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人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、活力ある日本社会を維持していくために、基本理念や国等の責務等を定めた「まち・ひと・しごと創生法」を制定され、2060年に1億人程度の人口を確保する長期展望を示す長期ビジョンと、平成27~31年度(2015~2019年度の5か年)の政策目標や施策をまとめた総合戦略を策定されました。
札幌市は、ここ数年のうちに人口減少が始まると見込まれており、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」(平成25~34年度)に示した「人口減少の緩和」の方向性を具現化するため、国の動向も踏まえて、札幌市の人口の将来展望や、今後5か年の基本目標、施策等を示す新たな計画を策定することとしました。
札幌市における人口の現状を分析するとともに、人口の将来展望と今後目指すべき将来の方向を提示します。
人口ビジョン編を踏まえ、基本目標とその達成度を計る数値目標を設定するとともに、施策、重要業績評価指標(KPI)のほか、「さっぽろ」の未来をつくる重要な5つのテーマに特に関連性のある施策群を「未来創生アクション」として提示します。
札幌市は戦後一貫して人口が増加し、その規模は縮小していますが、現在も年間5千人程度の増加が続いています。
自然動態(出生-死亡)では、平成21年に自然減となってから、減少規模の拡大が続いています。また、社会動態(転入-転出)では、転入超過が続いていますが、その規模は社会経済情勢の影響を受けています。
これらの人口動態の傾向をとらえ、国の推計方法に準じて、札幌市の将来人口を推計すると平成22年の191万人から、平成72年には143万人と50年間で48万人の減少が見込まれます。
札幌市の平成25年の合計特殊出生率は1.14で、これは都道府県で最も低い東京都(1.13)と同水準となっており、全国的にみても低位にあり、課題となっています。
合計特殊出生率が低い原因は、1.高い未婚率、2.夫婦間の出産数の少なさによるものと考えられます。
札幌市の人口移動は道内からは転入超過である一方、道外へは転出超過となっている点が特徴。特に、年代別では20歳代若年層は、他の年代よりも道外に対する転出超過規模が突出して大きく、札幌市の課題となっています。
道外への移動理由別20歳代の転出超過数は男性では就職による転出超過が目立っています。また、女性では結婚・離婚による転出超過が比較的多く、次いで転職や求職など、職業に関連した理由となっています。
札幌市においては合計特殊出生率1.14に対し、希望出生率が1.5(※)となっており、市民の希望をかなえることで、合計特殊出生率を上昇させることは可能であると考えられます。
(※若い世代の結婚や出産の希望が実現した場合の出生率を表し、札幌市が今年3~4月に行った独自アンケートにより算出。)
札幌市の20歳代では就職などを契機とした首都圏への転出超過が顕著であり、若年層を中心とする人口流出の抑制と道外からの人口流入の促進が必要となります。
仮に、札幌市の合計特殊出生率が2030年に1.5程度、2040年に1.8程度、2050年に2.07程度まで上昇すると、2060年の人口は169万人となり、その後は150万人台で推移するものと推計されます。
また、合計特殊出生率が1.5、1.8や2.07となる年次が10年ずつ遅くなると、2060年で8万人程度、2100年で14万人程度少なくなると推計されます。
<基本目標1>
好循環の実現に必要不可欠な「安定した雇用を生み出す」
<基本目標2>
好循環を促進する「結婚・出産・子育てを支える環境づくり」
<共通して実現を目指す「数値目標」>
指標 | 現状値 | 目標値 | |
---|---|---|---|
(1)合計特殊出生率 |
1.14 (平成25年) |
1.36 (平成31年) |
平成42年(2030年)までに市民の希望出生率である「1.5」を目指す |
(2)20~29歳の道外への転出超過数 |
2,637人 (平成26年) |
1,300人 (平成31年) |
