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衛生研究所では、市民の食の安全・安心を確保するため、食品の安全にかかわる科学的な分析と研究を行っています。食品のほか、家庭用品などの日常生活に用いる製品の安全性を確認するための検査も行っています。
市内で製造または流通する食品が、食品衛生法の基準を守って作られているかを確認するため、食品衛生法に基づいて工場やスーパーマーケットなどから食品を抜き取り、食品添加物や農薬などの様々な化学物質の検査を定期的に行っています。
食品添加物の検査で使用する高速液体クロマトグラフ
主な抜き取り検査の対象物質と検査項目例
残留農薬 野菜や果物などを育てるときに、雑草を枯らしたり、害虫を退治するなどの目的で使用する薬品を「農薬」といい、除草剤、殺虫剤、殺菌剤などの種類があります。市内で売られている野菜や果物などの中に、食品衛生法の基準を超える量の農薬が含まれていないか(=残留していないか)確認するため、検査を行っています。
・検査項目例 クロルピリホス、マラチオン(殺虫剤)
プロシミドン、クレソキシムメチル(殺菌剤)
2,4-D(除草剤)
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残留動物用医薬品 食用の動物を育てるときに、病気の治療や寄生虫の退治、成長を早めるなどの目的で使用する薬品を「動物用医薬品」といい、抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫駆除剤などの種類があります。市内で売られている肉や卵などの中に、食品衛生法の基準を超える量の動物用医薬品が含まれていないか確認するため、検査を行っています。
・検査項目例 オキシテトラサイクリン(抗生物質) スルファジミジン(合成抗菌剤) イベルメクチン(寄生虫駆除剤)
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食品添加物 食品の味、日もちや見た目などをよくするために食品中に加えられる物質を「食品添加物」といい、甘味料、保存料、着色料などの種類があります。食品の種類によって食品衛生法で使用量の基準が定められており、食品添加物が基準を守って使用されているか確認するため、検査を行っています。また、日本では使用が禁止されている食品添加物もあるため、これらが含まれていないかについても検査で確認しています。
・検査項目例 サッカリンナトリウム(甘味料) ソルビン酸(保存料) 赤色102号、黄色4号、青色1号ほか(着色料) サイクラミン酸(甘味料、日本では現在使用禁止)
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遺伝子組換え食品 他の生物からとり出した遺伝子を大豆、とうもろこしなどに組み込む技術を「遺伝子組換え技術」といい、この技術を利用して作られた食品を「遺伝子組換え食品」といいます。遺伝子を組換えることによって、除草剤耐性(除草剤で枯れにくくなる性質)、害虫抵抗性(害虫に食べられないなど、虫の害に強くなる性質)、ウイルス抵抗性(ウイルスが原因の病気にかかりにくくなる性質)などが得られ、使用する農薬の量を減らしたり、生産量を増やしたりすることができます。食品衛生法により、遺伝子組換え食品には、遺伝子を組換えたことを表示しなければなりません。遺伝子組換えの表示が正しく行われているか確認するため、検査を行っています。また、日本では使用が認められていない遺伝子が含まれていないかについても検査で確認しています。
・検査項目 コメ(63Bt、NNBt、CpTI)害虫抵抗性、日本では使用禁止 トウモロコシ(CBH351)害虫抵抗性、日本では使用禁止
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アレルギー物質 食品のうち、特に食物アレルギーを起こしやすく、また重症例が多い8品目(えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生)を特定原材料といい、食物アレルギーの発症による健康被害を防ぐために、食品表示法によって表示が義務付けられています。表示がない加工食品に、その特定原材料が含まれていないかを検査で確認しています。
・検査項目 特定原材料8品目(えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生)
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食品の成分規格 ハムなどの食肉製品、牛乳・乳製品などには、その食品に含まれる成分の規格などが個別に定められています。食品が成分規格を満たしているか確認するため、検査を行っています。
・検査項目例 亜硝酸根など(食肉製品の成分規格) 乳脂肪分、無脂乳固形分など(乳・乳製品の成分規格)
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関連リンク
市内で売られている衣類、洗剤などの様々な製品について、健康被害の原因となるような有害物質が含まれていないかを確認するため、商品を購入して検査を行っています。
家庭用品中の有害物質 「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」に基づき、有害物質であるホルムアルデヒドが基準値を超えて衣料品に含まれていないか確認するため、検査を行っています。このほか、家庭用洗剤などの生活用品(家庭用品)に含まれる有害物質についても、検査で確認しています。
・検査項目例 ホルムアルデヒド(衣料品) 水酸化カリウム、水酸化ナトリウム(家庭用洗剤)
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関連リンク
食の安全・安心にかかわる幅広い問題に対応するため、検査方法の開発・改良などの研究を行っています。研究の成果は、札幌市衛生研究所年報などで報告しています。(参考リンク:調査研究(衛生研究所年報)のページ)
日本人が日常の食生活を通して、食品添加物をどの程度摂取しているか推定するため、「食品添加物一日摂取量調査」に参加し、食品添加物の分析を行っています。札幌市衛生研究所で実施した分析結果については、札幌市衛生研究所年報で報告しています。(参考リンク:調査研究(衛生研究所年報)のページ)
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