令和4年度下水道事業会計予算・決算

予算編成方針

我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、対面型サービス業を中心に依然として厳しい状態が続いておりますが、製造業の企業収益の改善等、持ち直しの動きもみられているところです。こうした中、国においては、令和3年6月18日に「経済財政運営と改革の基本方針2021」を閣議決定し、感染拡大防止に全力を尽くすとともに、機動的なマクロ経済運営によって雇用や国民生活を支えながら、医療提供体制の強化やワクチン接種を促進し、経済活動と感染拡大防止の両立を図ることを目指しています。

一方で、日本銀行は、令和3年7月16日に「経済・物価情勢の展望」を公表し、新型コロナウイルス感染症は、ワクチンの普及等によって収束していくと想定されているものの、変異株を含む感染症の状況によっては、経済活動への下押し圧力が強まる危険性があることを指摘しており、経済状況・感染状況については、依然として予断を許さない状態が続いているとしております。

このような背景の下、本市の財政状況につきましては、長引く時短営業・外出自粛要請等により、企業業績や個人の収入に影響を受ける市税収入の大幅な増加が見込めない中で、人口構造の変化に伴う社会保障関係費の増加、老朽化した公共施設の更新需要、気候変動対策（温暖化対策）等にも対応しなければならず、極めて難しい財政運営が求められています。

こうした状況は、本市下水道事業にも例外ではなく、収入の根幹である下水道使用料は、節水機器の普及等により、これまで減収傾向にありましたが、令和2年度決算では、新型コロナウイルス感染症の影響により、一層の減収となったところであります。今後は、この減収傾向が継続することに加えて、人口が減少に転じる見通しであることから増収は見込めない一方で、下水道施設の老朽化に伴い、支出の多くを占める維持管理費と建設事業費は増加する見通しであり、本市の下水道事業は、極めて厳しい状況に直面しております。

このような厳しい状況においても、「札幌市下水道ビジョン2030」で掲げる「安全で快適なくらしと良好な環境を守る」、「健全な経営を持続する」、「幅広い世代への理解を促進する」の3つの基本目標の達成に向けた取組（札幌市下水道事業中期経営プラン2025で掲げる取組をいう。）を着実に推進させる必要があります。

このような状況を踏まえ、令和4年度予算については、「収入の確保・支出の徹底した見直し」、「必要な事業の再検討」の2点を基本的な方針として編成するものとします。職員一人一人が本市下水道事業会計の厳しい財政状況を認識し、これまでの経緯や手法にとらわれない積極的な見直しを行った上で、予算要求を行ってください。