10年後(平成36年(2024年))に転出超過数「0人」を目指す |
札幌市の合計特殊出生率は、全国の中でも低水準にありますが、これは雇用形態や収入など経済面での不安が大きな障害となり、未婚率が高く、夫婦間の出産数が少なくなっていることが要因と考えられます。
社会動態では、男女とも20~29歳の年齢層が首都圏に対して大幅に転出超過となっており、特に男性の多くは「就職」を理由としていますが、市内大学生の地元就職志向は強く、希望がかなえられていないことがうかがえます。
そこで、雇用情勢を見ると、景気回復により確実に改善しているものの、有効求人倍率は依然として職種によってばらつきがあり、求人企業と求職者のニーズが一致していない雇用のミスマッチが続いています。
雇用形態では、正規雇用の割合が他の産業に比べて低い「宿泊業・飲食サービス業」や「卸売業・小売業」が、札幌市産業の中でも従業者数が多くなっています。
「安定した雇用を生み出す」ためには、雇用形態や賃金、やりがいなど「雇用の質」と、希望する職種・地域で働くことができる「雇用の量」を確保・拡大できるよう、多様で活発な経済活動を通じて、都市の活力を向上させ、社会経済情勢の変化に対応できる足腰の強い経済基盤を確立することが不可欠です。
札幌市経済の活性化に当たり、競争力のある魅力的な地場産業を育成するため、札幌市の成長をけん引する分野である「観光」「食」「環境」「健康・福祉」を重点的に振興していくことが必要です。
また、経済基盤の確立に向けては、地域の潜在的な可能性を引き出すため、業種にかかわらず、意欲的・創造的な個人や企業がより活動しやすい環境を整えることが重要です。
さらに、地域で働きたいと考える若者をはじめ、「適材」が「適所」で安心して働き続けることができるよう、地域内外から企業を支える「源」である人材を確保・育成することが重要です。
1.国内外の需要を積極的に取り込む観光・MICEの振興
●Wi-Fi環境の充実など外国人観光客の受入体制整備、MICE誘致強化に向けた推進体制や開催支援など
2.食の魅力を生かした産業の高度化
●6次産業の活性化、商品の安全性・製造品質の向上など
3.エネルギー転換に対応した環境産業の創出・振興
●技術開発支援などによる環境産業の競争力強化など
4.需要が高まる健康・福祉産業の育成
●健康・医療・バイオ関連企業や研究機関の誘致促進など
<主なKPI(重要成果指標)>
指標 | 現状値 | 目標値 |
---|---|---|
札幌市内での総観光消費額 |
4,293億円 (平成26年度) |
4,414億円 (平成31年度) |
食料品製造業の製造品出荷額 |
2,150億円 (平成25年度) |
2,314億円 (平成31年度) |
1.札幌市経済を支える企業の基盤強化
●資金面での中小企業の下支え、中小企業の活性化など
2.競争力を高める付加価値の創出
●ITを活用した他産業の付加価値創出など
3.新たな企業の誘致・創出
●積極的な企業誘致の展開、創業しやすい環境づくり
4.国内外への販路拡大の推進
●食関連企業の海外展開の推進、道内連携による販路拡大など
5.交通ネットワークの充実と道都・札幌の都心の魅力づくり
●新幹線や道路網の整備推進、民間活力を導入した都心整備など
<主なKPI(重要成果指標)>
指標 | 現状値 | 目標値 |
---|---|---|
札幌を含めた広域経済圏の輸出額 |
3,072億円 (平成26年度) |
3,143億円 (平成31年度) |
1.産業を支える人づくり
●各分野の担い手育成、グローバル人材の育成など
2.人材の還流を創出
●首都圏大学からの人材の還流創出など
3.安心して働ける環境づくり
●正社員就職の促進、地元企業への就業機会の創出など
<主なKPI(重要成果指標)>
指標 | 現状値 | 目標値 |
---|---|---|
20~29歳の首都圏からの転入者数 |
3,427人 (平成26年度) |
4,000人 (平成31年度) |
市内新規学卒者の道内就職割合 |
60.5% (平成26年度) |
65.0% (平成31年度) |
札幌市は未婚率が高く、かつ夫婦間の出生数が少ない状態にあります。札幌市が実施したアンケート調査結果によると、現在独身でいる理由としては、「適当な相手にまだめぐり会わない」ことが男性も女性も高い割合で挙げられているとともに、市民が子育てに対して経済的、体力的、精神的な負担を感じていることもうかがえます。
