行くべき?と迷ったら」のコラムの中で、受診のタイミングについての話がありました。通院を始めようと思っているけれども、「どんなふうにいつ?何回くらいの通院が必要?仕事をしているけれども大丈夫?」という声をよくお聞きします。
では、実際どのように通院が必要であるか検査・治療のスケジュールについてお話していきたいと思います。
受診される病院により検査の内容については多少の違いがあるかと思いますが、初回の診察時に子宮・卵巣に問題がないかの超音波検査・子宮がん検診・おりもの検査・血液検査等生理に関係なく行う事の出来る検査を行います。
その他の検査は生理の状況に合わせて行います。生理中にホルモン採血。生理終了直後に子宮の内腔をみる子宮鏡検査・卵管の通過性に問題がないかをみる子宮卵管造影検査を行います。
次に、毎月の生理と生理の間隔から排卵時期を予測し、卵子の入っている卵胞という袋の大きさや・子宮内膜の厚さを超音波で計測し、ホルモン検査と照らし合わせて実際の排卵が近いかを判断していきます。この時に、まだ排卵まで少し時間がかかりそうな場合は、数日後に再度来院していただくことになります。そのようにして排卵を予測していきます。
排卵後は受精卵の着床を助けるホルモンが十分分泌されているかのホルモン検査を行います。これらが生理の状況にあわせた検査になります。男性の精液検査はいつでも可能ですので、この期間に行うのが良いでしょう。
その後の通院に関しては、検査の結果・年齢・不妊期間などを考慮しどのような治療が適しているのかを医師とよく相談し、ご夫婦でどんな治療法を望むのかで変わってきます。
排卵時期を予測するタイミング療法では、排卵近くに数回受診していただき、排卵の時期を確認していきます。また、排卵誘発剤を使用する場合は、種類や頻度にもよりますが受診の回数は少し増えます。
人工授精を希望される場合は、タイミング療法と同じように受診していただきます。
高度生殖補助医療(体外受精)は、治療法にもよりますが頻回の受診が必要となります。
仕事を持ちながら治療をする女性は多くいます。予測通りにいかないという治療の特性があり、受診スケジュールが変更になる場合もあります。頻回の通院が必要で仕事との両立に悩みを抱える方も少なくありません。
まずは、検査だけ行ってみる、仕事に支障がなく通院できそうな月に通院するのでも良いと思います。個々の状況は様々ですが、受診に丸1日を要するわけではありませんので、両立が難しいから退職を・・・と考える前に、職場に理解を求めてみる・無料相談やカウンセリングなど専門家の力を借りて、どのようにすると仕事と治療の両立が可能になるのかを模索していくことをお勧めします。
まずは一度受診をお勧め致します。(不妊専門カウンセラーH)
昔の日本では「嫁にして三年子なきは去れ」など、とんでもないことが言われたように子どもが授からない原因は女性だけにあるように言われてきた歴史があります。しかし、「不妊原因の半分は男性にある!」が真実です。WHOが発表した不妊治療に臨む夫婦の原因男女比によると男性に不妊原因がある場合は48%(夫婦両方に原因がある場合も含む)、しかし不妊に悩み相談に来られる方のほとんどは女性おひとりです。ご主人の精液検査も早めにしておくと良いことをお伝えすると困ったように「忙しいし・・・」と口ごもったり「どうやって話せばいいですか?」と悩む方もいます。
男性不妊のうち約9割が精巣の中で精子を作る働きが低下する造精機能障害です。このうち約7割が原因不明の突発性造精機能障害と言われるもので、残りが精巣の血流が滞り働きが悪くなる精索静脈瘤や染色体異常などです。
即ちほとんどの方の原因がわからないということです。通常不妊治療では精子が少ないと人工授精、体外受精、顕微授精などにステップアップをする治療をおすすめします。同時に少しでも精液所見をよくするために生活習慣の改善もおすすめしています。精液所見を改善する絶対的な方法は無いのですが、精子に悪影響を与えるものはわかっています。それを改善してみるのも良いでしょう。1.禁煙…たばこは精子に悪影響しかありません。2.お酒は適度に…飲みすぎは精液量の減少、奇形率の増加につながります。3.ストレス・疲労をためない…精子数の減少につながります。4.精巣を締め付けない・温めない…精子に熱は大敵です。下着やズボンはゆったりとしたもの、サウナは短時間で、膝の上にPCをのせないなど5.精子をため込まない…溜めすぎると新しい精子がつくられにくく、DNA損傷精子が多くなるといわれています。6.肥満や極端な痩せは解消しましょう…精子数や運動率が低下することがあります。
