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更新日:2014年4月4日

看護部倫理指針

病院の理念

市立札幌病院は、全ての患者さんに対してその人格・信条を尊重し、つねに“やさしさ”をもって診療に専心する。

運営方針

  1. 患者さんの人格を尊重し、患者さんに信頼される医療を行います。
  2. 地域医療機関との連携を強化して、地域医療の充実・発展に貢献します。
  3. 急性期医療を担い、安全で質の高い医療を提供します。
  4. 自治体病院として他の医療機関では対応が困難な政策医療を提供します。
  5. 医療技術の向上を図り、優れた医療従事者を育成します。
  6. 全職員が連携し、信頼しあう、明るく誇りの持てる「チーム市立札幌病院」をつくります。
  7. 公営企業として健全な財政運営を図ります。

看護部理念

私たちは「科学する眼」と「確かな技術」で心の通う看護を提供します

看護部基本方針

  1. 自治体病院の使命を認識し、社会が求める医療・看護水準に応じた看護を提供します。また、地域医療(保健医療福祉)の質向上に貢献します。
  2. 安全で安心できる確かな技術で市民に信頼される看護の提供を目指します。
  3. 患者さんの「これまでの生活とその背景」を尊重し、“やさしさ”をもって心の通う看護に専心します。
  4. 専門職として科学的根拠に基づいた看護を実践するために、「人」として豊かな感性を育み、学び続ける自律した看護師の育成を目指します。
  5. 看護職員が、病院組織のあらゆるところで活動し、「看護の成果」を生み出す組織づくりを目指します。
  6. 健全経営化に向けた病院運営に参画します。

 

看護者は看護職の免許によって看護を実践する権限を与えられた者であり、その社会的な責務を果たすため、看護の実践にあたっては人々の生きる権利、尊厳を保つ権利、敬意のこもった看護を受ける権利、平等な看護を受ける権利などの人権を尊重することが求められる。(看護師の倫理綱領前文より抜粋)
市立札幌病院の看護職員は、社会的責務を果たすために人々の権利の擁護者(アドボケイト)として倫理的能力を高めていくことが求められる。そして、病院の理念と運営方針及び看護部の理念に掲げる使命を達成するために、遵守すべき行動の規範を看護部看護倫理指針として以下に定める。

  1. 私たちは、患者さんの人格、信条を尊重し、医療提供者との相互の協力関係のもとで、質の高い看護を平等に提供します。
  2. 私たちは、よりよい信頼関係を築き発展させるよう努め、心の通う看護を提供します。
  3. 信頼される医療を提供するために、十分な説明と情報を提供し、治療方法などを自らの意思で決定できるよう支援します。
  4. 医療の安全管理に最大の注意を払い事故防止に努めるとともに、事故発生時は、その事実を隠すことなく原因を究明し、再発防止に努めます。
  5. 医療情報を正確に記録・管理し、患者さんの権利とプライバシーを守り最適な医療を提供します。
  6. より良い医療を提供するために他の医療機関等と密接な連携のもと地域社会に貢献します。

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行動指針

  1. 私たちは、患者さんの人格・信条を尊重し、医療提供者との相互の協力関係のもとで質の高い看護を平等に提供します。
    1. 看護者の行動の基本は人間の生命を守ること、人としての尊厳の尊重です。患者さんのこれまでの生活とその背景を尊重し、その人らしく生涯を全うできるように支援します。
    2. 個人の習慣、態度、文化的背景、思想について尊重し、受け止める姿勢を以って対応します。
    3. 看護実践過程においては、患者さんの積極的な参加を促し、考えや意向が反映されるように支援します。
    4. 患者さんにとって最良な医療を提供するために、様々な職種と協働し、看護の専門性を活かして、患者さんとご家族を支援します。

  2. 私たちは、より良い信頼関係を築き発展させるよう努め、心の通う看護を提供します。
    1. 看護実践では理解と同意を得るために十分な説明を行い、実施結果に責任を持つことを通して信頼を得られるように努めます。
    2. 接遇の基本である「誠実」「親身」「迅速」な対応を実践します。
    3. 誠実さ、礼節、品性、清潔さ、謙虚さなどに支えられた行動により、個人としての品行を高く維持するように努めます。

  3. 信頼される医療を提供するために、十分な説明と情報を提供し、治療方法などを自らの意思で決定できるよう支援します。
    1. 患者さん自身の健康状態や治療などについて知る権利や、十分な情報を得たうえで医療や看護を選択する権利を擁護します。
    2. 十分な情報を得る機会や、決定する機会を保障するように努めます。
    3. 看護行為を行う際は十分な説明を行い、患者さんまたはご家族の同意のもとに行います。
    4. 患者さんまたはご家族と目標、看護計画を共有し、同意のもとに看護を提供します。
    5. 情報が理解できるようわかりやすく説明し意思表示しやすい場づくりを行い、意思決定ができるように支援します。
    6. 自己決定においては、その意思と選択を尊重します。

  4. 医療の安全管理に最大の注意を払い、事故防止に努めるとともに、事故発生時は、その事実を隠すことなく原因を究明し、再発防止に努めます。
    1. 全ての看護行為において患者さんの生命・安全を守ることを最優先に判断し、行動します。
    2. 安全管理のさらなる向上のために、病院内の安全環境を整備します。
    3. 医療事故発生時は、事実を隠すことなく誠意をもって対応します。
    4. 事故発生時は「市立札幌病院医療安全指針」を遵守し、原因の究明と再発防止に努めます。