また、子どもの成長については、核家族化の進行、地域のつながりの希薄化などによる家庭や地域における教育力の低下が指摘されていることから、子どもが健やかに育つ環境づくりが求められています。
さらに、男性も女性も労働が長時間にわたり、仕事と育児の両立が難しくなっていることから、やむを得ず、仕事を辞めた女性も少なくありません。こうした仕事と生活の調和のとれない状況も少子化の原因の一つになっていると考えられます。
市民の結婚、出産、子育てに係る不安・負担を軽減し、希望をかなえるためには、女性を始め個人の自己決定権を尊重しつつ、個々人の状況に応じて適切な支援を切れ目なく行うことが重要です。
子どもが健やかに成長していくためには、子どもの権利を尊重しながら、学習支援に加え、様々な体験活動を量的にも、質的にも充実させることが必要です。
仕事と生活が調和した子育てしやすい環境を整えるためには、誰もが結婚、出産、子ども・子育てを大切にするという意識を共有し、子育て家庭等を社会全体で支援することが必要です。
1.結婚の希望をかなえる支援
●結婚に関する情報提供の充実、男女の出会いの場の創出など
2.妊娠期から子育て期までの支援
●産前・産後ケアの充実、産婦人科の救急医療相談体制の拡充など
3.子育て支援の充実
●多様な保育サービスの提供、子育て世帯の経済的負担の軽減など
<主なKPI(重要成果指標)>
指標 | 現状値 | 目標値 |
---|---|---|
子どもを生み育てやすい環境だと思う市民の割合 |
59.8% (平成26年度) |
75.0% (平成31年度) |
1.子どもの学習支援の充実
●多様な学びの機会の充実、小中一貫教育の検討など
2.子どものスポーツ・文化に親しむ機会の充実
●中学校運動部活動の振興、ウインタースポーツの振興など
3.子どもが安心して過ごせる学校・施設の環境づくり
●児童の放課後の居場所づくりなど
<主なKPI(重要成果指標)>
指標 | 現状値 | 目標値 |
---|---|---|
子どもが、自然、社会、文化などの体験をしやすい環境であると思う人の割合 |
60.8% (平成26年度) |
65.0% (平成31年度) |
1.子育てしながら働ける環境の整備
●ワーク・ライフ・バランスの推進、女性の活躍の推進など
2.地域で子育てを支える環境の整備
●身近な地域での子育て支援機能の強化など
3.配慮を要する子どもへの支援
●児童虐待などの困難を抱える子どもの支援など
<主なKPI(重要成果指標)>
指標 | 現状値 | 目標値 |
---|---|---|
仕事と生活の調和がとれていると思う割合 |
47.3% (平成26年度) |
65.0% (平成31年度) |
将来を担う若者や子どもたちが、明るい未来を描くことができる「さっぽろ」の実現に向けて、基本目標に位置づけた個々の施策を着実に推進することはもとより、これまで以上に分野横断的な視点で関連する施策を意識し、効果的に取り組む必要があります。
そこで、「さっぽろ」の未来をつくる重要な5つのテーマを設定し、特に関連性のある施策を「未来創生アクション」として取りまとめました。
この「未来創生アクション」を推進することで、「さっぽろ」の魅力を一層高めていきます。
<新たな活力を生み出すフィールドの醸成に向けて>
「さっぽろ」の魅力を生かし、活力あるまちづくりを進めるため、暮らしやすい環境づくりに加え、積極的な企業誘致の展開や人材還流の促進に取り組み、さらなる活性化につなげていきます。
今後、企業や人材はもとより、コンテストや実証実験といったプロジェクトなど、様々な分野の活性化につながる資源を国内外から呼び込むためにも、「さっぽろ」が、チャレンジを創出するフィールドとなり、多様な主体が活躍できる都市として、広く認知されることを目指します。
このことにより、これまで育んできた、「市民に愛され、国内外の人が憧れる」都市ブランドをより確かなものとし、市民・企業・行政などの参加・協力の下、企業や人材、プロジェクトを惹きつける「さっぽろ」を築いていきます。