精子は熱に弱く、活性酸素の影響を受けやすくトレスにも弱い細胞です。人工授精にステップアップをして精液を持ってきて初めて精子が少ないことがわかる場合も少なくありません。不妊はどちらに原因があったとしても夫婦で乗り越える問題です。検査も治療も話し合って決めましょう。「不妊の原因は男女半々なんだって。だから一緒に検査しよう」とご主人を誘ってご来院ください。(不妊カウンセラーO)
「自分たちなりにタイミングをとっているけど、なかなか妊娠しないんです」「子どもは欲しいと思っているけど、病院に行ったほうがいいのだろうか」「どの病院に行ったらいいのかな?」などと迷いながら、なかなか病院に行くことができない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日本産科婦人科学会では、「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。しかし、1年たたなければ病院に行ってはいけない訳ではありません。もともと月経が不順だったり、月経痛が強かったり、年齢的な不安がある場合、そして早く子どもが欲しいと思ったら、それが受診のタイミングです。
では、どんな病院に行けばいいのでしょうか。実はカウンセラーの専門相談で多い質問が「どこの病院がいいですか?」というものです。クリニック、総合病院の婦人科、大学病院など、それぞれの病院の特徴があります。一般的な婦人科クリニックではタイミング治療のみのところと人工授精まで行うクリニックもあります。専門クリニックではタイミングから体外受精、顕微授精まで専門的で幅広い検査・治療が受けられます。総合病院、大学病院は内科的疾患が見つかった場合、同一施設での受診が可能です。分娩施設を持っている病院では出産まで診てもらうことができます。不妊の検査だけしたいのか、治療をしたいのか、治療をどこまでしたいのかによって選んでみてください。
担当医制なのか交代制での診察なのかも病院によって違います。ご自分のコミュニケーションの傾向によってどちらが良いか考えてみても良いかもしれません。受診頻度は検査や治療で頻繁に診察が必要な時もありますので、自宅や勤務先から通院しやすい病院をおすすめしています。
なかなか妊娠できず苦しい経験は、誰にでも相談できることではありません。一人で悩むのはとても辛いことです。信頼できるご家族以外でも、不妊を経験しているメンバー同士のグループ、病院の主治医や看護師に相談しやすいというのも大切です。病院の雰囲気は行ってみないとわからないので、通院していなくても勉強会や講習会、不妊相談を行っている場合は話を聞きに行くのも良いと思います。皆さまが悔いなく治療が受けられる病院に出会えるようご夫婦で相談してみましょう。(不妊専門カウンセラーO)
「赤ちゃんを望んでいるけれど、婦人科に行った方が良いのかな」「生理周期のどんなタイミングで受診したら良いのだろう」「婦人科って受診しにくい」など、受診に関して不安や疑問をお聞きすることがよくあります。
ご夫婦がお子様を望み、性生活を送っているけれどもなかなか恵まれない場合、30歳前半までは半年から1年、30歳後半からは半年を目安に一度検査を受けた方が良いと言われています。生理周期に関してはどのタイミングでも良いので受診し、これからの検査の内容や検査の必要性を理解し、どのようなスケジュールで検査を行っていくかを確認するのが良いと思います。検査は妊娠を難しくしている理由を知り、どのようにしたら良いのかを見つけるために行います。
また、妊娠についてや体外受精に関しての勉強会や説明会を行っている病院があります。女性の体の仕組み・卵子と精子の違い・妊娠までのステップ・生活習慣・検査・治療についてなど、ぜひ知っておいていただきたい情報が組み込まれています。
