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更新日:2023年1月26日

南区小金湯産クジラ化石の調査研究

小金湯産クジラ化石クリーニングの様子

小金湯産クジラ化石のクリーニング作業はほぼ終了し、現在古沢学芸員による研究が進められています。
クリーニング作業は、札幌自然史研究会会員や、市民ボランティアの皆さんにご協力をいただきました。

小金湯産クジラ化石クリーニング作業札幌自然史研究会小金湯産クジラ化石クリーニング作業兵庫で鍛えたTさん小金湯産クジラ化石の骨の部位を確認中

クリーニングの様子(平成26(2014)年12月撮影)

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発見と発掘の経緯

10月21日、森和久さん(札幌市内在住)から豊平川で化石を発見したとの連絡を受けました。その翌日、森さんが自力で掘り出した化石数点を博物館活動センターに持ってきてくださり、古沢学芸員が同定したところ、クジラ化石であることがわかりました。
発見の日(10月19日)、森さんは紅葉の写真撮影のために小金湯温泉裏付近を歩いていて化石を発見したそうです。森さんは医師であり、川原に横たわる岩塊を一目見ただけで「動物の骨だ!」とわかったのも、今回の大発見につながったポイントでした。
そして、11月15日に小金湯温泉「まつの湯」はじめ関係者のご協力のもと、総勢約20名で発掘作業を行いました。森さんの息子さん二人も参加しました。(森さんご本人はお仕事の都合で参加できず、残念がっていたそうです。)
森さんが発見したクジラ化石の、さらに約4m上流でも同一個体のものと思われるクジラ化石が確認されたため、メンバーは多くの化石が残っていたことに歓喜しつつも、手を休めることなく二手に分かれて掘り進めました。
この日の発掘で確認できた部位は椎骨(ついこつ)6点と肋骨(ろっこつ)5点および肩甲骨と思われる一部の計12点となりました。
化石の特徴は、椎体の断面がほぼ円形で、椎体の高さに比べ前後方向に長い円筒状であること、肋骨断面に海綿質組織が多く見られることなどから総合的に判断してクジラ目のものと同定されました。
今後、化石をクリーニングした後、もっと詳しく調べなければわかりませんが、肋骨頭の形や大きさなどから、クジラ目の中でも大型のグループであるヒゲクジラ亜目に分類される可能性が高いと考えています。
標本は札幌市博物館活動センターに収蔵され、随時研究が進められます。

発掘に際して河川の立ち入り・敷地内通行を許可してくださった皆様に感謝いたします。

また、現地での発掘にご協力いただいた方々、差し入れをしてくださった方、ありがとうございました。

標本情報

発見者:森和久さん

発見年月日:平成20年(2008年)10月19日

発見地点:札幌市南区小金湯温泉地区の豊平川河床
※平成14(2002)年に発見されたサッポロカイギュウ発見地点よりおよそ400m上流。

産出層:砥山層上部

年代:後期中新世(およそ820万年前~1100万年前)

小金湯産クジラ化石(第1標本)の産状

小金湯産クジラ化石(第1標本)の産状

このページについてのお問い合わせ

 札幌市博物館活動センター

〒062-0935 札幌市豊平区平岸5条15丁目1-6

電話番号:011-374-5002

ファクス番号:011-374-5014