令和5年度下水道事業会計予算

予算編成方針

我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症（以下、「感染症」という。）の影響により、強い下押し圧力を受けていましたが、医療提供体制の強化やワクチン接種の加速を図ることで、経済社会活動は回復（再開）の動きを続けてきたところです。内閣府が令和4年7月26日に公表した「月例経済報告（令和4年7月）」においても、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されるとし、景気が回復基調にあると分析しています。

しかしながら、本年2月に勃発したロシアによるウクライナへの軍事侵攻（以下、「ウクライナ問題」という。）により、原油、原材料、穀物等の国際価格の高騰やそれに伴う物価の上昇などが発生しており、復調を見せていた経済活動に影を落とし始めています。こうした中、国においては、令和4年6月7日に「経済財政運営と改革の基本方針2022」を閣議決定し、民需主導の自律的な成長とデフレからの脱却に向けて、機動的なマクロ経済運営を行っていくことを決定しましたが、ウクライナ問題が長期化することで、原油価格・物価が更に高騰する可能性もあり、予断を許さない状況が続いております。

このような背景の下、本市の財政状況につきましては、収入面では、企業業績が堅調であることや個人所得の増加などによる市税等の増収を見込んでおりますが、支出面では、長期化する感染症への対応や社会経済活動の支援といった喫緊の課題に加え、社会保障関係費の増加や老朽化した公共施設等の更新需要への対応が必要となるなど、引き続き、厳しい財政運営が求められているところであります。

こうした状況は、本市下水道事業も例外ではなく、収入の根幹である下水道使用料は、感染症の影響を受け令和2年度決算（197億円）で大きく減収し、令和3年度決算（201億円）でやや持ち直したものの、令和4年第一四半期では前年同時期をやや上回る程度に留まっており、感染症流行前の水準（209億円前後）への回復は未だ見通せない状況です。一方、支出の多くを占める維持管理費と建設事業費は下水道施設の老朽化等に伴い増加傾向であることに加え、令和4年度は原油価格等の高騰により、動力費等について当初予算内での執行が困難な見込みとなっていることなどから、令和5年度予算においても引き続き最大限のコスト削減努力が必要となります。

このように、厳しさを増す経営環境の中で、「札幌市下水道事業中期経営プラン2025」に掲げる、市民の安全で快適なくらしと良好な環境を守る必要不可欠な事業を着実に進めていくためには、各課において、予算要求や予算執行の裏付けとなる実施計画等（各個別計画に基づく改築計画、修繕計画、備品等購入計画など）における事業の優先度を改めて精査し、市民ニーズ・緊急性・費用対効果等に応じた事業の見直し（取り止め、先送り、組み換えなどの調整）をゼロベースで進めることにより、計画的な予算執行を行う必要があります。

以上により、令和5年度予算の要求については、令和4年度の計画的な予算執行に取り組んだ上で、より一層の収入の確保と支出の見直しを徹底したものとなるようお願いいたします。具体的には、従来よりも効率的・効果的な予算編成とするため、維持管理費に今回から新たに「予算枠」を設けることとしています。

つきましては、職員一人一人が本市下水道事業会計の厳しい財政状況を認識し、これまでの経緯や手法のみにとらわれない創意工夫による積極的な見直しを行った上で、予算要求を行ってください。