海外市場を獲得するため、北海道・札幌の強みである「食」に関連する産業を高度化し、海外展開を一層強化していきます。また、「観光」はもとより、「グローバルMICE強化都市」に認定されたポテンシャルの高さを生かし、海外からの誘客を促進するとともに、受入環境の整備やおもてなし人材の育成を行い、再訪にもつながるよう観光客の満足度を高めます。
これらを、都市ブランドなどの戦略的な情報発信と一体的に行い、世界に躍進する「さっぽろ」をつくります。
国内外の多くの人が行き交い、市民が誇りを持てるまちづくりを進めるため、大型イベントや集客交流拠点を始め、冬季オリンピック・パラリンピックの招致を見据えた「スポーツ」や、豊かな「文化芸術」あふれる環境など、「さっぽろ」ならではの魅力資源を積極的に活用します。
これらと合わせ、札幌の顔にふさわしい都心を形成することで、世界から注目を集める「さっぽろ」をつくります。
若者の雇用の選択肢を広げ、希望する地域でやりがいのある職業に就くことができる環境を整えるため、札幌市産業をけん引する産業や、理系人材を受け入れる産業を振興するとともに、正社員就職の推進や地元就業の機会創出に取り組
み、雇用の質の確保や量の拡大を図ります。
また、北海道と連携した情報発信など、結婚の希望をかなえる支援を行うことで、若者の希望をかなえる「さっぽろ」をつくります。
より安心して子育てできるよう、子育て世帯の経済的負担の軽減、子育て支援施設の整備、多様な保育サービスの提供など様々な支援を充実していきます。
また、ワーク・ライフ・バランスの推進を始めとして、子育てしながら働ける環境づくりを進めるとともに、地域での支援を充実させ、子育てを支える社会を形成することで、子育ての希望をかなえる「さっぽろ」をつくります。
成長過程に応じて、様々な学習・体験機会を設けることにより、広い視野で活躍し地域に貢献する人材が育つ「さっぽろ」をつくります。
とりわけ、生涯にわたる人格形成の基礎が培われる幼児期と、知・徳・体の調和のとれた「生きる力」の基礎・基本が育まれる小中学生の時期は、その後の学習や職業・社会生活の基盤が形成される重要な時期です。そのため、教育分野で特に人材育成の基礎となる取組について、この計画の方向性を踏まえた詳細なプランを別途策定し、着実に推進していきます。
札幌市では、市長を本部長、副市長を副本部長とし、局長級を本部員とする「札幌市人口減少対策推進本部」を設置し、組織横断的に推進していきます。
この計画においては、計画期間である5年間で目指すべき数値として「数値目標」及び「KPI」を設定し、進捗管理を行うとともに、外部有識者などの意見も取り入れつつ、施策の効果を検証し、必要に応じて取組内容の変更や追加を行います。
人口減少対策は、札幌市のみならず、北海道全体に共通する課題であるため、北海道や道内市町村と問題認識を共有し、連携して取り組んでいきます。
また、札幌市における合計特殊出生率の向上や道外への転出超過の抑制について、人口減少問題対策協議会を通じて、これまで以上に北海道と協力して対策を行います。
さらに、北海道全体の発展が、札幌市の発展にもつながるという考えの下、道内市町村と連携して、札幌の都市機能を活用した道内地域の活性化に取り組みます。
地方創生の実現に向けては、札幌市を始めとする地方公共団体の取組だけでなく、結婚や出産・子育てを後押しする経済的支援制度の創設、正規雇用につながる雇用施策を実施するための財源の確保など、国が総力を挙げて取り組むことが必要です。
そのため、地方創生が真に実効性を伴った取組となるよう、この計画に基づき、北海道や他の市町村との連携の下、国に対して積極的に提案等を行うこととします。
人口減少対策については、安定した雇用の創出や子育てを支える社会の形成など、行政だけの取組だけでなく、市民・企業と連携した取組が求められることから、社会が一丸となってオール札幌で取り組むことを目指します。
この計画に基づいた取組を着実に進めながら、人口の将来展望や目指すべき将来の方向について、広く市民や企業に、様々な機会を通じて分かりやすく伝えていきます。また、これからの札幌を担う子どもたちを始め、札幌市民が札幌の未来について考える機会をつくっていきます。
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