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更新日:2024年4月26日

SAPPORO未来デザイントーク 無理なくできる“脱炭素”のすすめ

インタビュイー

石井 一英(いしい かずえい)
北海道大学大学院工学研究院
循環共生システム研究室教授

主に、廃棄物管理、循環計画、土壌・地下水汚染の修復技術システム、最終処分システム、バイオマスリサイクルシステムに関する研究を行う。

動画バージョン

※本動画は、令和5年度に実施した、さっぽろ 省エネ家電で家計を応援キャンペーン事業で作成したコラム動画です。補助金情報など古い情報が含まれている場合がありますのでご容赦ください。

文章バージョン

カーボンニュートラルってなに?

まず、カーボンニュートラルが必要な背景から簡単にご説明しましょう。

エポックは産業革命(18世紀後半〜19世紀)

環境の問題は、人口が増え、都市に集中して住むようになったことからスタートしています。特に産業革命以降、化石燃料を使うようになって二酸化炭素が徐々に増えました。その二酸化炭素が地球の大気層に溜まり、気温が上昇。気温が上がったことで、豪雨の増加や干ばつといった気候変動、北極・南極の氷が溶けることによる海面上昇など、我々の生活に直結する悪影響が生じています。

平均気温の上昇を抑えるために

2015年の第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定で、平均気温の上昇を産業革命以前と比べて2℃以内、できれば1.5℃以内に抑えることが目標とされました。

カーボンニュートラルはこの実現に向けた取り組みで、我々が排出する二酸化炭素量と森林などが吸収する二酸化炭素量が釣り合うようにして、2050年までに実質ゼロにすることを目指しています。ただ、上昇を1.5℃以内にするには動きを早める必要があるため、日本では2030年までに温室効果ガスの排出を2013年度比で46%削減するという目標が掲げられています。

カーボンニュートラルとは

二酸化炭素は何からどのくらい出ている?

半分は“電気”から

エネルギーには“電気”のほかに、調理・暖房・給湯などに使う“熱”、車の移動などに使う“燃料”があります。そして家庭1世帯から出る二酸化炭素量の比率は大体、“電気”が半分、4分の1が“燃料”、残りの4分の1が“熱”となっています。

北海道は全国平均の1.27倍

こうしたなかで北海道は日本の平均の1.27倍の二酸化炭素を排出しています。原因のひとつが冬の暖房で、灯油の使用量が多いことです。もうひとつが、北海道は広いため車での移動やトラック輸送などに多くの燃料を使っていることです。寒い・広いという北海道の土地柄がエネルギー消費の特徴になっているのです。

北海道と全国のCO2排出量の比較

冬期の灯油・ガスの使用が課題

2030年までに準備しよう!脱炭素Ready

温室効果ガス排出量の削減目標46%を掲げた2030年までに「いくつか準備しておかなきゃいけませんね」という意味で、わたしが使っているのが「脱炭素Ready」という言葉です。準備しておきたいことには次の3つがあります。

個人の二酸化炭素排出量の見える化

二酸化炭素をどれだけ出しているかを足元からきちんと測定して見える化することが必要ですが、現状ではありません。見える化するためには個人の二酸化炭素排出量のデータが必要で、例えば北海道と環境省北海道地方事務所が連携して開発したスマホのアプリでは電気や灯油などの使用量を入力すると排出量が算出されるようになっています。こうしたものを活用して、個人承認の上で市町村でもそのデータが使える仕組みをつくるなど、見える化に向けた準備が必要だと思っています。

北海道ゼロチャレ!家計簿

しっかり省エネ

明日からでもみなさんでできる準備です。エネルギー源には太陽光や風力などさまざまありますが、省エネは「もうひとつのエネルギー源」といわれています。省エネをすることで発電をしなくて済むからです。省エネをしっかり行うことは非常に大事なことなのです。

“ちょっとだけいいもの”を選ぶ

家電でも車でも必ず買い換えがあるはずです。その時にエネルギー的に“ちょっとだけいいもの”を選びましょう。無理をして高いものを買う必要はありません。

●自動車
子どもも巣立って大きな車がもう不要なら、小さめの車で燃費のいいものを選びましょう。EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)は、安くなっているかもしれない10年後20年後に検討すればいいと思います。

●家電
モノは長く使う・大事に使うというのが基本です。ただ、例えば冷蔵庫の冷え方が悪いなど機能が落ちたら買い換えるのと同じで、エネルギーの消費も機能のひとつと考えて、消費量が非常に多いことを買い換えの動機にしていいと思います。その際、家電にはレアメタル等の希少な金属資源が使われているので、きちんとリサイクルに出しましょう。

●住宅
断熱構造だけはしっかりとした家にしましょう。その上で将来に向けて、太陽光電池パネルを屋根に載せてもその重さに耐える構造にしたり、EV車の充電用コンセントが付けられるようにするなど、準備をしておきましょう。

ZEHとは

未来をつくるということ

脱炭素やカーボンニュートラルは、我々の次の世代がこの地球でどう暮らしていくかという問題です。多くの原因をつくったのは我々と我々よりちょっと先輩の世代。ですから、世代間でよく対話をして問題の解決に向かわなければなりません。

まちづくりの視点で見ると…

暮らす環境としての“まち”。そのまちづくりのためにいいことをしようとする途中で、必ず遭遇するのが “脱炭素”というキーワードです。例えば地域交通に電気バスの無人運転を導入すると、人手の問題が解消されると同時に、再生可能エネルギーの利用が増えていく電気で動くようになり、カーボンニュートラルにぐっと近づきます。場合によっては国から補助金も出ます。地域の未来をつくっていくことで、脱炭素が自ずと進むのです。

楽しく取り組んで、少しずつ

いきなり“脱炭素”というと、みなさん金縛りにあうように止まってしまいますが、どんな未来がいいかを考え、解決したい課題を掘り下げ、仲間を集い、楽しく活動していくうちに、いつのまにか“脱炭素”の丘に差し掛かったというようになっていくと思います。

さて、あなたはどんな未来がいいですか?

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