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更新日:2013年12月6日

札幌市衛生研究所-学会発表(2013)

タンデムマス・スクリーニング導入後の現状-札幌市における7年間の経験-

第39回日本マス・スクリーニング学会

2012年8月東京都

吉永美和,太田優,花井潤師,高橋広夫,佐々木泰子,野町祥介*1,長尾雅悦*2,窪田満*3

札幌市では、2005年4月からタンデム質量分析計による新生児マス・スクリーニング研究事業を開始し、2010年8月に母子保健事業化した。7年間の検査の結果、114,659人の検査を行い、14人の患者を発見した。発見頻度は8087人に1人であった。札幌市の特徴として、検査の申込方法、確認検査・フォロー検査体制、コンサルタント医への相談体制などについて報告した。

*1札幌市環境局*2国立病院機構北海道医療センター小児科・臨床研究部*3埼玉県立小児医療センター総合診療科


タンデムマス・スクリーニングにおけるメールカンファレンスによるコンサルトシステムの有用性

第39回日本マス・スクリーニング学会

2012年08月東京都

窪田満*1,田上泰子,吉永美和,雨瀧由佳,野町祥介,花井潤師,長尾雅悦*2,福士勝*3

札幌市で行っているタンデムマスによる新生児マス・スクリーニング及び依頼検査について、検査機関である札幌市衛生研究所、先天性代謝異常症コンサルタント医、依頼検査の場合は主治医を含めた3者間で検査データのやり取りを行い、情報を共有し、意見交換を行うシステムを構築し、非常に有用であった。

*1埼玉県立小児医療センター総合診療科*2国立病院機構北海道医療センター小児科・臨床研究部*3札幌イムノ・ダイアグノスティック・ラボラトリー


RESULTSFROM28YEARSOFNEWBORNSCREENINGFORCONGENITALADRENALHYPERPLASIAINSAPPOROCITY

第7回AsiaPacificPaediatricEndocrineSociety(アジア太平洋小児内分泌学会)

2012年11月BaliIndonesia

KatsuraIshizu*1,AkieNakamura*1,KaoriFujikura,MasaruFukushi*2,TomoyukiHotsubo*3,TaikoSasaki,ToshihiroTajima*1

InSapporocity,Newbornmassscreening(MS)forcongenitaladrenalhyperplasia(CAH)wasstartedin1982.

In28years,17-hydroxyprogesterone(17-OHP)wasdeterminedinMSsamplesin498,147newbornsandatotalof2,466screenednewbornshadabnormal17-OHP.Amongthem,26patientswerediagnosedwith21-hydroxylasedeficiency(21-OHD),whichcorrespondstoaprevalenceof1時19分,160livebirthinSapporocity.ItisalmostidenticaltotheworldwideincidenceofCAH.

Among26patients,20patientswereclassifiedintosalt-wastingforms,5patientswereclassifiedintosimplevirilizingformsandonewasclassifiedintononclassicforms.19patientswerefemaleand7patientsweremale.

Inconclusion,MSforCAHinSapporocitycanbeconsideredreliable.

1DepartmentofPediatrics,HokkaidoUniversitySchoolofMedicine,2SapporoImmunodiagnosticLaboratory3DepartmentofPediatrics,NTTEastJapanSapporoHospital


新生児期におけるろ紙血中アシルカルニチンの変動要因

第39回日本マス・スクリーニング学会

2012年8月東京都

花井潤師、吉永美和、高橋広夫、佐々木泰子、野町祥介*1

新生児の生理的な要因により、アシルカルニチン濃度が変動することが確認された。変動が20%を超える指標もあることから、採血日齢が7日以上、採血時体重が1500g未満、体重増加率が-10%未満の児では、判定に注意が必要であることが示唆された。

*1札幌市環境局


タンデムマス・スクリーニングの標準化に向けて-対象疾患スクリーニング指標標準化のための評価法-

第39回日本マス・スクリーニング学会

2012年8月東京都

花井潤師*1,野町祥介*1,高橋広夫*1,佐々木泰子*1,佐々木純子*2,磯部充久*3,石毛信之*4,穴澤昭*4,安片恭子*5,木下洋子*6,山上祐次*6,酒本和也*7,田崎隆二*8,小林弘典*9,山口清次*9,重松陽介10

タンデムマス・スクリーニング実施にあたっては、厚労省研究班のカットオフ値を参考として、統計学的手法により、自施設の各指標の正常値の分布、平均値、SD等の特徴を把握したうえで、適切なカットオフ値を設定する必要がある。さらに、一定期間ごとに、正常値の分布を確認し、再採血率や精査率を確認するなどの内部精度管理を実施し、カットオフ値の適正さを継続的に確認することが重要である。

