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掲載誌:Palaeontologia Electronica(パレオントロジア・エレクトロニカ:古生物学電子誌の意)
論文タイトル:札幌から見つかった後期中新世の新たな巨大で原始的なセミクジラの新種について
英文タイトル:A new member of a large and archaic balaenid from the late Miocene of Sapporo, Hokkaido, Japan partly fills a gap of right whale evolution
2008年10月、北海道札幌市南区を流れる豊平川の河原で、クジラ化石が市民によって発見されました。発見をきっかけに、10年以上の年月をかけ、多くの市民や研究者が協力して発掘、クリーニング、研究を進めてきました。(写真レポート:豊平川上流にてクジラ化石発掘調査・南区小金湯産クジラ化石の調査研究)
札幌市博物館活動センターと群馬県立自然史博物館などの共同研究により、この化石は「メガベリーナ・サッポロエンシス」と名付けられ、その研究成果が国際的な科学雑誌に掲載されました。
これは、北海道の自然史における大きな発見です。
メガベリーナ・サッポロエンシスは、これまで化石が見つかっていなかったセミクジラ類の進化史の空白(約1600万年前から600万年前)を埋める、貴重な化石です。この化石の研究によって、初期のセミクジラ類が、現代のセミクジラ類と同様に大型化し始めていたことや、首の骨の癒合(ゆごう)が始まった段階にあることが明らかになりました。セミクジラの進化の過程を解き明かす重要な手がかりとなります。
この化石はほぼ全身の骨が残っているため、過去のセミクジラの姿を詳しく知ることができました。推定全長は12.7メートルと初期のセミクジラ類と比較して大型です。
また、現代のセミクジラ類が太い体つきで腕も短い一方、メガベリーナ・サッポロエンシスは細身で腕も細長かったことが判明しました。この違いから、セミクジラ類が進化の過程で泳ぎ方を変えてきた可能性が示唆されます。
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掲載誌: Palaeontologia Electronica(英文学術誌)
論文タイトル:A new member of a large and archaic balaenid from the late Miocene of Sapporo, Hokkaido, Japan partly fills a gap of right whale evolution(札幌から見つかった後期中新世の新たな巨大で原始的なセミクジラの新種について)(サイト閲覧無料、英文)
著者:田中嘉寛(札幌市博物館活動センター)・木村敏之(群馬県立自然史博物館)・新村龍也(足寄動物化石博物館)・大平寛人(島根大学)・古沢仁(札幌市博物館活動センター)
5つの動画でわかる!札幌の小金湯産クジラ化石
小金湯産クジラ化石についてだけでなく、
そもそもクジラってどんな生き物なの?というところから気楽に学べる動画(5本シリーズ)です。
メガベリーナ・サッポロエンシス札幌市でみつかった新種のクジラ化石
新たに名前が付いた、メガベリーナ・サッポロエンシスについて紹介している動画です。
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