これから受診を考えている方や現在通院をしている方も、是非ご夫婦で参加して頂きたいと思います。お二人が「赤ちゃんが欲しい」と願って行う治療であり、どんな治療を行っていくかは「お二人が選択していく」ことになります。積極的な参加により治療や検査への理解を深め、不安を最小限にとどめることが出来ます。また妊娠に対する意識や知識は男女共に正しく持つことが重要です。そうすることにより妻が治療に臨むときの支えとなり、ストレスの軽減にもつながります。
参加された方々からは「もっと早く知っておきたかった」「治療の前に知りたかった」とお聞きすることがよくあります。
ぜひ、勉強会や説明会や相談会を早い時期に参加することをお勧めします。
少しでも不安が和らぎ、理解して治療を進めていけることを願っています。(不妊専門カウンセラーH)
不妊が精神的なストレスとなることは容易に想像できますが、それでは精神的なストレスは不妊の原因となるのでしょうか。以前からストレスにより内分泌異常をきたし造精機能障害や排卵障害になることは知られていますが、ストレスはどうやら内分泌機能への影響だけにはとどまらないようです。
不妊治療に従事していると時々遭遇することなのですが、治療中になかなか妊娠できなかった方がふとしたタイミングで妊娠されることがあります。2人目のお子さんが早くほしくて治療を頑張ってもなかなか妊娠せず疲れて治療を休んでいたところ自然に妊娠した方や、原因不明不妊で体外受精をもってしてもなかなか妊娠できなかった方が治療中断中に自然妊娠されたこともあります。精神的ストレスが体外受精における妊娠率の低下に関連するとの報告もあるくらいです。
では、ストレスをため込まないための良い方法はあるのかというと、これがなかなか難しい問題になります。有酸素運動やウォーキング、ヨガがストレス軽減手段になるとアメリカ生殖医学会での解説にありましたが、そう簡単ではないのだろうと思います。やる気が起こらないことを続けようと思うとかえってストレスになってしまいますから。ご自身で何か気分転換ができて熱中できる趣味を見つける必要があるのかもしれません。特にこれといった趣味がない、という方々は今年こそ何か打ち込めるものを探してみてはいかがでしょうか。(不妊専門相談医B)
忙しい毎日の中でついつい食事時間が不規則になってしまったり、夜遅くに食事をすることが増えたり、暴飲暴食が続いていたりなどという機会は多くないでしょうか?
食生活についても妊娠してから気を付ければ良いのではなく、妊娠前からの食事の質の改善が大切です。食生活では、糖化ストレスを溜めない工夫が必要です。
糖化とは、食べ物からの過剰な糖が細胞を傷つけることで、その結果AGEs(糖化最終産物)という老化促進物質が作られます。
AGEsは内臓をはじめとする体内組織に影響を与え、動脈硬化や糖尿病、高血圧などの生活習慣病と言われる病気の発症や、老化の大きな要因にもなり、その結果卵子や精子の老化を早めてしまう事にもつながってきます。
食事をすると血糖値は上がりますが、最も気を付けなければならないのは血糖値の急激な上昇です。血糖を一気に上げやすい食べ物は、血中のインスリンを増やし、逆に低血糖に傾く反動で食欲を高めてしまいます。それを避けるためには、血糖値が上がりやすい食品が後になるように食べることがコツです。最初に繊維の多いサラダから始め、次に野菜などの煮物、そして肉や魚、最後にご飯というのが理想です。食物繊維の多い野菜は血糖値の上昇を緩やかにしてくれ、脂肪の吸収を抑えます。
そして、急激に血糖値を上げない食品を選ぶことも糖化の抑制に繋がります。その食品を選ぶポイントとしてGI値(グルセミック・インデックス値)があります。GI値は食べた後に血糖値が上がる速度を数値化したものです。GI値の高い食品をとってはいけないという事ではないですが、普段食べる食品の中にGI値の低い食品を多くとり入れる事が重要です。また、高い値の食品をとる時には、GI値を下げる効果があるといわれる酢やレタスなどの食物繊維、チーズなどの乳製品、豆腐などの豆類を合わせて食べるようにしましょう。
糖化を防ぐための食べ方のコツ、ぜひ実践してみて下さい。(不妊カウンセラーU)
あまり知られていない事かもしれませんが、妊娠の約15%が流産に至り、妊娠した女性の約40%が流産を経験しているとの報告もあります。さらに妊婦が40歳代前半では流産率が約50%ともいわれています。また男性の加齢によっても自然流産の確率が上昇すると報告されています。加齢により流産の確率が高くなるのは、なぜでしょうか?
