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認知症の方がひとり歩きされ、行方不明になる。それは決して他人ごとではなく、ある日突然、誰にでも起こり得ることです。
行方不明は、たとえ「初めて」のことであっても、重大な事故につながりかねません。寒冷地の札幌では特に、発見が遅れることで、命の危険につながることが少なくありません。
「迷っても大丈夫。誰かが見てくれている。」そう思える街であるために、日頃からの「備え」と、いざという時の「つながり」を大切にしましょう。
認知症による行方不明は、ある日突然、症状が軽い方を含め、誰にでも起こり得る出来事です。
実際にご家族の行方不明を経験されたお二人から、市民の皆さまへの切実なメッセージをいただきました。

令和6年7月15日の昼前、居間のソファーでうつうつと眠っていたはずの妻が、私が隣の部屋でパソコンを操作していたわずか10分ほどの間に、何も言わず、何も持たずに家を出てしまいました。妻は軽度のアルツハイマー型認知症と診断されていましたが、以前から足腰が丈夫で、私が不在の隙に散歩に出ることはあっても、一緒にいる時に一人で出ることは一度もありませんでした。
妻が行方不明となってから、1年10ヶ月が経ちます。今でも「なぜあの時、気づけなかったのか」と無意識に自問してしまうことがあります。現在どこにいるのかと思うとかわいそうでならず、私自身がまもなく80歳を迎える今、この先どこまで探し続けてやれるのかという不安が、ふとした瞬間に心をよぎります。
私の経験から、同じ境遇になる方を一人でも減らすために最もお伝えしたいのは、「初動の決断」の大切さです。私は、自分一人で探すことに時間をかけすぎてしまいました。また、妻が認知症であることを周囲に伏せていたため、近所や町内会にすぐに助けを求めることもできませんでした。
もし、身近な方がいなくなった時は、以下のことを躊躇しないでください。
「15分程度の捜索」で見つからなければすぐに110番する、家の周りや心当たりのある場所を10〜20分探して見つからない時は、すぐに警察や家族に連絡してください※。
「認知症」を隠さず、地域に協力を仰ぐなど早めに周囲へ事情を話し、多くの「目」で探してもらうことが、早期発見に重要です。
行方不明が発生すると、捜索の心労だけでなく、生活を維持するための事務的な困難にも直面します。私は、年金の受給停止や介護保険料の支払い、銀行口座の取り扱いなど、本人が不在であることの重い現実に突きつけられました。
こうした事態を防ぎ、万一の際に守り抜くために、今日からできる「備え」を確認していただきたいです。
専門病院で早めに検査し、認知症の程度により、日常生活での注意すべき点などのアドバイスを受ける
GPS端末などを「靴」などに装着する工夫
札幌市認知症徘徊高齢者SOSネットワークシステムの理解と、相談窓口の把握
私はこの困難に直面するまで、札幌市公式ホームページの「認知症ナビ」や相談窓口の存在を知りませんでした。一人で闇雲に探し回る中で、人との繋がりによって初めて、多くの支援機関に助けられました。
札幌市には、もっと市民にこれらの仕組みを広く周知してほしいと願っています。札幌が、認知症の方とその家族を街全体で温かく見守り、困った時にすぐ手が差し伸べられるような優しい街になることを、心から願っています。
※あくまでも目安であり一刻も早い警察への通報が、命を救う最大のカギです。ご家族等で警察への連絡のタイミングを日頃から考えてみましょう。
札幌市の皆さま、こんにちは。
NPO法人いしだたみ・認知症行方不明者家族等の支え合いの会 代表理事の江東と申します。
認知症による行方不明は、札幌市においても決して他人事ではない大きな課題です。行方不明事案は「初めて」であっても命の危険に直結し、特に寒冷地の札幌では、早期発見が命を救う最大の鍵となります。
私自身、長崎市で暮らす父が2023年4月に散歩に出たまま行方不明となり、今もなお帰りを待ち続けている当事者の一人です。捜索が長期化する中で直面したのは、「どこに助けを求めればよいか分からない」という絶望感と、深い孤独でした。
こうした過酷な状況に置かれたご家族を支えたいという想いから、私たちは2024年8月に当法人を設立いたしました。
家族だけで抱え込まないことが、何よりも重要です。私たちは同じ境遇にある家族が孤独に陥らないよう、以下の支援を行っています。
家族の集い(オンライン):胸の内を語り合い、孤独を分かち合える場を定期的に開催しています。
捜索活動へのアドバイス:実体験に基づいた具体的な捜索方法の相談に応じます。
社会への働きかけ:行政や警察と連携した支援体制の構築や、啓発活動に注力しています。
行方不明になっても「必ず見つかる街」にするためには、皆さまの温かな「つながり」が不可欠です。
当会の存在を伝えてください(情報の橋渡し): 皆さまの身近に、行方不明のご家族を待ち続け、一人で不安や葛藤を抱え込んでいる方がいらっしゃいましたら、ぜひ当会の存在を伝えてあげてください。
さりげない見守りと声かけを: 「少し様子が違うな」と感じる高齢者を見かけたら、「驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない」の3つの「ない」を意識して、優しく声をかけてみてください。
「事前の備え」を今日から: 早期発見のためには、靴(中敷き)への記名やヘルプマークの活用など、日頃からの準備が重要です。私自身の経験からも、この「備え」の有無が大きな差になると痛感しています。
札幌という大きな街だからこそ、隣人を思いやる温かな繋がりは何よりも大きな力になります。私たちはこれからも、ご家族の葛藤に光を当て、その「想い」に寄り添って歩んでまいります。
一刻も早い通報が、命を救う最大のカギです。「もう少し探してから」と思わず、すぐに警察へ連絡してください。
また、捜索中にご家族等が自宅に帰ってくることもありますので、家を空けないことも重要です。
ひとり歩きは防げなくても、「早く見つける準備」は今日から始められます。

認知症を正しく理解し、地域で見守る「認知症サポーター」を養成。基礎知識や適切な接し方を学ぶ講座を定期的に開催しています。

日々の不安や、ひとり歩きへの対策について、以下の窓口で相談を受け付けています。
介護経験者や専門職が、電話で悩みや不安を伺います。
また、ご相談の内容によって医療や福祉、介護などの機関を紹介します。お気軽にご相談ください。

高齢者の方々が住み慣れた地域でいつまでも暮らせるように必要なサービスを調整したり、様々な方面から支援を行うなど、高齢者の総合相談窓口、支援機関として「地域包括支援センター」を市内27か所に設置しています。
※業務時間は、各センターで前後する場合があります。詳細は各センターまでお問い合わせください。

チラシ表(PDF:4,240KB)チラシ裏面(PDF:290KB)
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