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この手引きは、地方自治法地方自治法第242条に規定されている住民監査請求の制度について、理解を深めていただくための一助となるよう、札幌市監査事務局が作成したものです。
住民監査請求は、市長や市職員等の、違法・不当な財務会計上の行為又は怠る事実について、直接住民がその是正や防止、損害の補てんを求めて監査委員に監査を請求する制度です。
監査を通じて、市の財政面における適正な運営と住民全体の利益を守るためのもので、個人の権利や利益の救済を図るものではありません。
特に必要がある場合は、後記3に示すとおり監査委員の監査に代えて個別
外部監査人による監査を求めることができます。
札幌市の住民であれば、一人でも監査請求をすることができます。なお、市内に住所を有する法人や団体も監査請求することができます。
監査請求の対象者となるのは、次のとおりです。
監査請求は上記の者が行った財務会計上の行為等を対象とするものです。そのため、対象者が特定されていないと、監査請求の要件は満たされず、不適法なものとして却下されることになります。
なお、市議会や議員は請求対象にはなりません。
次の財務会計上の行為と怠る事実が対象となります。
なお、これらの行為がなされることが相当の確実さをもって、予測される場合も対象となります。
請求人は、対象となる行為等が特定できるように個別的・具体的に示すことが必要です。
監査請求においては、請求人が違法、不当と主張する財務会計上の行為又は怠る事実について、なぜそれが違法、不当であるのか、その理由を明確に示す必要があります。
監査請求は、市に財産的損害が発生しているか、又は損害発生のおそれがある場合に行うことができるものであって、仮に法令違反のおそれがある行為であっても、市に何ら財産的損害が生じていない、又は損害発生のおそれがない場合には、行うことができません。
違法、不当な行為があった日又は終わった日から1年を経過したときは、監査請求をすることができません。
ただし、正当な理由があるときは、当該日から1年を経過していても請求をすることができます。その際、請求人は1年以内に請求できなかった理由を明らかにする必要があります。
監査請求をするときは、違法、不当な財務会計上の行為又は怠る事実を証明するための証拠書類を添付する必要があります。
監査請求が提出された場合には、監査委員が監査を行います。ただし、請求人が、特に必要があると認めるときは、その理由を付して、併せて監査委員の監査に代えて地方自治法第252 条の43 に規定する個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができます。
しかし、個別外部監査契約に基づく監査によることの請求があった場合においても、そのすべてが個別外部監査によるわけではなく、監査委員が個別外部監査によることが相当と判断した場合にのみ個別外部監査契約に基づく監査によることとなります。
<参考>
監査委員は、職員措置請求書と事実証明書の形式や内容が住民監査請求制度の要件に合っているかどうかの審査を行い、必要な要件が整っていると判断したときは、監査請求を受理します。請求人が、個別外部監査契約に基づく監査によることを求めた場合においても、監査請求の受理の決定は監査委員が行います。
また、監査委員は、必要な要件が整っていないと判断したときは、監査請求を却下し、監査を行いません。
なお、監査委員は、受理又は却下の決定を行った際に、請求人にその旨を文書で通知します。また、却下のときにはその文書を公表します。
監査委員は、職員措置請求書の形式や内容に不備があるとき、又は事実証明書が不足しているときなどは、適宜必要に応じて請求書の修正や証明書の追加提出などの補正を求めることになります。
なお、請求人が補正に応じない場合は、監査請求が却下されることがありますので、注意してください。
個別外部監査契約に基づく監査によることを請求人が求めた場合において、監査委員は個別外部監査が相当であると判断したならば、請求があった日から20日以内にその旨を市長に通知しなければなりません。
また、この場合において、監査委員は、個別外部監査が相当である旨の通知を市長に行ったことを直ちに請求人に通知しなければなりません。この通知を受けた市長は、監査委員の意見を聴いたうえで、議会の議決を経ることにより、個別外部監査契約を締結します。
なお、監査委員が20日以内に外部監査を相当と判断した旨の通知を行わない場合には、その請求は、はじめから個別外部監査によるという条件が付されていない通常の住民監査請求であったものとみなされ、監査委員が監査を行うことになります。この場合において、個別外部監査契約に基づく監査によらなかった理由については、当該監査結果の中で、請求人に通知するとともに、公表します。
監査請求が受理されますと、新たな証拠の提出の機会と陳述の場が設けられますが、これを行うかどうかは、請求人の選択に委ねられています。
監査委員が監査請求を受理すると、請求を受け付けた日から60日以内に当該請求に係る監査結果を明らかにします。ただし、個別外部監査契約に基づく監査によることとした場合には、90日以内に延長されることになります。
監査委員は、監査請求の対象となった行為が違法であるとの相当な理由があり、当該行為により市に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要がある等と認める場合、市の執行機関等に対し、必要な措置を勧告するまでの間当該行為を停止するよう勧告する場合があります。
監査の結果は、監査委員の合議により決定されます。個別外部監査契約に基づく監査の場合においても、監査委員が個別外部監査人からの報告に基づき、当該監査請求に理由があるかどうかを決定します。
監査委員は、監査の結果を文書により請求人に通知するとともに、公表します。
請求人は、次に掲げる場合には、一定期間内に訴訟を提起することができます。
ア 監査結果に不服があるとき (監査を実施せず却下した場合を含む) |
結果の通知があった日から30日以内 |
イ 監査委員の勧告を受けた市長等の措置に不服があるとき | 結果の通知があった日から30日以内 |
ウ 監査委員が60日以内(個別外部監査契約に基づく監査による場合には90日以内)に結果を示さないとき | 当該期間を経過した日から30日以内 |
エ 監査委員の勧告を受けた市長等が監査委員の示した期間内に必要な措置を講じないとき | 当該期間を経過した日から30日以内 |
公表は札幌市公告式条例に準じて行われますが、公表される内容は、請求人の氏名、住所、請求の要旨、監査委員の判断などです。
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