  5. 医療情報を正確に記録、適正に管理し、患者さんの権利とプライバシーを守り最適な医療を提供します。
    1. 診療・看護の情報は嘘・偽り、遅怠なく正確に記録するとともに患者さんの個人情報を適正に管理します。(開示の請求の際は院内の規定「市立札幌病院における診療情報の提供等に関する要綱」に沿って応じます)
    2. 職務上知り得た患者さんの情報については、退職後までも守秘義務を遵守します。
    3. 患者さんの個人情報は「市立札幌病院プライバシーポリシー」を遵守し、確実に保護します。

  6. より良い医療を提供するために他の医療機関等と密接な連携のもと地域社会に貢献します。
    1. 患者さんが安心して治療を継続できるように、必要な医療機関と情報を共有し、連携を図りながら、社会復帰を支援します。

用語の定義

価値

個人的価値と専門的価値がある

  • 個人的価値
    個人にとって重要だと考えられる道徳的信念・態度・基準であり、その人の行動や選択の基盤を形作るもの
  • 専門的価値
    所属する専門職のグループによって導かれた道徳的信念・態度・基準

看護倫理

看護がヘルスケアの背景の中で直面するさまざまな道徳的問題に対して、看護師が行う判断の分析(看護師がどのように判断するか、判断したかを分析すること)

権利の擁護

  • 権利
    当然与えられるべき正当な要求や資格
  • 擁護
    患者の権利をたすけ、まもること。患者が主張できない時に、代弁すること

道徳

人間として守るべき行為の規範、ルールを身につけること。広い意味において道徳は倫理と同じであるが、倫理が社会や共同体の理法を表すのに対して、道徳はその理法を身につける主体的な態度をあらわす

倫理

何らかの価値判断を含む行為の規範

倫理原則

倫理原則は道徳的意思決定や道徳的行為を導き、専門職の実践の道徳的判断形成の中心となるもの。看護実践にとって重要な倫理原則は善行・無害・正義・自律・誠実・忠誠である。

善行の原則

他者にとって利益が得られるように支援すること、すなわち福利や尊厳を積極的に推進すること。善を行い、害を避けるということを意味する。しかし、医療においてその行為がどれだけ害(身体的心理的外傷)を回避し、善をなしえたか(安寧をもたらしたか)判断することは難しく、利益と害、双方のバランスを分析することが必要となる。

無害の原則

患者に害が加わること(患者に身体的あるいは心理的な外傷をもたらすことや道徳的権利を意図的に妨げること)のリスクを防いだり減らしたりする行動

正義の原則

社会における利益と負担の配分をいかに公平・平等に行うかということである。看護職は、患者へ適切で公平なヘルスケア資源(看護師の時間やエネルギーなど)の分配を行う必要がある

自律の原則

個人は自らの選択に基づいて、自分自身の行動を決定する自由を持つ。個人が自己決定し、選択できることを尊重する

誠実の原則

真実を告げる、嘘を言わない、他者をだまさない義務。真実を語るということであり、自律の原則とも関連している。個人の意思決定は、提供される情報に依存しているため、真実の情報が提供されなければならない

忠誠の原則

患者と看護師の間の信頼関係に対して誠実であること。すなわち守秘義務や約束を守ること

倫理的概念

主なものとして、アドボカシー・責務・協力・ケアリング

アドボカシー

自分自身で表現できない、または場を与えられない人の代わりに基本的人権を擁護すること。

責務

個人が引き受けているある役割に関連する責任、あるいは行ったことのためにその人が対応できること。公的な基準/規定に従って根拠や説明を提供することを含む。

協力

患者に質の高いケアを提供するために、他の人と積極的に物事に取り組み、看護ケアを設定する際に協働することであり、専門職として看護師同士が協同することを含む。共に働く人々の価値や目標を共有すること。

ケアリング

ヘルスケアの実践における道徳的技能である。ケアリングの4つのタイプとして、患者のためにそこにいる・患者を尊重する・患者とともに感ずる・患者と緊密になるがある。

倫理的行動の4つの要素1)

倫理的感受性・倫理的推論・態度表明・実現がある。

倫理的感受性

臨床倫理問題が生じていることに気づく力。

  • 「あれ、おかしいな」と感じたことをそのままにせず、周囲に伝えること

倫理的推論

それが倫理的に問題である理由を説明できる力

  • 「おかしい」と思った理由を事実に沿って説明すること
  • 自らの倫理的知識に基づき、どこが倫理的に問題であるかを指摘すること

態度表明

様々な障害を乗り越えて、倫理的に行動しようとする力

  • 誰のどのような権利を優先すべきか、どのような立場をとるべきか、を適切に判断し、解決の方向性を明確にすること

実現

倫理的行為を遂行することのできる力

  • その問題の解決に向けて何をしたらよいのか判断し、実際に行動すること

家族

患者と婚姻・姻戚関係をもつものだけでなく、患者が信頼を寄せる友人など、患者を支え回復を支援する立場にある者2)

【引用文献】

  1. 社団法人日本看護協会:臨床倫理委員会の設置とその活用に関する指針P33
  2. 社団法人日本看護協会:看護にかかわる主要な用語の解説-概念的定義・歴史的変遷・社会的文脈- 2007.3 P33

【参考文献】

1) サラT.フライ他著:看護実践の倫理【第2版】倫理的意思決定のためのガイド、日本看護協会出版会