*1札幌市衛生研究所,*2公益財団法人岩手県予防医学協会,*3さいたま市健康科学研究センター,*4公益財団法人東京都予防医学協会,*5公益財団法人ちば県民保健予防財団,*6公益財団法人神奈川県予防医学協会,*7大阪市環境保健協会,*8一般財団法人化学及血清療法研究所,*9島根大学小児科,*10福井大学医学部看護学科健康科学


札幌市におけるハイリスクスクリーニング

第37回日本医用マススペクトル学会

2012年10月名古屋市

花井潤師*1、吉永美和*1、太田優*1、高橋広夫*1、佐々木泰子*1、野町祥介*2、長尾雅悦*3、窪田満*4

臨床症状から代謝異常症を疑う児に対して補助診断、除外診断、新生児マス・スクリーニング陽性例について、確認検査を実施した。初回依頼は3,052件で、そのうち105件(3.4%)について、代謝異常疾患の疑いを指摘した。検査で異常が認められた場合、依頼書の臨床所見と検査所見を合わせてコンサルタント医に照会し、主治医とともに情報共有し、迅速な診断・治療に結びつけた。国外の症例も取り扱うことで、稀少疾患の検査を実施することによって、化学診断例のデータを蓄積し、新生児マス・スクリーニングの化学診断の精度の向上に結びつけることができた。

*1札幌市衛生研究所、*2札幌市環境局、*3国立病院機構北海道医療センター小児科・臨床研究部、*4埼玉県立小児医療センター総合診療科


タンデムマス・スクリーニングのカットオフ値設定-患者データ、陽性率、精査率からの考察-

厚生労働省科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)

「タンデムマス導入による新生児マススクリーニング体制の整備と質的向上に関する研究」平成24年度研究班全体会議

2013年1月東京都

花井潤師*1、野町祥介*1、高橋広夫*1、佐々木泰子*1、佐々木純子*2、磯部充久*3、石毛信之*4、穴澤昭*4、安片恭子*5、木下洋子*6、山上祐次*6、酒本和也*7、田崎隆二*8、小林弘典*9、山口清次*9、重松陽介10

タンデムマス・スクリーニングのカットオフ値を設定するにあたっては、これまで、各指標の正常値分布を施設ごとに把握することの重要性を指摘した。今年度は、さらに、指標によっては正常群と患者群とのオーバーラップから厳密なカットオフ値設定が必要なこと、また、スクリーニングの陽性率や精査率を疾患の発生頻度との関係から考慮すべきであることなどから、適正なカットオフ値設定の仕方について考察した。

*1札幌市衛生研究所,*2公益財団法人岩手県予防医学協会,*3さいたま市健康科学研究センター,*4公益財団法人東京都予防医学協会,*5公益財団法人ちば県民保健予防財団,*6公益財団法人神奈川県予防医学協会,*7大阪市環境保健協会,*8一般財団法人化学及血清療法研究所,*9島根大学小児科,*10福井大学医学部看護学科健康科学


札幌市中央卸売市場に流通する鮮魚介類の粘液胞子虫寄生状況

第64回北海道公衆衛生学会

2012年11月札幌市

坂本裕美子、廣地敬、大西麻実、伊藤はるみ、高橋広夫、佐々木泰子、*1石澤明子、*2孝口裕一、八木欣平

ヒラメに寄生するkudoaseptempunctata(K.s)が2011年6月より食中毒原因物質として取り扱われるようになった。これを受け、札幌市中央卸売市場に流通する鮮魚介類25種、265検体についてK.sを含めたクドア属の寄生状況を顕微鏡検査と遺伝子検査で調査した。顕微鏡検査でメジマグロ1検体、クロマグロ1検体から6個の極嚢を有する粘液胞子虫を確認した。遺伝子検査ではクドア属粘液胞子虫18SrRNA遺伝子の一部を広く増幅するプライマーによるPCRの結果、カツオ1検体、メジマグロ2検体、クロマグロ3検体、メバチマグロ1検体で増幅バンドが確認された。これらをシークエンスしたところKudoaneothunniの塩基配列と一致した。K.sは検出されなかった。