一般的に、卵子で30%、精子で15%くらいの頻度で染色体異常があることが知られており、受精卵においてはその頻度は50%以上となります。さらにこれらの頻度は加齢により増加するのです。
卵子・精子は染色体の減数分裂を経て形成されます。精子は生涯作られ続けるのに対し、卵子は発生の途中で形成が一時止まっており、そのままの形で排卵直前まで何十年もじっとしているのです。その時間が長いと染色体の構造が不安定になって、染色体異常が発生しやすくなるといわれています。よって年齢が上がると染色体異常が起きる可能性も高くなるため、流産の確率が上がるのです。
初期流産の約80%は胎児の染色体異常によって起こります。染色体異常の程度には大小があり、異常が大きい受精卵は着床する前の早い時期に死滅してしまうために妊娠に至らないことが多いです。一方、異常の程度が小さいと妊娠することもありますが、着床後発生が止まり、その結果が流産となります。染色体異常があると、自然淘汰として流産が引き起こされるのです。
流産と診断されるとどうしても原因を探して悩んでしまいがちです。その悩みを解決する一つの方法は、流産となった絨毛という胎盤の一部を調べることです。ただし染色体異常だけではなく、他にも流産の原因は種々ありますし、原因不明のことも多いです。2年前より札幌市では、不育症の検査・治療費に対する助成を行っています。原因不明の不育症に対する治験を行っている施設もあります。是非ご相談に来て頂き、少しでもつらい悩みや不安が解消されることを願っております。(不妊専門相談医K)
妊孕力を高めるためには、7月のコラムにありましたように健康な身体づくりが大切です。今回は、万病のもとと言われる「冷え」について考えましょう。
身体が冷えると血液の流れが悪くなり、卵巣や子宮への血流が悪くなります。血液が流れる事により、酸素や栄養を細胞に届け老廃物を外に出す働きをしています。また、分泌されたホルモンを目的とする場所に届ける働きがあります。良い卵子を育むには、骨盤内の血のめぐりを良くすることが大切です。
それでは、具体的な改善策を挙げてみましょう。
身体を締め付ける下着で血行を妨げない。シャワーのみではなく、湯船につかる。お家で裸足ではなく、靴下をはく。エアコンの中に長時間いない。一枚上着を羽織る。食事に暖かい汁物を摂る。身体を温める根菜類やショウガを使ったメニューを取り入れる。運動をして新陳代謝を挙げる。等があります。
特に身体を動かすことで筋力がアップし、新陳代謝が上がり若々しさを保てたり、血行を良くして身体を温めたり、ストレスを発散することができたりと良い効果が言われています。ウォーキングやストレッチ・ヨガ等が良いと言われています。なかなか時間が取れなかったり、運動が苦手だったりする場合は、日常生活の中での運動量を増やしてみましょう。
エレベーターを階段に変えてみる。自転車を徒歩にしてみる。通勤で一駅前から歩いてみる。コミュニケーションの一つとして、ご夫婦でウォーキングをする。仕事の合間にストレッチをしてみるなど、身体を動かす習慣をつけることが大切です。
身体に良いことはたくさん挙げることはできますが、苦手なことを毎日、毎日頑張り続けることはとても難しいことです。生活の見直しは一時的なものではなく、日々続けることが大切です。まず初めは、無理なく出来そうなことから始め、自分が楽しみながら出来ることを選んでやってみることをお勧めします。(不妊カウンセラーH)
晩婚化が進むなか、自分の卵巣年齢が何歳なのか知りたい人は多いと思います。そういう方の為に近年、卵巣年齢と完全にイコールではありませんが、卵巣の予備能を知ることができます。抗ミュラー管ホルモン(AMH)の測定です。
このAMHは、卵巣内に存在する、前胞状卵胞の顆粒膜細胞から分泌されます。これは卵巣内に残存する卵子の数と相関します。つまり、AMHを測定することにより、自分の卵巣に存在している卵子の数を知ることができるのです。
