化学物質の指針値

厚生労働省は、下表の13物質について室内濃度の指針値を示しています。指針値は、ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値です。指針値以下が望ましいとされています。指針値を一時的かつわずかに超えたとしても、直ちに健康への有害な影響を生ずるわけではありません。

化学物質	厚生労働省 室内濃度指針値	用途例（室内での発生源）
ホルムアルデヒド	100μg/m3(0.08ppm)	接着剤、防腐剤（フローリング、建具、家具、壁紙接着部）
トルエン	260μg/m3(0.07ppm)	塗料の溶剤、希釈剤（塗装部、化粧品）
キシレン	200μg/m3(0.05ppm)	塗料の溶剤、希釈剤（塗装部、ワックス）
パラジクロロベンゼン	240μg/m3(0.04ppm)	防虫剤、防臭剤（衣服の防虫剤、トイレの消臭剤）
エチルベンゼン	3800μg/m3(0.88ppm)	塗料、スチレンの原料（塗装部、壁紙接着部）
スチレン	220μg/m3(0.05ppm)	発泡スチロール、接着剤（断熱材、スチロール畳）
クロルピリホス	1μg/m3(0.07ppb) 但し小児の場合は 0.1μg/m3(0.007ppb)	防蟻剤、殺虫剤（シロアリ駆除処理をした建材）
フタル酸ジ-n-ブチル	17μg/m3(1.5ppb)	プラスチックの可塑剤、印刷インク（ビニールクロス、クッションフロア）
テトラデカン	330μg/m3(0.04ppm)	塗料の溶剤、希釈剤（塗装部）
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル	100μg/m3(6.3ppb)	プラスチックの可塑剤（ビニールクロス、クッションフロア）
ダイアジノン	0.29μg/m3(0.02ppb)	防蟻剤、殺虫剤（シロアリ駆除処理をした建材）
アセトアルデヒド	48μg/m3(0.03ppm)	接着剤、防腐剤（フローリング、建具、家具、壁紙接着部、喫煙）
フェノブカルブ	33μg/m3(3.8ppb)	防蟻剤、殺虫剤（シロアリ駆除処理をした建材）

• キシレン、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルの3物質は平成31年（2019年)1月17日に指針値が改定されました。
• 両単位の換算は、25℃の場合によります。
• μg（マイクログラム）：1g（グラム）の百万分の一、濃度1μg/m³（マイクログラム・パー・立方メートル）は、空気1m³あたり1μgの化学物質があることをいいます。
• ppm（パーツ・パー・ミリオン）：百万分の一、ppb（パーツ・パー・ビリオン）：十億分の一

主な化学物質の特徴

• ホルムアルデヒド
  強い刺激臭のある気体で、水に溶けやすく、水溶液は「ホルマリン」です。樹脂の原料として、また、合板・壁紙・家具の接着剤などに広く使われてきました。
• 揮発性有機化合物(VOC)
  常温で揮発しやすい有機化合物の総称です。数十から数百種類あると言われています。

ちょっと一言

• 総揮発性有機化合物（TVOC）
  TVOCとは、複数のVOC混合物の濃度レベルのことです。暫定目標値は400μg/m³（既存建築物）とされています。
  国の実態調査結果から、合理的に達成可能な限り低い範囲で決定した値で、個別のVOC指針値とは独立に扱われます。