*1札幌市保健所、*2北海道立衛生研究所


白菜浅漬けによる腸管出血性大腸菌O157食中毒事例

第86回日本細菌学会

2013年3月千葉市

坂本裕美子、廣地敬、大西麻実、伊藤はるみ、高橋広夫、佐々木泰子、矢野公一*1、清水俊一*2

平成24年8月7日、札幌市内の医療機関から「高齢者関連施設の入居者で下痢、血便などの症状を呈している者がいる」との連絡が保健所にあった。その後の調査で札幌市内5箇所、北海道立保健所管内5箇所の高齢者関連施設で同様の食中毒症状を有する入居者がいることが判明した。疫学調査の結果、これらの施設では給食として札幌市内の漬物工場が製造した白菜浅漬けが共通して提供されていることがわかった。その後の調査で当該浅漬けは札幌市内及び市外の食品スーパー、ホテル、飲食店などにも広く流通していることが判明し、これらの流通手段により喫食した人の中にも症状を有する者がいることが明らかになった。これら有症者便、白菜浅漬け保存品などの食中毒細菌検査を実施した結果、腸管出血性大腸菌O157を検出した。最終的に患者169名、死者8名という大規模な食中毒事例となった。この事例について、疫学情報と分子疫学的情報(パルスフィールド電気泳動法、IS-printingSystem)に基づいた解析結果を報告する。

*1札幌市保健所、*2北海道立衛生研究所


ホームページにおける腸管出血性大腸菌感染症に関する情報の提供について

平成24年度地研北海道・東北・新潟支部公衆衛生研究部会総会・研修会

2012年11月福島市

扇谷陽子、高橋広夫、佐々木泰子

平成24年8月に、札幌市内で製造された広域流通食品の漬物を原因食品とする腸管出血性大腸菌O157による食中毒が発生した。腸管出血性大腸菌感染症は、感染成立までの菌数が極めて少ないため、広域流通食品を原因とする状況においては、すみやかに2次感染予防の注意喚起を行う必要がある。そこで、札幌市の公式ホームページに、腸管出血性大腸菌感染症に関する頁をすみやかに作成し、食中毒事例を含む全数把握感染症としての患者報告状況の推移を提示するとともに、疾患や病原体についての情報を掲載し、感染拡大防止のための注意喚起を行った。


札幌市におけるインフルエンザの流行状況

第64回北海道公衆衛生学会

2012年11月札幌市

扇谷陽子、菊地正幸、佐藤寛子、伊藤はるみ、高橋広夫、佐々木泰子

札幌市において2012年1~3月にインフルエンザが大流行した。インフルエンザの流行は急速に拡大することから、地域の流行特性を把握しておき、流行時に的確な注意喚起することは重要である。そこで、札幌市におけるインフルエンザの流行状況を把握するための調査を実施した。この結果、1999年4月以降において、札幌市の定点あたりの患者報告数が警報レベルに至ったシーズンは6シーズンで、ピーク時の定点あたりの患者報告数は、2012年が2番目に多かったことが判った。また、定点あたりの患者報告数の週別の推移について、市全体では明確なピークは1つであったが、行政区別では半数以上の区で複数のピークが認められた。年齢群別患者報告割合の調査では、多くのシーズンで5~9歳の患者報告割合が最も高かったことが判った。


札幌市における流行性耳下腺の流行状況について

第26回公衆衛生情報研究協議会研究会

2013年1月那覇市

扇谷陽子、高橋広夫、佐々木泰子

札幌市において、2009年から2010年にかけて長期に渡り流行性耳下腺炎が流行した。この疾患は、小児における症状は比較的軽度であるが、合併症として脳炎や難聴等を発症することがあり、感染予防は重要である。そこで、今後の流行時の注意喚起に活用することを目的として、札幌市における流行性耳下腺炎の流行状況を調査した。この結果、札幌市における2009年から2010年にかけての流行は、これ以前と比較すると極めて長期かつ患者報告数が多い状況であったことが判った。また、2007年夏頃から流行期と非流行期が明確である状況となっていること、2007年以降、3~6歳に加えて、7歳や10~14歳の患者報告割合が10%以上の年が存在するようになっていることが判った。


市有施設における分煙状況の実態調査

第63回北海道公衆衛生学会

2011年11月札幌市

水嶋好清、立野英嗣、三上篤、三觜雄

職場における受動喫煙防止対策の効果を検証するため、札幌市庁舎等の公共施設での分煙設備における状況確認と、たばこによる健康リスク評価のため室内空気中の浮遊粉じん、一酸化炭素及びニコチン等の測定を行い、関連性について調査する。今回調査した各職場では、喫煙室を完全分離し、中央排気設備の排気風量不足の場合には空気清浄機を複数台設置するなど、既存設備の状況に応じた工夫がなされ、非喫煙場所ではいずれの指標もガイドライン基準値以下であった。しかし、喫煙室では、時間帯によって喫煙者が集中し、浮遊粉じん濃度が基準値の0.15mg/立方メートルを超える場合があることから、最大喫煙許容人数の設定や、たばこ煙をさらに効率よく排出可能な構造にする等の工夫が必要と思われた。また、3箇所の空気清浄機を活用する喫煙室でニコチン濃度が高く、空気清浄機ではたばこ煙中のガス状成分の除去が不十分であるとの報告を支持する結果が得られた。