ただし、AMHは25歳をピークに低下するため、25歳未満の方の測定には意味はありません。また、他の因子、たとえば多嚢胞性卵巣(PCO)では高値に出るなど、まだ治療の参考にされているのが現状です。しかし、ある程度卵巣年齢の参考にはなりますので、保険の適応はまだありませんが、自分の卵巣がどの様な状態にあるのか、ご心配な方は不妊施設で1度測定してもらってはいかがでしょうか。(不妊専門相談医M)
助産師として勤務していた頃、不妊クリニックからの紹介状を持った妊婦さんが来ると、まず体重をチェックしました。「あっ、また体重が・・・」不妊治療後の妊婦さんにはBMI30以上の、いわゆる“太りすぎ”の方が多いなぁ・・と印象をうけました。
BMIは肥満度を表す体格指数で[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で計算します。18.5~25未満が適正体重とされています。目標体重の目安として使ってみると良いと思います。
妊婦の肥満には妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、巨大児、血糖値の上昇は赤ちゃんにも障害が出ることもあります。分娩時には産道に脂肪がついて難産になったり、分娩停止となり緊急帝王切開になるリスクもあります。
そして、適正体重は妊娠するためにも大切です。“太りすぎ”だとホルモンのバランスが崩れ排卵障害を起こすことがあります。肥満の人に多く見られる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)もその一つです。PCOSは体重を減らしただけで、排卵がうまくいく場合もあります。
一方痩せすぎも脂肪細胞から産生されるエストロゲンの量が減り、生理不順になったり排卵障害となる場合があります。
妊娠するためだけでなく、無事に元気な赤ちゃんを産んで、お子さんご主人と末永く健康に過ごすためにも体重コントロールは大切です。(不妊カウンセラーO)
財津和夫作詞・青春の影という曲の歌詞に
君の心へつづく長い一本道はいつも僕を勇気づけた♪とてもとてもけわしく細い道だったけど今君を迎えにゆこう~♪
とありますが、精子たちも卵管内で待つ卵子を迎えに一本道を泳いで行き、やがて出会った卵子と精子は受精卵となった後に子宮内に戻り、着床します。
しかしながら、感染や子宮内膜症などにより卵管内腔に炎症がおこると卵管内腔が完全に閉鎖、あるいは狭くなってしまうことがあります。その結果、かなりけわしくなった一本道を進むことができなくなった精子と卵子が出会うことができなくなったり、受精卵が子宮内に戻ることができなくなり、不妊の原因となることがあります。
このような場合に体外受精以外の治療選択肢として、卵管鏡下卵管形成術を行い、自然妊娠をめざす方法があります。
卵管鏡下卵管形成術は卵管の中に外径1.2mmのバルーンカテーテルを通し、閉塞部位を広く開通させる手術法です。また、カテーテルの内側に組み込んだ外径0.6mmのファイバーカメラにより卵管内腔の状態を観察することで、内腔の襞の有無など卵管性不妊の治療選択をする上で有用な情報が得られる可能性もあります。一般に手術により80%以上の卵管通過性が回復しますが、約10%の症例で再閉塞することもあります。
治療後の妊娠成功率は、文献的には治療後2年以上経過した症例の検討で約30%に妊娠が成立し、治療成立までの期間は平均7.8か月、妊娠例の87%が治療後1年以内の妊娠であることから、術後1年経過しても妊娠しない場合には体外受精などの治療への移行が必要なこともあります。
ご夫婦の考え、年齢などにより治療方法の選択、適応はさまざまと思われますが、卵管が詰まっている場合にも手術することで自然妊娠を目指すことができる方法があることも念頭に入れて、主治医の先生と治療方針について相談されてみてはいかがですか?(不妊専門相談医H)