 


 

LC-MS/MSによる大気中のアルデヒド・ケトン類の分析及び実態調査

第21回環境化学討論会

2012年7月松山市

吉田勤、武口裕、和泉千尋、佐々木泰子

大気中のカルボニル化合物をDNPHカートリッジで捕集し、LC-MS/MSを用いて一斉分析法の検討を行った。イオン源はESIを用い、移動相は塩を加えずに分析を行った。この分析法を用いて、札幌市内の4か所で毎月1回、大気中濃度の測定を行った。MSでの測定は、SIMとMRMの両方で行い、合わせてPDAでも測定行い、それぞれの結果を比較した。SIMの結果が他に比べ低く出る傾向が見られ、イオン化抑制の影響が示唆された。ホルムアルデヒドは、測定時の気温と大気中濃度の関連が見られた。また、移動相由来と思われるコンタミが見られた。


LC/MSによる化学物質分析法の基礎的研究

第21回環境化学討論会

2012年7月松山市(愛媛県県民文化会館)

折原智明、伊藤朋子*1、清水明*2

GC/MSでは測定困難な環境中化学物質について、LC/MSを適用し環境水中の17β-ヒドロキシエストラ-4,9,11-トリエン-3-オン(β-トレンボロン)の分析法を検討した。この物質はステロイド骨格をもつ化合物で、テストステロンの合成型である酢酸トレンボロンの代謝物として知られる。テストステロンとは溶出状況が少し異なり、適当な内標準物質がみつからず絶対検量線法とした。Sep-pakPS-2やOasisHLBを用いた固相抽出では夾雑物との分離が難しく、InertSepPHを用いて濃縮し、溶出時にはイオン交換系のInertSepPRSとSAXを連結した上でアセトン/ヘキサン(1時01分,v/v)で溶出させることとした。また要求感度0.05ng/Lを満たすため、試料は2000倍濃縮とするが、SS除去後のろ液からの抽出で十分な回収率(70%以上、溶出5~15mL分画)が得られたためSSからの抽出は行っていない。測定は最初LC/MS/MS-ESI(+)にて検討を行った。標準液では問題なく測定出来たが、試料から抽出した試験液ではイオン化抑制と思われる現象により著しく回収率が低下した。そこでAPCI(+)に変更して実施したところ回収率も70%以上となった。またα-トレンボロンと分離定量も可能であった。

*1岩手県環境保健センター、*2千葉県環境研究センター


環境水中の陽イオン界面活性剤の消長について

第49回全国衛生化学技術協議会年会

2012年11月高松市

阿部敦子、南部佳弘、和泉千尋、佐々木泰子

陽イオン界面活性剤は、分子内に正電荷と疎水基があり、環境中、また分析操作中にも吸着等を起こすことが予想されるため、環境調査の際に使用する容器の材質なども検討する必要がある。対象物質は、ヘ゛ンシ゛ルシ゛メチルアルキルアンモニウム4種(アルキル炭素数が12,14,16,18)、アルキルトリメチルアンモニウム2種(アルキル炭素数16,18)、シ゛アルキルシ゛メチルアンモニウム2種(16時16分、18時18分)、セチルヒ゜リシ゛ニウム及びヘ゛ンセ゛トニウムのアンモニウム9物質とピリジニウム1物質とし、環境省総合環境政策局編「化学物質環境実態調査の手引き」の分解性スクリーニング試験(簡易法)に準じ一定時間保存した後、水溶液中に残存しているものと容器に吸着したものを定量し、消長について検討した。ポリプロピレン容器の表面では陽イオン界面活性剤は疎水的吸着を起こしていると考えられるが、その吸着量は1日目以降ほぼ一定で、合計量は添加量とほぼ一致したため分解は起きていないと推測された。一方、ガラス容器を用いた場合は、合計量は添加量と比較して減少する傾向が見られ、この理由は、ガラス表面から抽出する際の回収率が悪いことも考えられるが、ガラス表面にイオン結合することにより陽イオン界面活性剤の分解が促進される可能性も否定できなかった。

 

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