妊活をしていく上で、妊娠しやすい時期を把握するために、まずは基礎体温を測ることをお勧めします。
基礎体温とは、朝目が覚めたときに口の中に婦人体温計を入れて測定した体温を言います。基礎体温は通常、低温期と高温期の二相性になります。その差が0.3度程度ある事が理想です。基礎体温を測定しグラフ化することによって、排卵しているかどうか確認することや、継続していくことで、毎月の月経周期から排卵日を予測することが可能になります。排卵は最終低温日から、体温が上昇する間に起こる事が多いと言われます。基礎体温から正確な排卵日を特定することは難しいですが、基礎体温をみながらご自宅でタイミングをとるには、排卵頃の生理周期が近づいてきましたら、2~3日に1回くらいのペースで性生活をもって頂くと、妊娠の確立を高める事が出来ます。
例えば月経周期が28日周期の場合では、排卵が終わって体温が上がる高温期の期間は通常14日間と言われますので、月経が始まった日を1日目として、月経の14日目頃が排卵の時期となってきます。そのため、月経の10日目頃から基礎体温が上がりきるまでの間に、タイミングをとる回数を増やしてみましょう。大切なことは、ご夫婦のとりやすいタイミングで性交渉の回数を増やすことです。排卵時期だけ、子作りだけが目的の性生活にならないように注意しましょう。それが、男性のプレッシャーになり性生活をもつ事が出来なくなってしまったり、夫婦関係がギクシャクする原因になってしまう場合もあります。
女性は、35歳を過ぎる頃より妊娠率や出産率が低下してきます。
生理周期が安定しており、基礎体温の低温期・高温期が分かり易ければ体温をみながら性生活をとる事が出来ますが、低温期・高温期が分かりにくい、月経周期が長いなどでなかなか排卵日を予測する事が難しい場合や、半年から1年くらいタイミングをとっていても妊娠の兆候がみられない場合には、可能な限り早めに医療機関(専門病院など)の受診を検討し、相談してみましょう。(不妊カウンセラーU)
こんにちは、不妊専門相談医のEです。令和直前のとっておき最新情報をお知らせします。不妊・不育に関しての医療は日進月歩です。ただ、ネット情報などは、正しくないものがかなりありますので、要注意です。札幌市の専門相談は、担当医が情報を整理してお伝えするようにしていますので、お任せください。
今回お知らせするのは、学会で話題になっているものです。最近特に注目されているのは、「着床不全」と「不育症」に共通する項目です。着床しないのは不育症(流産を繰り返す状態)の極端な状態という考えがあります。問題が見つかるのは➀染色体(遺伝子のかたまり)の異常2.慢性内膜炎(症状のない、子宮内膜の炎症)3.免疫の問題(NK活性やTh1/Th2)4.着床ウインドウのずれ5.薄い子宮内膜の問題などです。
簡単に解説しますと➀体外受精などでは少なくとも受精卵の7割は染色体異常とされていますので、今年日本でも開始される予定の着床前スクリーニングの効果が期待されています。2.ご本人が気が付かない慢性子宮内膜炎は子宮鏡、CD138の免疫染色、子宮内フローラ検査で診断し、抗生物質で治療します。3.母児免疫の異常は以前から注目されていますが、話題の治療の他に、最近はビタミンDによる治療が注目されています。4.子宮内膜に発現する遺伝子を検査し、胚移植する日と調整するものです。5.これまで薄い内膜に対する治療は、有効なものはほとんどありませんでしたが、血小板を利用した新しい治療法は、従来とは比較にならないほど有効である可能性が期待されています。
これらは、まだ確定したものではありませんし、保険対象外ですが、産婦人科医の中では注目されています。札幌市の専門相談に来られた方で、ご興味のある方には詳しく解説します。もちろん、不妊・不育に関する基本的な事を解説することは勿論ですので、お気軽にお出で下さい。(不妊専門相談医E)
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